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第32回:フリード VS. シエンタ(後編) ―世界に誇る和製カーデザインの極致―

2024.07.10 カーデザイン曼荼羅 渕野 健太郎清水 草一
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コンパクトミニバンの双璧をなす「ホンダ・フリード」と「トヨタ・シエンタ」。ニッポンが世界に誇るミニマル多機能マシンは、デザインの分野でも世界に誇れるものなのか? 元カーデザイナーの識者とともに、人気モデルの造形を掘り下げる。

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「これに乗ったら終わり」と思っていた

渕野健太郎(以下、渕野):……で、ここからフリードのライバルであるシエンタの話をしようと思います。こちらが初代ですけど、いったん販売を終了してから復活したんですよね? それってすごいことですよ。

webCGほった(以下、ほった):まぁ普通あり得ないですよね。

渕野:初代も割としっかり芯が通った形で、悪くないと思います。ただ、所有欲を感じるほどではありませんでした。

清水草一(以下、清水):いやー。実用性は高かったけど、カーマニア的には「これに乗ったら終わり」みたいに思ってました。

ほった:そ、そこまでですか?

清水:だって趣味性ゼロじゃない。デザインも悪くはないけど、託児所みたいでさ。

渕野:私はそこまでは思わないんですけど(笑)。でもなんかこう、もう少しクルマらしい魅力みたいなのが出ればさらによかったですね。で、次は2代目です。

清水:私はこれの元オーナーなんです! 半年で売っちゃいましたけど。

渕野:え、なんでこれ買おうとしたんですか?

清水:デザインもパッケージングも大好きだったんで。フリードとシエンタ、2代目同士を比べたら、デザインに関してはシエンタが大差で勝ってたと思います。なにしろ攻めてましたからね、超アバンギャルドに。これ、まるでシトロエンじゃないですか!

ほった:おおっと。

渕野:……なるほどー(笑)。

清水:パッケージングはほぼ互角だったけど、シエンタは3列目が床下収納(2列目シートの下に格納)でしょ。そこもリードしてた。

ほった:いや。それについてはどちらがリードしているというより、どちらも一長一短あるというのが実情のようですけど。

渕野:シエンタは現行型も3列目は床下収納ですけど、ホンダは左右跳ね上げ式を継続してますね。正直、そこは不思議だなと思ってます。ホンダのほうが床下収納をやりそうじゃないですか。だけどこれに限っては、シエンタのほうがオリジナルの工夫が入ってる。ほとんど3列目を使わない人にとっては、すごくいいパッケージですよね。

清水:当時のわが家にピッタリだったんです。ルックスにもビビビときました。

日本が誇るコンパクトミニバンの双璧が、デザインで勝負! 後編では、主に「トヨタ・シエンタ」のデザインを掘り下げてみる。
日本が誇るコンパクトミニバンの双璧が、デザインで勝負! 後編では、主に「トヨタ・シエンタ」のデザインを掘り下げてみる。拡大
2003年9月に登場した初代「シエンタ」。2010年に絶版となるも、翌年に不死鳥のごとく復活。数奇なモデルライフを送った一台だった。
2003年9月に登場した初代「シエンタ」。2010年に絶版となるも、翌年に不死鳥のごとく復活。数奇なモデルライフを送った一台だった。拡大
2011年5月の復活時には、妙にカクカクした意匠の派生モデル「シエンタ ダイス」も登場。こうしたテコ入れもあって、初代「シエンタ」は実に12年にわたり現役で活躍した。
2011年5月の復活時には、妙にカクカクした意匠の派生モデル「シエンタ ダイス」も登場。こうしたテコ入れもあって、初代「シエンタ」は実に12年にわたり現役で活躍した。拡大
2代目「シエンタ」は、トレッキングシューズをイメージしたという斬新なデザインで2015年7月に登場。カラーバリエーションも攻めたもので、「エアーイエローにメタリックブルーのアクセント」なんて仕様も選択できた。
2代目「シエンタ」は、トレッキングシューズをイメージしたという斬新なデザインで2015年7月に登場。カラーバリエーションも攻めたもので、「エアーイエローにメタリックブルーのアクセント」なんて仕様も選択できた。拡大
2022年8月に登場した3代目「シエンタ」。デザインに関しては、前衛的だった2代目から一転して親しみやすさを重視。車体色にも落ち着いたアースカラーが多数設定されている。
2022年8月に登場した3代目「シエンタ」。デザインに関しては、前衛的だった2代目から一転して親しみやすさを重視。車体色にも落ち着いたアースカラーが多数設定されている。拡大
3列目シートの格納はユニークで、背もたれを倒した後に2列目シートの下にしまい込む方式だ。初代から受け継がれる、「シエンタ」伝統のシートアレンジである。
3列目シートの格納はユニークで、背もたれを倒した後に2列目シートの下にしまい込む方式だ。初代から受け継がれる、「シエンタ」伝統のシートアレンジである。拡大
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トヨタデザインはここから変わった!

渕野:エクステリアに関しては、明快なサイドシルエットがとてもよかったですね。ただランプからはじまるフロントとリアのグラフィックが、割と有機的な線質なのでややくどいかなとは思います。

ほった:ヘッドランプまわりの“涙”とかですね。

渕野:もうちょっとシンプルだったらよかったけど、でもよく売れましたよね。

清水:いや、実際売れたんですけど、それより非常にエポックメイキングなクルマだったんです。2代目シエンタは、トヨタデザインがぐんぐん上昇していった黎明(れいめい)期のクルマなんですよ!

ほった:……そうなりますか。

清水:2015年の頭に先代「アルファード」が登場して、オラオラ顔の新境地を切り開いたでしょ。で、同じ年の夏にシエンタが登場してシトロエンを超えた!

ほった:なかなかコメントしづらいですね(笑)。でもこの型って、マイナーチェンジでお顔を変えたり、カラーバリエーションを変えたりとかして、デザイナーさんの迷いが見えたんじゃないですか?

清水:あれは迷いじゃなく刺激だよ。新たな弾薬を投入したの。

渕野:営業からの要望ですよね。どんなクルマでも、マイナーチェンジのときはいろいろ変えるはずなので。特にトヨタとかは、ネガをつぶしてお客さんが欲するものを用意するっていうのを、徹底してやるはずです。

ほった:なるほどですねぇ。……てか、そもそも清水さんは、なんで半年で売っちゃったんですか?

清水:ガソリン車のアクセルセッティングがガバチョ(早開き)で、だんだん耐えられなくなったの。ハイブリッドを買ってれば今でも乗ってたかも。デザインとは関係ないよ!

ほった:あらら~(笑)。

ロングルーフのシルエットや、ユニークなウィンドウグラフィックとドアの切り欠きが目を引くサイドビュー。いっぽうで、ランプから流れ落ちるような意匠の装飾は、ちょっと“やりすぎ”に感じられた。
ロングルーフのシルエットや、ユニークなウィンドウグラフィックとドアの切り欠きが目を引くサイドビュー。いっぽうで、ランプから流れ落ちるような意匠の装飾は、ちょっと“やりすぎ”に感じられた。拡大
清水氏も述べているとおり、トヨタのデザインは2010年代の半ばごろから激変している。当時は「TNGA」を合言葉にクルマづくりの大改革が行われていたころで、これ以降、デザイン面でも挑戦的なモデルが次々に登場していった。写真は2016年3月のジュネーブショーで発表された「C-HR」。TNGA世代の第2弾モデルだ。
清水氏も述べているとおり、トヨタのデザインは2010年代の半ばごろから激変している。当時は「TNGA」を合言葉にクルマづくりの大改革が行われていたころで、これ以降、デザイン面でも挑戦的なモデルが次々に登場していった。写真は2016年3月のジュネーブショーで発表された「C-HR」。TNGA世代の第2弾モデルだ。拡大
トヨタデザインの革新を語るうえで外せない人物なのが、2019年からデザイン領域のトップを務めるサイモン・ハンフリーズ氏。1994年入社で、2012年にトヨタデザイン部部長に就任している。 
ほった「トヨタデザインの話についても、いずれこの連載でまとめてみたいですねぇ」
トヨタデザインの革新を語るうえで外せない人物なのが、2019年からデザイン領域のトップを務めるサイモン・ハンフリーズ氏。1994年入社で、2012年にトヨタデザイン部部長に就任している。 
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当初はアバンギャルドだった2代目「シエンタ」だが、2018年9月のマイナーチェンジで、やや落ち着いたデザインへと方向性を微修正。グリルを中心にフロントまわりに手が加わり、カタログ等を飾る訴求色も、おとなしい色味のものとなった。
当初はアバンギャルドだった2代目「シエンタ」だが、2018年9月のマイナーチェンジで、やや落ち着いたデザインへと方向性を微修正。グリルを中心にフロントまわりに手が加わり、カタログ等を飾る訴求色も、おとなしい色味のものとなった。拡大

「フィアット・パンダ」に似てる?

渕野:で、今の3代目なんですけど、私はこのデザイン、好きなんですよ。

ほった:いいですね。

清水:ほったくん、3代目はオッケーなの?

ほった:いいと思います。ダメですか?

清水:いやぁ、いいよ! すごく楽しそうなカタチしてる!

渕野:いいですよね。適度な道具感があって、親しみやすさもある。それがいい具合に融合してます。これだったら自分も買ってもいいかなと思いました。ネットの反応を見ると、これも全然ダメっていう人も結構いますけど。

清水:ダメな人にはダメなんだろうね。アルファード同様。

渕野:「フィアット・パンダ」に似てるっていう話もありましたけど。

ほった:いんや、全然似てないです。

清水:2台を並べたらだいぶ違うけど、シルエットだけ見ると、ちょっと似てるっちゃ似てるんじゃない? 2代目シエンタがシトロエンを超えたように、3代目はパンダを超えた!(笑)

渕野:シルエットや立体構成が違うので、私としては似てると思ったことはないですが、ドア下の黒いくくりとか、リアコンビランプあたりの処理とか、グラフィックは確かに似ているところがあるかもです。

ほった:いやいやいや。そりゃあ探せば似てるところはあるでしょうが、実車を前にしたときの印象がねえ……。実はwebCG編集部は、前の社用車が「パンダ4×4」だったんですよ。私なぞは、それこそ毎日のようにパンダ号を目にしていたわけです。で、やっぱり全然、シエンタは受ける印象が違うんですよ。シエンタのほうがシルエットが伸びやかだし、下肢が踏ん張ってるし、面の抑揚も強くて乗用車っぽい質感がある。似てる似てるって騒いでる人は、ちゃんと実車を見比べて言ってるんですかね(怒)。

渕野:まぁまぁ。そのあたりは難しい話ですから。それに実際、シエンタのデザイナーがパンダを参考にしたってことは、多分ないです。独自にやってて、結果がこうなったっていうだけでしょう。

現行型の3代目「シエンタ」。テレビCMには“ワン”バサダーことペットモデルのちょうじゅうろう君も出演。動物好きやファミリー層に強く訴求した。(写真:荒川正幸)
現行型の3代目「シエンタ」。テレビCMには“ワン”バサダーことペットモデルのちょうじゅうろう君も出演。動物好きやファミリー層に強く訴求した。(写真:荒川正幸)拡大
デザインのテーマは「シカクマル」。コーナーを丸めたその姿は、クルマを大きく、偉く見せようというものではなく、コンパクトさや取り回しのしやすさを視覚的にも表現したものだった。(写真:荒川正幸)
デザインのテーマは「シカクマル」。コーナーを丸めたその姿は、クルマを大きく、偉く見せようというものではなく、コンパクトさや取り回しのしやすさを視覚的にも表現したものだった。(写真:荒川正幸)拡大
3代目「シエンタ」(右下)はデビュー当時、「『フィアット・パンダ』(左上)に似ている!」と一部で騒がれた。
3代目「シエンタ」(右下)はデビュー当時、「『フィアット・パンダ』(左上)に似ている!」と一部で騒がれた。拡大
「フィアット・パンダ」(上)と「トヨタ・シエンタ」(下)のサイドビューの比較。 
ほった「一部のグラフィックのせいでシエンタがパクリだってことになるなら、フィアットとシトロエンは、年がら年中お互いをパクリあってたことになりますよ」
「フィアット・パンダ」(上)と「トヨタ・シエンタ」(下)のサイドビューの比較。 
	ほった「一部のグラフィックのせいでシエンタがパクリだってことになるなら、フィアットとシトロエンは、年がら年中お互いをパクリあってたことになりますよ」拡大

このデザインは世界の水準を超えている

渕野:現行シエンタが造形の見せ場としてるところは、前後のコーナーまわりですね。そこでしっかり落差をつけて見せ場としてるんですけど、これもすごくトヨタらしいなって思いました。造形の“利きどころ”をわかってやってる感じがするんですよね。「このパッケージだと、ここに“造形しろ”があるから、ここをメインでやろう」という雰囲気が感じられる。トヨタってうまいなぁ、と思います。

ほった:確かに、顔まわりはすごく立体的ですね。フェンダーもしっかり張り出している。

渕野:ええ。このクルマは5ナンパー枠ですよね? 5ナンバーでこの背の高さで、踏ん張り感もそれなりに見せられている。すごくレベルの高いデザインだと思います。

清水:なるほど。先代シエンタにはそれはないな。

渕野:ということで、私的にはですね、フリードとシエンタはどちらも甲乙つけがたいんです。方向性が全然違いますけど、デザインのクオリティーはどっちもすごく高いレベルにある。どう思いますか?

清水:おっしゃるとおりです。高いレベルで、全然個性が違っていて、すごくいいライバル関係ですよね。こんなクルマ、世界を見渡してもほかにないし。

渕野:強いて言えば「シトロエン・ベルランゴ」あたりですけど、あれは商用ベースですからね。スライドドアも手動だし。

清水:サイズもまるで違いますしね。

渕野:このクラスで電動スライドドアも入ってるんですから、日本はすごいですよ。

ほった:限られたスペースと予算のなかで、一番ぜいたくなものをつくるってことに関しては、日本車は本当にすごいと思います。デザインの質感も、「ルノー・カングー」とか「フィアット・ドブロ」とかと比べても高いんじゃないかな。ことカーデザインに関しては、皆さんちょっとヨーロッパかぶれしすぎてませんか? って、いつも思うんですよ。

清水:日本の道路環境からすると、サイズがこれだけちっちゃくて、室内がこれだけ広いっていう時点で無敵でしょ。

渕野:無敵だなと思いますね。甲乙つけがたいです。

3代目「シエンタ」のデザインスケッチ。 
ほった「これを見ると、当初はもっとモノフォルムに近い形を考えていたんですかね」
3代目「シエンタ」のデザインスケッチ。 
	ほった「これを見ると、当初はもっとモノフォルムに近い形を考えていたんですかね」拡大
左右のコーナーが大きく、丸く削り込まれたフロントまわり。バンパーやフェンダーと、そこから上のボンネットまわりとで大きく段差がつけられており、非常に立体的な造形となっている。(写真:向後一宏)
左右のコーナーが大きく、丸く削り込まれたフロントまわり。バンパーやフェンダーと、そこから上のボンネットまわりとで大きく段差がつけられており、非常に立体的な造形となっている。(写真:向後一宏)拡大
造形に見る3代目「シエンタ」の特徴といえば、やはりこのスタンスのよさ。タイヤが小さく、デザインしろの少ないコンパクトミニバンでありながら、お見事としか言いようがない。(写真:向後一宏)
造形に見る3代目「シエンタ」の特徴といえば、やはりこのスタンスのよさ。タイヤが小さく、デザインしろの少ないコンパクトミニバンでありながら、お見事としか言いようがない。(写真:向後一宏)拡大
そこら辺を普通に走っているので気づかないが、「ホンダ・フリード」と「トヨタ・シエンタ」は、世界的にも希有(けう)なクルマなのだ。欧米にはこんな小さなミニバンはないし、箱型のミニバン自体、今では商用車派生のモデルが主流で、装備もデザインも割り切られている例が少なくない。写真は、渕野氏が「強いて言うなら」と類似車種の例に挙げた「シトロエン・ベルランゴ」だが……。
そこら辺を普通に走っているので気づかないが、「ホンダ・フリード」と「トヨタ・シエンタ」は、世界的にも希有(けう)なクルマなのだ。欧米にはこんな小さなミニバンはないし、箱型のミニバン自体、今では商用車派生のモデルが主流で、装備もデザインも割り切られている例が少なくない。写真は、渕野氏が「強いて言うなら」と類似車種の例に挙げた「シトロエン・ベルランゴ」だが……。拡大

ホンダデザインに幸あれ!

渕野:こういうクルマなんでインテリアのお話もしたいと思うんですけど、ここに関しては、フリードが収納を隠してきれいにシンプルに見せようとしているのに対して、シエンタは助手席前のトレイなんかが機能重視で、「どうせごちゃごちゃにするんだから、フタとかつけずに使ってもらおう」みたいなイメージですね。

清水:そっちでも好対照。

渕野:好みで選べばいいんですけど、フリードのこのシンプルさ、部屋のインテリアみたいな質感はすごくいい。先代フリードや先代N-BOXの室内は、いろんなものがゴテゴテしてましたけど、最近のホンダは内装がすごくシンプルになっていて、自分が昔乗ってた2代目「ホンダ・トゥデイ」と構成が同じなんですよ。

清水:それはだいぶマニアックだなー。

渕野:結論として、やっぱりこの2台は甲乙つけがたいわけです(笑)。

ほった:この連載にしては、いつになく平和な結論ですね。……ただワタシがちょっと不安に思うのは、ホンダがシンプル系のエクステリア&ファッショナブル系のインテリアになってから、どれもいまいち消費者の受けがよろしくないじゃないですか。フィット、ステップワゴンときて、N-BOXも最近「スズキ・スペーシア」に首位を奪われましたし。(参照

渕野:そうなんですよねぇ。そこはホンダに頑張ってほしいところですけど。

清水:値段の頑張りが足りないだけじゃない?

ほった:それ言っちゃおしまいでしょ!

(語り=渕野健太郎/文=清水草一/写真=トヨタ自動車、本田技研工業、荒川正幸、向後一宏、webCG/編集=堀田剛資)

全体的にシンプルな印象の、3代目「ホンダ・フリード」のインストゥルメントパネルまわり。助手席のアッパーグローブボックスをファブリックを張ったフタで隠すなど、雑然としたデザインにならないよう配慮がなされている。
全体的にシンプルな印象の、3代目「ホンダ・フリード」のインストゥルメントパネルまわり。助手席のアッパーグローブボックスをファブリックを張ったフタで隠すなど、雑然としたデザインにならないよう配慮がなされている。拡大
3代目「トヨタ・シエンタ」のインストゥルメントパネルまわり。ドリンクホルダーなどにオレンジの差し色を施すなど、あえて収納スペースを強調している。「ホンダ・フリード」とは対照的なデザイン/設計思想なのだ。
3代目「トヨタ・シエンタ」のインストゥルメントパネルまわり。ドリンクホルダーなどにオレンジの差し色を施すなど、あえて収納スペースを強調している。「ホンダ・フリード」とは対照的なデザイン/設計思想なのだ。拡大
SUVスタイルの「ホンダ・フリード クロスター」。 
ほった「そういえば、コンパクトミニバンだと“付加価値デザイン”はオラオラ系ではなくてオフロード系になるんですね」 
清水「それどころか、『トヨタ・シエンタ』には初代の『ダイス』を除くと、付加価値デザインの派生モデル自体が存在しないよ」
渕野「トヨタのことですから、深い計算があってのことなんでしょうねぇ」
SUVスタイルの「ホンダ・フリード クロスター」。 
	ほった「そういえば、コンパクトミニバンだと“付加価値デザイン”はオラオラ系ではなくてオフロード系になるんですね」 
	清水「それどころか、『トヨタ・シエンタ』には初代の『ダイス』を除くと、付加価値デザインの派生モデル自体が存在しないよ」
	渕野「トヨタのことですから、深い計算があってのことなんでしょうねぇ」拡大
「ホンダ・フリード」(左上)と「トヨタ・シエンタ」(右下)。
「ホンダ・フリード」(左上)と「トヨタ・シエンタ」(右下)。拡大
渕野 健太郎

渕野 健太郎

プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間にさまざまなクルマをデザインするなかで、クルマと社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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