日本でも海外でも支持される日産のミドルサイズSUVのすべて
【徹底解説】新型 日産エクストレイル 2022.10.25 ニューモデルSHOWCASE 根強い人気を誇る日産のミドルサイズSUV「エクストレイル」が4代目に進化。従来型からすべてが刷新された新型の特徴を、パッケージやグレードごとの装備、燃費など多角的な視点で解説。ラインナップのなかから、お薦めのベストバイを紹介しよう。ユーザーの気持ちに寄り添い大ヒット
2022年7月に、国内では約7年半ぶりにフルモデルチェンジとなったエクストレイルは、今回の新型で通算4代目となる。初代が発売されたのは2000年秋(参照)。日産が深刻な経営不振におちいり、仏ルノーと資本提携で救済されたのが1999年3月。時系列でみると、エクストレイルが企画されたのは日産の経営がまさにどん底の時期だった。
当時の開発者インタビューによると、上層部からの条件は「ジャンルはなんでもいい。とにかく若者に売れるクルマを一台つくれ!」というものだった。そこで開発陣は海やスキー場などのレジャー現場に出かけて、約1000人の若者にほしいクルマを聞いて回ったという。そこから導き出されたのが“カタチはオフロード4WD、価格は200万円、仲間4人と人数分のボードが乗せられる、使い勝手のいいSUV”というもので、それをそのまま形にしたのが初代エクストレイルだった。
乗用車設計ながらもちょっとゴツいデザイン、防水インテリア、自慢の「オールモード4×4」……を携えて発売された初代エクストレイルは、日産のV字回復を象徴する起死回生のヒット作となる。同時にミドルクラスSUVというジャンルそのものも世界的に支持が広がり、エクストレイルは日産屈指のグローバル商品として成長していった。
現在のエクストレイルは、販売台数では「セントラ/シルフィ」や「アルティマ」とならぶグローバル商品だという。ただ、セントラ/シルフィ、アルティマは北米と中国をメインとするセダンで、日本では販売されない。対するエクストレイルは、北米や中国はもちろん、日本や欧州、豪州にも導入されており、販売される国や地域の数では日産随一といっていい。そんな超グローバル商品ゆえに、発売順も正直に市場規模にのっとったもので、今回は北米(現地名「ローグ」)より約2年、中国より約1年遅れての日本発売となった。
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【ラインナップ】
パワートレインは全車ハイブリッドに
海外では1.5リッター直3可変圧縮比ターボ(VCT)エンジン車や、2.5リッター直4自然吸気エンジン車も用意される新型エクストレイルだが、日本仕様に設定されるパワートレインは、前者の1.5リッターVCTが発電に徹してモーターでタイヤを駆動する「e-POWER」のみ。駆動方式はこれまでどおりFFと4WDがあるが、後者の駆動システムはご想像のとおり、リアに136PSのモーターを追加した電動4WD=「e-4ORCE」となる。
グレードはFF、4WDともに安価なほうから「S」「X」「G」という3種を用意。ホイールサイズはSとXが18インチ、Gが19インチとなる。また日産自慢の先進運転支援システム「プロパイロット」がXとGでは標準装備となるいっぽうで、Sではオプションでも装着できない。ただし、「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」や「踏み間違い衝突抑制アシスト」「車線逸脱警報&逸脱防止支援システム」といったベーシックな予防安全機能はSでも標準だ。
また、先代のガソリン車に用意されていた3列シートの7人乗り仕様は、Xの4WDのみに設定される。
【主要諸元】
グレード名 | S | X | G | オーテック | オーテック アドバンスドパッケージ | S e-4ORCE | X e-4ORCE | X e-4ORCE | G e-4ORCE | X e-4ORCE エクストリーマーX | X e-4ORCE エクストリーマーX | オーテック e-4ORCE | オーテック e-4ORCE | オーテック e-4ORCE アドバンスドパッケージ | |
基本情報 | 新車価格 | 319万8800円 | 349万9100円 | 429万8800円 | 420万5300円 | 484万6600円 | 347万9300円 | 379万9400円 | 393万0300円 | 449万9000円 | 412万9400円 | 426万0300円 | 446万7100円 | 459万8000円 | 504万6800円 |
駆動方式 | FF | FF | FF | FF | FF | 4WD | 4WD | 4WD | 4WD | 4WD | 4WD | 4WD | 4WD | 4WD | |
動力分類 | ハイブリッド | ハイブリッド | ハイブリッド | ハイブリッド | ハイブリッド | ハイブリッド | ハイブリッド | ハイブリッド | ハイブリッド | ハイブリッド | ハイブリッド | ハイブリッド | ハイブリッド | ハイブリッド | |
トランスミッション | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |
乗車定員 | 5名 | 5名 | 5名 | 5名 | 5名 | 5名 | 5名 | 7名 | 5名 | 5名 | 7名 | 5名 | 7名 | 5名 | |
WLTCモード燃費(km/リッター) | 19.7 | 19.7 | 19.7 | - | - | 18.4 | 18.4 | 18.3 | 18.4 | - | - | - | - | - | |
最小回転半径 | 5.4m | 5.4m | 5.4m | 5.4m | 5.4m | 5.4m | 5.4m | 5.4m | 5.4m | 5.4m | 5.4m | 5.4m | 5.4m | 5.4m | |
エンジン | 形式 | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC |
排気量 | 1497cc | 1497cc | 1497cc | 1497cc | 1497cc | 1497cc | 1497cc | 1497cc | 1497cc | 1497cc | 1497cc | 1497cc | 1497cc | 1497cc | |
最高出力 (kW[PS]/rpm) | 106[144]/4400-5000 | 106[144]/4400-5000 | 106[144]/4400-5000 | 106[144]/4400-5000 | 106[144]/4400-5000 | 106[144]/4400-5000 | 106[144]/4400-5000 | 106[144]/4400-5000 | 106[144]/4400-5000 | 106[144]/4400-5000 | 106[144]/4400-5000 | 106[144]/4400-5000 | 106[144]/4400-5000 | 106[144]/4400-5000 | |
最高トルク (N・m[kgf・m]/rpm) | 250[25.5]/2400-4000 | 250[25.5]/2400-4000 | 250[25.5]/2400-4000 | 250[25.5]/2400-4000 | 250[25.5]/2400-4000 | 250[25.5]/2400-4000 | 250[25.5]/2400-4000 | 250[25.5]/2400-4000 | 250[25.5]/2400-4000 | 250[25.5]/2400-4000 | 250[25.5]/2400-4000 | 250[25.5]/2400-4000 | 250[25.5]/2400-4000 | 250[25.5]/2400-4000 | |
過給機 | ターボ | ターボ | ターボ | ターボ | ターボ | ターボ | ターボ | ターボ | ターボ | ターボ | ターボ | ターボ | ターボ | ターボ | |
燃料 | レギュラー | レギュラー | レギュラー | レギュラー | レギュラー | レギュラー | レギュラー | レギュラー | レギュラー | レギュラー | レギュラー | レギュラー | レギュラー | レギュラー | |
フロントモーター | 最高出力 (kW[PS]) | 150[204]/4739-5623 | 150[204]/4739-5623 | 150[204]/4739-5623 | 150[204]/4739-5623 | 150[204]/4739-5623 | 150[204]/4501-7422 | 150[204]/4501-7422 | 150[204]/4501-7422 | 150[204]/4501-7422 | 150[204]/4501-7422 | 150[204]/4501-7422 | 150[204]/4501-7422 | 150[204]/4501-7422 | 150[204]/4501-7422 |
最高トルク (N・m[kgf・m]) | 330[33.7]/0-3505 | 330[33.7]/0-3505 | 330[33.7]/0-3505 | 330[33.7]/0-3505 | 330[33.7]/0-3505 | 330[33.7]/0-3505 | 330[33.7]/0-3505 | 330[33.7]/0-3505 | 330[33.7]/0-3505 | 330[33.7]/0-3505 | 330[33.7]/0-3505 | 330[33.7]/0-3505 | 330[33.7]/0-3505 | 330[33.7]/0-3505 | |
リアモーター | 最高出力 (kW[PS]) | 100[136]/4897-9504 | 100[136]/4897-9504 | 100[136]/4897-9504 | 100[136]/4897-9504 | 100[136]/4897-9504 | 100[136]/4897-9504 | 100[136]/4897-9504 | 100[136]/4897-9504 | 100[136]/4897-9504 | |||||
最高トルク (N・m[kgf・m]) | 195[19.9]/0-4897 | 195[19.9]/0-4897 | 195[19.9]/0-4897 | 195[19.9]/0-4897 | 195[19.9]/0-4897 | 195[19.9]/0-4897 | 195[19.9]/0-4897 | 195[19.9]/0-4897 | 195[19.9]/0-4897 | ||||||
寸法・重量 | 全長 | 4660mm | 4660mm | 4660mm | 4675mm | 4675mm | 4660mm | 4660mm | 4660mm | 4660mm | 4665mm | 4665mm | 4675mm | 4675mm | 4675mm |
全幅 | 1840mm | 1840mm | 1840mm | 1840mm | 1695mm | 1840mm | 1840mm | 1840mm | 1840mm | 1840mm | 1840mm | 1840mm | 1840mm | 1840mm | |
全高 | 1720mm | 1720mm | 1720mm | 1720mm | 1695mm | 1720mm | 1720mm | 1720mm | 1720mm | 1720mm | 1720mm | 1720mm | 1720mm | 1720mm | |
ホイールベース | 2705mm | 2705mm | 2705mm | 2705mm | 2705mm | 2705mm | 2705mm | 2705mm | 2705mm | 2705mm | 2705mm | 2705mm | 2705mm | 2705mm | |
車両重量 | 1740kg | 1750kg | 1780kg | 1760kg | 1780kg | 1840kg | 1850kg | 1880kg | 1880kg | 1860kg | 1890kg | 1860kg | 1890kg | 1880kg | |
タイヤ | 前輪サイズ | 235/60R18 | 235/60R18 | 235/55R19 | 255/45R20 | 255/45R20 | 235/60R18 | 235/60R18 | 235/60R18 | 235/55R19 | 235/60R18 | 235/60R18 | 255/45R20 | 255/45R20 | 255/45R20 |
後輪サイズ | 235/60R18 | 235/60R18 | 235/55R19 | 255/45R20 | 255/45R20 | 235/60R18 | 235/60R18 | 235/60R18 | 235/55R19 | 235/60R18 | 235/60R18 | 255/45R20 | 255/45R20 | 255/45R20 |
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【パワートレイン/ドライブトレイン】
日産のなかでも最新のパワートレインと電動4WD
海外では2.5リッターガソリンエンジンでスタートした新型エクストレイルだが、主力は新世代エンジンの1.5リッター直3 VCTに切り替わりつつある。ちなみに、日産のVCTエンジンには現在、1.5リッターのほかに2リッター直4もあり、前者は従来の2.5リッター直4、後者は3.5リッターV6にかわる位置づけのようだ。
低負荷では高圧縮比+低過給圧のロープレッシャーターボとして、高負荷では低圧縮比+高過給圧でパワー志向のハイプレッシャーターボとして……と、エンジンの基本キャラクターを負荷や回転数に応じて変えられるのがVCTの特徴だ。おかげで、全域で大きなトルクを発生するとともに、高いピークパワーを発生しつつ、低中速域での燃費も改善できる。エクストレイル用では144PSの最高出力を4400-5000rpmで、250N・mという最大トルクを2400-4000rpmという広い回転域で発生する。
海外で販売されるエクストレイルには、1.5リッターVCTの純エンジン仕様やマイルドハイブリッド仕様も存在するが、日本では先述のように、その1.5リッターVCTを核としたe-POWERのみとなる。フロント駆動モーターの性能は最高出力204PS、最大トルク300N・m。4WDでリアに追加されるモーターのそれは136PS、198N・m。いずれにしても、タイヤを直接駆動するのは前後ともにモーターだ。気になる燃費は、WLTCモードでFF車が19.7km/リッター、4WD車が18.4km/リッター(3列シート仕様のみ18.3km/リッター)。直接のライバルとなる「トヨタRAV4」のハイブリッド車(FFで21.4km/リッター、4WDで20.3~20.6km/リッター)と比較すると、一歩譲るのは否めない。
またパワートレインそのものの話ではないが、新型エクストレイルは静粛性にも配慮しており、スピーカーから逆位相の音を流してノイズを相殺する「アクティブノイズコントロール」を全車に標準装備。最近、トヨタのハイブリッド車が災害時やキャンプに役立つ大容量給電システムを全面的に展開しているのを意識してか、駆動用バッテリーから電力を取り出せる100V・1500WのAC電源も用意している(Gに標準、Xの2列シート車とSにオプション)。
エクストレイルの4WDシステムは、アクセル開度や前後Gの変化から荷重移動量を予測してリアルタイムに前後トルクを配分する最新のe-4ORCE。これは電気自動車の「アリア」に続いての採用となる。
ドライブモードは、FF車は「スタンダード」「エコ」「スポーツ」の3種類、4WD車ではそこに「スノー」と「オフロード」を追加している。スポーツやオフロードでは、おおざっぱに言ってリアへのトルク配分が高まる。また、スノーモードはアクセル操作への反応がマイルドになるのと同時に、安定性重視で前後輪に回転差が生じないよう制御されるという。さらに、走行中はフロントのスリップを先行させて、お尻を振るような不安感の強い挙動を抑制するのもスノーモードならではの特徴だ。
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【ボディーサイズ/デザイン】
より広く、よりタフに、より上質に!
先代にあたる3代目と比較すると、4代目エクストレイルはプラットフォームからすべて刷新された完全な新開発車といっていい。しかし、すでにグローバルで広く受け入れられている商品ゆえか、車体サイズは大きく変わりない。……というか、モデルチェンジに伴うサイズアップは当然という昨今にあって、新型エクストレイルの全長×全幅×全高=4660×1840×1720mmというスリーサイズは、全幅が先代比で20mm拡大したほかは、全長が-30mm、全高が-20mmと、わずかに小さくなっているくらいである。ホイールベースも先代と同寸の2705mmだ。これについては、大きなクルマを好む傾向にある北米市場も含め、「今より大きくしてほしい」という声はほとんどなかったとか。
ただ、車内の空間効率は改善しており、後席レッグルームはシートのスライド量を増すことで最長時の前後長をわずかに拡大。またヒップポイントを低めることで、全高は小さくなっているにもかかわらず、ヘッドルームは前後席ともに拡大しているという。またリアドア開口もほぼ90°まで開くようにし、乗降性も改善している。
いっぽうエクステリアに関しては、初代(とその正常進化版である2代目)は“オフロード4WDらしいデザイン”を当初の企画から意図していたが、3代目=先代では当時のトレンドに合わせて、乗用車ライクな高級感を意識したものになっていた。しかし、今回の新型では“タフギア”という初代以来のコンセプトを再確認するとともに、最近のトレンド変化に沿うことがデザインのテーマになったとか。このクルマ最大の市場である北米などでは、タフでラギッドなものが好まれるようになっているといい、もうひとつの重要市場である中国ではやはり高級感が重視される。新型エクストレイルではその2つの路線を融合させた「タフ×上質」がデザインコンセプトになった。
というわけで、ショルダーが張り出してしっかりした下半身やボクシーなプロポーションなどでタフさを表現するいっぽう、グリルやウィンドウモールなどの繊細なメッキ使い、サイドシルのシャープなメッキ処理などで上質感が演出されている。
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【インテリア/荷室/装備】
広さを増した荷室と最新のADASに注目
インテリアもダッシュボードにレザーをあしらった高級感のあるものだ。運転席から見て右側の、エアコン吹き出し口周辺の小さなパネルにも、きちんと中央と同じレザー処理がなされている。こうした丁寧な仕立てには感心させられる。
メーターパネルはXとGが12.3インチのフルカラー液晶、Sは2眼式アナログ+7インチ液晶となる。12.3インチという大型のセンターディスプレイ(Xにメーカーオプション、Gに標準装備)も印象的だ。そのほか、PC用マウスのようなシフトセレクターなど、各部のインターフェイスは日産最新のそれである。
シート表皮は、SとXはファブリックだが、最上級のXでは「テーラーフィット」という新採用の人工皮革となる。これは従来の合皮より細かなシボで滑らかな肌ざわりを実現するとともに、トップコートに粒子を追加して、ほどよい摩擦力=滑りにくさを与えたものだ。
前項でも触れたが、車内空間のパッケージを見ると、シートレイアウトの変更は2列目のスライド量を先代より20mm増やして、そのぶんレッグルームを拡大した程度にとどまる。対して荷室は、前後長も開口幅も拡大し、“積載量クラスNo.1”をうたっている。たとえばゴルフバッグが4個積めるのは新旧同様だが、先代が9インチバッグまでだったのに対して、新型では9.5インチバッグを4個積めるようになったという。
先進運転支援システム(ADAS)については、高精度3D地図データを使って、より高度なレーントレース性能を実現した「ナビリンク機能付き」となる。これは、通常のプロパイロットと限定的自動運転を実現したプロパイロット2.0の中間となる、“プロパイロット1.5”ともいうべきもので、「ノート」やアリアに続いての採用となる。
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【バイヤーズガイド】
ベストチョイスは中間グレードの「X」
新型エクストレイルのパワートレインは全グレード共通で、ドライブモードやアクティブノイズコントロールなどの走行系装備にもグレード差はない。タイヤサイズが異なるグレードはあるものの、サスペンションチューンに差はない。よって、もっとも安価なSを選んでも、基本的な乗り味や静粛性、走りの性能が劣るということはない。
基本的に全グレードにFFと4WDがあり(3列シートはXの4WDのみ)、林道や雪道、砂地などを頻繁に走るタフギア的な使いかたをするなら当然4WDを選ぶべきだろう。また、新型エクストレイルに採用されているe-4ORCEは、後輪の回生ブレーキ制御によって、舗装路でもピッチングの少ないフラットな走りを実現しているそうで、舗装路メインの使い道でも4WDを選ぶメリットがなくはない。ただ、基本的な駆動配分はフロント強めのFF的な味つけなので、日常使いでもFF比で20~30万円高という“4WD代”を支払う価値があるかどうかは微妙。ことさら4WDが必須の生活でなければ、FFで十分にも思う。
売れ筋は中間グレードのXとなるだろう。Xは最安のSから30万円増しで、カラー液晶メーターやプロパイロット、運転席パワーシートなどが装備されるほか、FFでもオプションで後席シートヒーターやステアリングヒーターが選べる。これらはどれも、一度使うと手放せなくなる依存性の高い装備だ。また、ベーシックな予防安全装備はつくSだが、プロパイロットだけでなく、いわゆるブラインドスポットモニターなどの後方検知機能も省かれるので、安全性を考えてもX以上をお薦めしたいところだ。
19インチホイールではちょっと硬めの中低速の乗り心地も、18インチを履くXなら改善を期待できる。また、Gに標準装備の100V・1500W電源や12.3インチ「日産コネクトナビ」「BOSEプレミアムサウンドシステム」は、Xでもメーカーオプションで選択可能だ。
(文=佐野弘宗/写真=向後一宏、郡大二郎、日産自動車、webCG/編集=堀田剛資)
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佐野 弘宗
自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。
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