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第781回:今年で誕生30年! ホンダの純正用品ブランド「モデューロ」の新製品を試す

2024.04.03 エディターから一言 鈴木 ケンイチ
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「モデューロ」の30年の歴史を示す「ホンダS2000」。1999年に発売された、同ブランドのエアロパーツを装着している。
「モデューロ」の30年の歴史を示す「ホンダS2000」。1999年に発売された、同ブランドのエアロパーツを装着している。拡大

今年で誕生30周年を迎えるのが、ホンダの純正アクセサリーブランドである「Modulo(モデューロ)」だ。アニバーサリーイヤーを記念した取材会では、発売前のカスタムパーツを試すことができたので、その効能をモデューロの開発思想とともにリポートしよう。

「モデューロ」が2011年に発売したトランクスポイラーを装着した「NSX」。
「モデューロ」が2011年に発売したトランクスポイラーを装着した「NSX」。拡大

30周年を迎える「Modulo」の足跡

ホンダの純正アクセサリーブランドであるモデューロ。その特徴は、ホンダの子会社であるホンダアクセスが開発を手がけていることにある。そのため、ホンダ車と同様の高いクオリティーと信頼性、安全性を備えていることが大きな魅力となる。

そのスタートは、1994年の「ビガー」用アルミホイールだった。翌1995年には車両法の規制緩和が行われ、世のアフターパーツのニーズが大いに拡大していく。それにあわせて、ホンダアクセスもエアロパーツやサスペンションを開発。1999年より、モデューロは正式にホンダの純正アクセサリーブランドとして展開されることになったのだ。

そんなモデューロの製品開発思想は、最初期から現在まで変わっていない。求めているのは「クルマを操る楽しさ」=「FUN」だ。その実現のために目指すのが、4輪の接地バランスである。どんな路面、状況でも、しっかりと4輪を接地させることで、意のままのコーナーリングとしなやかで上質な乗り味を実現させる。そして最適な4輪の接地バランスを生むために、エアロパーツ、サスペンション、アルミホイールが貢献する。これがモデューロの開発思想となっている。

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「ホイールもサスペンションのひとつ」という開発思想

そんなモデューロブランドのアニバーサリー取材会で用意された目玉商品が、新型アルミホイール「MS-050」であった。これは2024年春にマイナーチェンジ予定の「ヴェゼル」用の製品で、発売のタイミングは車両とあわせることになる。取材時は、無論まだ発売前であった。

そのコンセプトは、「アルミホイールもサスペンションの一部」というホンダアクセス独自の開発思想をもとに、「ホイールをしならせることでタイヤの接地面圧を高め、タイヤのパフォーマンスを最大限に引き出すこと」だという。

開発を担当したホンダアクセスのスタッフは、「ステアリングを切ってから、ちょっと遅れてクルマが曲がるような印象を避けようと考えました。ホイールのどこか一部だけが強いと、弱いところだけがしなってしまいます。剛性のバランスをとって、ホイール全体をしならせることで、クルマがリニアに動くことを目指しました」と説明する。実際の開発では、コンマ何mm単位で厚みの異なるホイールを用意し、実走で比較して最終的な仕様を決定したという。ホイールに求められる基本性能を確保しながら、わずかな差で乗り味の違いを生み出すのだ。

ちなみに、筆者としては1960~1980年代を感じさせるどこか懐かしいデザインは、入社まもない若手が手がけたものであるという。ファッションのトレンドが何度も繰り返されるように、クルマのパーツもトレンドが復活するのだろう。

「ヴェゼル」の純正ホイール(写真左)とモデューロの新型「MS-050」(同右)。
「ヴェゼル」の純正ホイール(写真左)とモデューロの新型「MS-050」(同右)。拡大
マイナーチェンジ後の「ヴェゼル」用に開発された「MS-050」。リムとスポークの剛性バランスを最適化している。
マイナーチェンジ後の「ヴェゼル」用に開発された「MS-050」。リムとスポークの剛性バランスを最適化している。拡大
「MS-050」の開発を担当した、ホンダアクセス開発部の菊川邦裕氏(写真右)と菊田辰哉氏(同左)。
「MS-050」の開発を担当した、ホンダアクセス開発部の菊川邦裕氏(写真右)と菊田辰哉氏(同左)。拡大

新型のホイールの効果を体感

取材会には広い駐車場を使った試乗コースが用意されていた。パイロンによって、定常円走行ができるようになっている。そのコースを、純正ホイールを装着したヴェゼルと、新型ホイールのMS-050を装着したヴェゼルを走らせて比較を行った。ちなみに、純正ホイールとMS-050の重量差はほとんどないという。異なるのは、MS-050は“しなり”を意識したつくりになっているという点だ。

比較試乗をしてみると、確かに純正ホイールとMS-050の違いを体感することができた。

まず、走り出した瞬間から「お、ほんの少し路面がよくなったのでは?」と感じるほどに微振動が減っている。定常円走行でタイヤの限界を超えるようなスピードで走れば、明らかにMS-050のほうがコントロールしやすい。重量の変わらないホイール同士でありながらも、フィーリングが異なるということに驚くばかりだ。

パイロンを並べた特設コースで定常円走行を実施。純正ホイールと「MS-050」を乗り比べてみた。
パイロンを並べた特設コースで定常円走行を実施。純正ホイールと「MS-050」を乗り比べてみた。拡大

東京オートサロンでの反響が発売を後押し

続いて用意されていたのが、「シビック/シビックe:HEV」用のテールゲートスポイラーだ。これは、2023年の東京オートサロンに出品された「シビックe:HEVスポーツアクセサリーコンセプト」(参照)に装着されていたもので、形状は「シビック タイプR」用の製品と同じとなる。東京オートサロンでの評判のよさから商品化が決定され、2024年内の発売に向けて現在開発中であるという。

「ポイントはタイプR用と同じですけれど、ノーマルのシビックに最適化させています。ノーマルのシビックでも、タイプRに負けないような性能を求めるお客さんにも満足してもらえるように考えています」と開発担当のスタッフは説明する。

ウイングの裏側を見ると、タイプR用のそれと同様に“のこ刃(シェブロン)”形状の空力デバイスが備わっている。これは航空機のジェットエンジンから着想を得たもので、ギザギザののこ刃形状が空気の流れに干渉することで、乱流を車体から遠ざけ、高速走行時の安定感を高めるというものだ。また素材には樹脂を使用することで、手に入りやすい価格を狙うという。

開発中の、「シビック/シビックe:HEV」用のテールゲートスポイラー。
開発中の、「シビック/シビックe:HEV」用のテールゲートスポイラー。拡大
テールゲートスポイラーの裏側には、ギザギザとしたのこ刃形状の空力デバイスが備わっている。
テールゲートスポイラーの裏側には、ギザギザとしたのこ刃形状の空力デバイスが備わっている。拡大

日常生活でも効果のある“実効空力”

今回のシビック用空力パーツは、モデューロが得意とするもののひとつだろう。モデューロは2008年より「実効空力」という思想を提唱している。これは、風洞実験のみならず実走を重視する開発手法であり、日常の速度域でも体感できる空力効果を目指すというものだ。

取材時には、その実効空力を体感するための試乗メニューも用意されていた。それが「S660モデューロX」での、3種類のバンパーの比較試乗だ。ひとつは通称“ぬりかべ”と呼ばれる、真っ平らな前面を備えた状態のもの。続いてはノーマルバンパー。そして最後が、“実効空力バンパー”仕様だ。試乗はアルミホイールの比較時と同じで、定常円の特設コースを使用。速度は30~50km/hほどだ。

最初に試したのは“ぬりかべ”仕様だ。見た目はスゴいけれど、正直、違和感はなかった。ところがノーマルバンパー仕様に乗ると、クルマがぴたりと安定する。そして最後の“実効空力バンパー”仕様では、より運転が容易になるのだ。特に最後の一台は、後輪のグリップも非常にわかりやすくなっていた。フロントタイヤのグリップで曲がるのではなく、4輪を使って走る実感が強くなる。まさに、モデューロが提唱する“4輪の接地バランス”が体感できる比較試乗となった。

この日の取材では、新型のアルミホイールと開発中のテールゲートスポイラーを通し、モデューロの開発思想を体感することができた。単なるドレスアップのためのアクセサリーではなく、しっかりとした効果を提供するというのが、モデューロの大きな価値なのだ。

(文と写真=鈴木ケンイチ/編集=堀田剛資)

実効空力を体感するために用意された通称“ぬりかべ”バンパーを装着した「S660モデューロX」。
実効空力を体感するために用意された通称“ぬりかべ”バンパーを装着した「S660モデューロX」。拡大
“ぬりかべ”の特製バンパーを外すと、その下には純正バンパーが。
“ぬりかべ”の特製バンパーを外すと、その下には純正バンパーが。拡大
“ぬりかべ”仕様、純正バンパー仕様、モデューロのバンパー仕様で比較試乗すると、その差が実感できた。
“ぬりかべ”仕様、純正バンパー仕様、モデューロのバンパー仕様で比較試乗すると、その差が実感できた。拡大
鈴木 ケンイチ

鈴木 ケンイチ

1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

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