上がりっぱなしのガソリン代 自動車ユーザーはどうすりゃいいの?
2023.09.11 デイリーコラムハンパな節約じゃ意味がない!
先日横浜で、「ハイオク201円」と掲げたガソリンスタンドを見ました。ついに200円を超えたのかと、感慨深いものがありました。
調べてみると、過去、日本のレギュラーガソリン価格には大きな頂点が3つありました。
- 1982年(第2次石油ショック):177円
- 2008年(原油価格暴騰):182円
- 2014年(原油価格上昇と円安):168円
そして2023年8月30日、全国平均で185.6円となって、記録を塗り替えました。ドライバーはどうすればいいんでしょう? ガソリン高騰で本当に困っている一般ドライバー(運送業界など職業ドライバーを除く)がとるべき対策を考えてみましょう。
編集担当S君は、このような対策を提案してくれました。
- 省燃費な走り方を心がける
- ナビは常に最短ルートで
- ガソリンスタンドの土・日/深夜セールを狙う
- ポイント付与を意識する
どれも多少の効果は見込めますが、節約できる金額は、全部合計しても数%でしょう。それでは根本的な解決策にはならないし、もっと値上がりすれば簡単に吹っ飛びます。
ではこれはどうでしょう?
- 低燃費車に買い替える
例えばガソリン車からハイブリッドカーに乗り換えれば、数十%、ガソリン代を減らせます。効果は絶大ですが、買い替えにはガソリン代とはケタ外れの資金が必要なので、いまガソリン高騰で本当に困っているドライバーには、ハードルが高いでしょう。それでも、ダウンサイジングを組み合わせて買い替え資金を節約するなどすれば、長い目でみれば安上がりになる可能性はあります。
S君はこんな提案もくれました。
- 乗る頻度を減らす
いったんクルマで出かけたら、一度になるべく多くの用を足して効率化を図れば、確実にガソリン代を節約でます。物流業界が目指している効率化と同じですね。
“天引き”こそ効果絶大
私が提案する究極の解決法はこちらです。
- 月々のガソリン代をあらかじめ決めておき、燃料警告灯が点灯したらジ・エンド。その月はそれ以上乗らないようにする
例えば月に5000円までと決めてしまえば、ガソリンがどんなに高騰しようと、支出は増えません。月初めに5000円分給油したら、月内はそれ以上入れなければいいので、大変わかりやすく、効果は絶大どころか絶対。値上がりも怖くありません(?)。
「そんなのムリ!」
そんな声が聞こえてきそうです。高齢でクルマ以外での外出はムリといった事情があれば確かにムリですが、健康ならば、一部の外出を自転車や徒歩など、よりコストの安い移動手段に転換できるはずです。
金銭感覚のない人が、お金をためる方法はただひとつ。「天引き貯金」です。余ったお金をためるんじゃなく、最初から引いてしまうのです。金銭感覚のない人は、あるお金はいつの間にか全部使ってしまいますが、なくなれば使えません。
同じように、「もう今月はガソリンは入れられない」と思えば、あなたはきっとなんとかするはずです。
かく言う私は、ガソリン高騰に対して、なんの対策も講じていません。理由は、「燃費フェチゆえに、すでに打てる手を打っていて、まだ余裕があるから」です。
私が普段の足にしているのは、ディーゼルの「プジョー508」。これまでの平均燃費は18.5km/リッターです。しかも軽油は、ガソリンより20円ほど単価が安い。それでいてカーマニア的な満足も十分得られています。
平均燃費を見ればわかるように、プジョーは長距離用。省燃費運転も心がけていますが、あまりエンジン回転を上げないのもなんなので、たまに料金所からダッシュしてレッドゾーン手前までブチ回し、クルマのコンディションを保っています。これなら燃費への影響もほとんどゼロです。
趣味車の「フェラーリ328GTS」は、年間数百kmしか乗らないので、ガソリン代は無視して、思う存分ブチ回します。
もう一台の愛車「タントスローパー」はご近所用なので、平均燃費は15.2km/リッターにとどまりますが、ちょこ乗りでこの燃費なら満足です。軽ハイトワゴンは空気抵抗が大きいので、高速を走ってもあまり燃費が伸びないし。なお、1km以内の買い物は、自転車や徒歩で行くようにしています。
私はガソリンが安い時から、こういった態勢でカーマニア生活を営んでいるので、ガソリンが高騰しても、いまのところほとんど苦痛を感じていません。ガソリンがリッター500円になったら、「燃料代制限法」の導入を考えようかと思います。
(文=清水草一/写真=清水草一、トヨタ自動車、webCG/編集=関 顕也)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
トランプも真っ青の最高税率40% 日本に輸入車関税があった時代NEW 2025.9.17 トランプ大統領の就任以来、世間を騒がせている関税だが、かつては日本も輸入車に関税を課していた。しかも小型車では最高40%という高い税率だったのだ。当時の具体的な車両価格や輸入車関税撤廃(1978年)までの一連を紹介する。
-
スズキが未来の技術戦略を発表! “身近なクルマ”にこだわるメーカーが示した問題提起 2025.9.15 スズキが、劇的な車両の軽量化をかなえる「Sライト」や、次世代パワートレインなどの開発状況を発表。未来の自動車はどうあるべきか? どうすれば、生活に寄りそうクルマを提供し続けられるのか? 彼らの示した問題提起と、“身近なクルマ”の未来を考える。
-
新型スーパーカー「フェノメノ」に見る“ランボルギーニの今とこれから” 2025.9.12 新型スーパーカー「フェノメノ」の発表会で、旧知の仲でもあるランボルギーニのトップ4とモータージャーナリスト西川 淳が会談。特別な場だからこそ聞けた、“つくり手の思い”や同ブランドの今後の商品戦略を報告する。
-
オヤジ世代は感涙!? 新型「ホンダ・プレリュード」にまつわるアレやコレ 2025.9.11 何かと話題の新型「ホンダ・プレリュード」。24年の時を経た登場までには、ホンダの社内でもアレやコレやがあったもよう。ここではクルマの本筋からは少し離れて、開発時のこぼれ話や正式リリースにあたって耳にしたエピソードをいくつか。
-
「日産GT-R」が生産終了 18年のモデルライフを支えた“人の力” 2025.9.10 2025年8月26日に「日産GT-R」の最後の一台が栃木工場を後にした。圧倒的な速さや独自のメカニズム、デビュー当初の異例の低価格など、18年ものモデルライフでありながら、話題には事欠かなかった。GT-Rを支えた人々の物語をお届けする。
-
NEW
内燃機関を持たないEVに必要な「冷やす技術」とは何か?
2025.9.16あの多田哲哉のクルマQ&Aエンジンが搭載されていない電気自動車でも、冷却のメカニズムが必要なのはなぜか? どんなところをどのような仕組みで冷やすのか、元トヨタのエンジニアである多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
トヨタ・ハリアーZ“レザーパッケージ・ナイトシェード”(4WD/CVT)【試乗記】
2025.9.16試乗記人気SUVの「トヨタ・ハリアー」が改良でさらなる進化を遂げた。そもそも人気なのにライバル車との差を広げようというのだから、その貪欲さにはまことに頭が下がる思いだ。それはともかく特別仕様車「Z“レザーパッケージ・ナイトシェード”」を試す。 -
スズキが未来の技術戦略を発表! “身近なクルマ”にこだわるメーカーが示した問題提起
2025.9.15デイリーコラムスズキが、劇的な車両の軽量化をかなえる「Sライト」や、次世代パワートレインなどの開発状況を発表。未来の自動車はどうあるべきか? どうすれば、生活に寄りそうクルマを提供し続けられるのか? 彼らの示した問題提起と、“身近なクルマ”の未来を考える。 -
BMW M235 xDriveグランクーペ(4WD/7AT)【試乗記】
2025.9.15試乗記フルモデルチェンジによってF74の開発コードを得た新型「BMW 2シリーズ グランクーペ」。ラインナップのなかでハイパフォーマンスモデルに位置づけられる「M235 xDrive」を郊外に連れ出し、アップデートされた第2世代の仕上がりと、その走りを確かめた。 -
フォルクスワーゲン・ゴルフRアドバンス(後編)
2025.9.14ミスター・スバル 辰己英治の目利き万能ハッチバック「フォルクスワーゲン・ゴルフ」をベースに、4WDと高出力ターボエンジンで走りを徹底的に磨いた「ゴルフR」。そんな夢のようなクルマに欠けているものとは何か? ミスター・スバルこと辰己英治が感じた「期待とのズレ」とは? -
スズキ・アルト ハイブリッドX(FF/CVT)【試乗記】
2025.9.13試乗記「スズキ・アルト」のマイナーチェンジモデルが登場。前後のバンパーデザインなどの目に見える部分はもちろんのこと、見えないところも大きく変えてくるのが最新のスズキ流アップデートだ。最上級グレード「ハイブリッドX」の仕上がりをリポートする。