レクサスGX550“オーバートレイル”(4WD/10AT)/GX550“ラグジュアリー”(4WD/10AT)/GX550“プレミアム”(4WD/10AT)
レクサスだからできること 2024.02.08 試乗記 レクサスのラグジュアリーなオフローダー「GX」がフルモデルチェンジ。初代のデビューから20年余りを経て、初めてわが国にも正規導入される予定だ。シャシーをはじめ、すべてを刷新した3代目の実力をアメリカ・アリゾナで試してきた。ランドクルーザーという資産
レクサス+SUVといえば、乗用車系アーキテクチャーを用いることでカテゴリー全体の多様化を切り開いた「RX」の名が思い浮かぶが、その誕生からさかのぼること2年の1996年には初代「LX」が登場している。
時の80系「ランドクルーザー」をベースにウッドパネルや革シートなどがおごられたその演出手法は「グランドワゴニア」や「レンジローバー」等に倣ったものだが、トヨタの礎である信頼性や耐久性、四輪コイルリジッドからなる走破性を武器に一定の支持を集め、V8ユニットを搭載した2代目の「LX470」の世界的成功へとつなげていく。
その2代目LXが人気を博していた2002年、新たに投入されたのがGXだ。LXよりもひと回り小さい車格ながら肩を並べんばかりの使い勝手や走破性を備えたそれは、北米や中東などの厳しい自然環境下で暮らす人々の、ちょっといいクルマが欲しいというニーズを広くくみ上げた。
レクサスのSUVラインナップはRXを筆頭とするモノコック構造のモデル群が大半を占めるが、かようにラダーフレーム構造のLXやGXにも確たるニーズがある。プレミアム系ブランドで骨付きのクルマを持つ事例といえばメルセデス・ベンツやキャデラックが思い浮かぶが、間口の広さはレクサスならではといえるだろう。裏返せばそれは、ランドクルーザーという偉大な資産があってこそ構成できるものでもある。
ボディーサイズが一気に拡大
そんなこんなで新しいGX、トピックは枚挙にいとまがないが、最大のポイントは20年以上ぶりに骨格が完全刷新されたということだろう。同時期に発表された「ランドクルーザー“250”」と並行開発されたそれは、本を正せば「ランドクルーザー“300”」や現行LXが採用したGA-Fプラットフォームをベースとしたものだ。ホイールベースは前型よりも60mm伸びてランドクルーザーの黄金数となる2850mmを踏襲するかたちになった。
外寸関係は今回試乗した北米仕様のスペックでいえば、前型より完全にひと回り大きく、現行LXにほど近い。ざっくり言えば全長が100mm短い以外はほぼ一緒と、両車の車格はそのくらい接近したものだ。最低地上高はLXの210mmに対してGXは220~225mmとやや高いが、LXは油圧調整式の車高調システムを採用、上下に110mmの可変幅を武器として高い悪路走破性を実現している。対するGXはコンベンショナルな足まわりだが、前後のオーバーハングが計100mm短いぶん、LXに準ずるアプローチやデパーチャーアングルを確保した――というのが両車の相関関係となるだろうか。
サスペンションは四輪コイルバネで、ベースグレード以外は電子制御可変ダンピングシステムの「AVS」が採用される。前がハイマウントダブルウイッシュボーンによる独立懸架、後ろがラテラルロッド支持の4リンクリジッドという形式は代々のGXと同様だ。ボディーマウントは並行開発された“250”と同じものを用いるが、GXはオンロードでの質感を高めるべくコアサポートやステアリングサポート、リアホイールハウス付近にブレースを追加し、剛性向上とともに減衰特性の調律を図っている。
パワーユニットはLXと同じV35A-FTS型を採用。3.5リッターV6ツインターボはタービンを小径化したことでピークパワーは60PS近く落ちるものの、低中回転域のレスポンスを高めるなど、実用域や悪路での使いやすさを重視したセットアップとなっている。仕向け地によっては2.4リッター4気筒ターボをベースにしたハイブリッドも用意されるが、日本仕様は当面V6のみの設定になるという。
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フレーム付きでも走行感覚は素直
新しいGXの全幅は1980mmと大型SUVのカテゴリーゆえ、日本での取り回しはさすがに気づかう場面が多いだろう。が、凹型のボンネットのおかげで車両感覚はつかみやすく、立てられたAピラーやうんと低いウエストラインのおかげで前側方視界はすこぶるよい。ちなみに縦長のサイドミラー形状もあって、ミラーtoミラーでの全幅は、前型のGXよりも小さくなっているという。
内装はさすがにLXほどの豪華さは感じられないが、車格や用途に鑑みれば相応の質感は保たれている。シフトレバーや副変速機のセレクター、ドライブモードセレクトなどをあえてアナログ系統として確実な操作性に留意したインターフェイスもクルマの性格を考えれば褒められるべきものだろう。後席の掛け心地は高床のため若干大腿(だいたい)部が持ち上がる感はあるが、着座高はシアター型で前方の見通しはすこぶるよい。米国仕様ではグレードに応じて2座独立のキャプテンシートや電動でフラットに格納できる3列シートも選べるようになっているが、日本仕様がどういう設定になるかは未定だ。
試乗は新設定グレードとなる“オーバートレイル”を中心に、20インチを履くベースモデル相当の“プレミアム”、22インチを履く“ラグジュアリー”の2グレードも試すことができた。総じて、オンロードでのマナーはレクサスのオフローダーとして十分納得できるものだった。静粛性や乗り心地はさすがにRX同然とはいかずとも、ボディーオンフレームの癖として絶えず伝わるプルプルとした微振動の類いもうまく抑えられ、すっきりとした転がり感を実現している。地上高が示すとおり重心高が低いとはいえないが、直進性に不満はない。路面変化などの外乱も柔軟に受け流し、ピタッと据わりよく走ってくれる。LX同様、ステアリングは電動アシスト式なのでレーンキープアシストのアクティブ制御も可能だが、そういった手助けも忘れるくらいに走行感覚は素直だ。
路面とのコンタクトを最重要視
加減速や制動など、操縦性についてはできるだけ線形的な応答を意識してセットアップしたということもあって、取っ付きから大きなボディーを思い描いたとおりに動かすことができる。そして意外だったのがハンドリングで、ボディーオンフレームのクルマとしては上下の位相ズレが小さい一方で、旋回時のロールや加速時のピッチといった操作に対するクルマの動きは無理に規制することなく正直にドライバーに伝わってくる。この傾向が最も強いのがAVSを持たない20インチの“プレミアム”で、大げさに言えば「ロードスター」の「S」グレードを思い出すほどに挙動が饒舌(じょうぜつ)だ。対して22インチはタイヤのケース剛性にゲインがやや引っ張られる感はあるも、こちらも今日びのSUVとしてみれば十分に素直で牧歌的だ。
試乗した18インチの“オーバートレイル”には、日本仕様ではディーラーオプション設定を検討しているというトーヨータイヤの「オープンカントリーA/T」が装着されていた。A/TでありながらM/Tに近いブロックパターンを持つそれは、見たところハンドリングうんぬんを問うものではなさそうだが、これが望外にオンロードでのしつけが行き届いている。特筆すべきはノイズレベルで、オフロードタイヤでは避けられないはずのパターンノイズの類いが極限まで抑えられていた。
そのタイヤで臨んだオフロードセクションでは、30度のバンクや登坂を苦もなくクリア。前型比で86mmも上下ストローク量を伸長したこともあって、モーグルでは猛烈な接地性を示してくれた。その要となるのが電子制御でスタビライザーの効きをアクティブ側にもフリー側にもコントロールする「E-KDSS」だ。もちろん車輪側にも駆動や制動制御が加えられるが、ともあれメカニカルなコンタクトを大前提として走破性が構築されていることが、走りの盤石さに表れ、ドライバーの安心感へとつながっている。
新型GXの国内価格は現状未定だが、恐らくはRXとLXの間を埋めるあたりに収まるのだろう。もちろん安いとはいえないが、骨付きオフローダーならではの頼りがいとレクサスらしい洗練度とが織りなすものは、他ではなかなか望めないことは間違いない。
(文=渡辺敏史/写真=トヨタ自動車/編集=藤沢 勝)
テスト車のデータ
レクサスGX550“オーバートレイル”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4950×1980×1870mm
ホイールベース:2850mm
車重:--kg
駆動方式:4WD
エンジン:3.5リッターV6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:10段AT
最高出力:354PS(260kW)/4800-5200rpm
最大トルク:650N・m(66.3kgf・m)/2000-3600rpm
タイヤ:(前)265/70R18 116H M+S/(後)265/70R18 116H M+S(トーヨー・オープンカントリーA/T)
燃費:--km/リッター
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
レクサスGX550“ラグジュアリー”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4950×1980×1870mm
ホイールベース:2850mm
車重:--kg
駆動方式:4WD
エンジン:3.5リッターV6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:10段AT
最高出力:354PS(260kW)/4800-5200rpm
最大トルク:649N・m(66.3kgf・m)/2000-3600rpm
タイヤ:(前)265/50R22 109V M+S/(後)265/50R22 109V M+S(ダンロップ・グラントレックPT5A)
燃費:--km/リッター
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
レクサスGX550“プレミアム”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4950×1980×1870mm
ホイールベース:2850mm
車重:--kg
駆動方式:4WD
エンジン:3.5リッターV6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:10段AT
最高出力:354PS(260kW)/4800-5200rpm
最大トルク:649N・m(66.3kgf・m)/2000-3600rpm
タイヤ:(前)265/55R20 113V M+S/(後)265/55R20 113V M+S(ダンロップ・グラントレックPT5A)
燃費:--km/リッター
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
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