だから価格がぐんぐん上がる!? 近年で装着が義務化されたクルマの装備
2024.10.02 デイリーコラム相次ぐ予防安全装備の義務化
クルマの価格上昇の理由のひとつに、いわゆる先進安全装備の義務化が挙げられる。近年でいえば、2020年のオートライト、2021年の自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)、2022年のバックカメラなど、毎年のように装備の義務化が続いている。そして、2024年に発表となったのがヘッドライトのオートレベリング機能の義務化だ。それぞれの内容を詳しく紹介してみよう。
オートライトとは、周囲が暗くなると自動でヘッドライトが点灯するという機能のことだ。手動でオフにできないことも条件となっている。2016年に公布・施行となり、通常の乗用車の新型車には2020年4月からの適用となった。継続生産車は翌2021年10月からだ。
乗車定員11人以上および貨物車で、車両総重量3.5tを超えるものは、新型車で2021年4月から、継続生産車で2023年10月からとなっている。
続いて、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)の義務化は、2020年1月の公布・施行となる。国産車の場合、新型車は2021年11月から、継続生産車は2025年12月からだ。輸入車は新型車が2024年7月、継続生産車が2026年7月からとなる。また、軽トラックの継続生産車はさらに遅く、2027年9月からの適用となる。
バックカメラの義務化は、2021年6月に公布・施行されている。具体的には後退時車両直後確認装置(バックカメラ、検知システムまたはミラー)の装着が求められるのだ。現実的には、後ろの様子を確認できる、何かしらかのディスプレイ装置も必須となる。適用は新型車が2022年5月からで、継続生産車が2024年5月を予定していたが、能登半島地震等の影響もあり、2024年11月に延期されている。
拡大 |
最新の規制の適用は2027年9月から
そして、最後となるのがヘッドライトのオートレベリング機能の装備拡大だ。こちらは2024年9月に公布・施行されたばかり。適用は一般的な乗用車の新型車が2027年9月で、継続生産車が2030年9月となる。乗車定員11人を超える車両や車両総重量3.5t超の貨物車は、新型車が2028年9月、継続生産車が2031年9月となる。
実のところ、ヘッドライトの光の向きを調整するレベリング機能は、2006年の時点ですでに義務化されている。ただ、2006年の規制では、「光源が2000lm(ルーメン)超の高輝度のすれ違い用前照灯(ロービーム)」を備える車両に対してだけ、自動で作動するオートレベリング機能の着用が義務づけられていたのだ。
2000lmを超えるライトというのは、相当に明るい。一般的なハロゲンランプ1灯の明るさは数百の単位で、1000lmを超えることはめったにない。つまり、LEDなどの高性能なヘッドライト装着車のみへのオートレベリング機能の義務化であり、それ以外は手動のレベリング機能があれば十分だった。運転席まわりにある光軸調整のダイヤルが、手動レベリング機能のスイッチというわけだ。それがオートになるということは、調整用のダイヤルがなくなることを意味する。
現在の愛車に、そうした手動のダイヤルがなければ、すでにオートレベリング機能が装備されていることになる。また、通常の登録車の多くには、すでにオートレベリング機能が採用されているといえる。つまり、今回の規制は、オートレベリング機能の義務化の拡大となる。対象は、コストに厳しい軽自動車や商用車といった車両となるのだ。
拡大 |
便利で安全になるのはいいけれど
なぜ、これほどまでに続々と新しい規制が導入されるのだろうか? そこには理由があった。それが国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の存在だ。これは、名前にもあるように世界の自動車の基準を“調和”させることを目的とした組織だ。国際連合の欧州経済委員会(UN/ECE)の下部組織であり、欧州をはじめ、日本やアメリカ、カナダ、オーストラリア、南アフリカ、中国、韓国などがメンバーになっている。
そして、近年のオートライトをはじめ、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)、バックカメラ、オートレベリング機能という新しい規制は、すべてWP29において採択されたというのが、日本への導入の理由なのだ。
クルマという製品は、グローバル市場で販売されるものとなるが、かつては安全性能や環境性能の基準は国ごとにバラバラに制定されていた。それを国際的に調和する(同じものにする)ことで、自動車メーカーの開発や登録関係の手間を省こうという取り組みなのだ。最も進んだ、そして厳しい基準が統一ルールとして導入されることになれば、ユーザーとしてもメリットが大きいといえる。新しい基準の導入は安全性を高めることにはなるけれど、一方でコストアップの要因にもなっている。新機能で安全で便利になるのはうれしいけれど、値段が上がるのも困りもの。なんとも絶妙な規制ラッシュといえるだろう。
(文=鈴木ケンイチ/写真=トヨタ自動車、日産自動車/編集=藤沢 勝)
拡大 |

鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
-
電気自動車の中古相場はどうなっている? いま狙い目のユーズドEV 5選 2026.2.2 電気自動車(EV)の普及が本格化し公共の充電設備が混み合う間に、驚くほどお買い得な中古EVを手に入れて、EVライフを満喫するのはいかが? 大チャンスかもしれない今、狙い目のフル電動モデルをピックアップしてみよう。
-
待望の7人乗りMPV「ルノー・グランカングー」を大解剖 ライバルにはない魅力はあるか? 2026.1.30 いよいよ日本に導入された、ロングボディー・3列シートの「ルノー・グランカングー」。満を持して登場した真打ちは、競合する国産ミニバンや7人乗りの輸入MPVに対し、どのような特徴があり、どんな人におススメなのか? 取材会で実車に触れた印象を報告する。
-
「スバルPerformance-B STIコンセプト」の市販化はズバリ2027年!? 2026.1.29 スバルが「東京オートサロン2026」でスーパー耐久シリーズ2026の参戦車両を発表。そのプロフィールは「スバルPerformance-B STIコンセプト」そのものだ。同モデルの市販化はあるのか。スバリストが願望を込めつつ予想する。
-
クワッドモーター搭載で過去にないパフォーマンス BMWが示したBEV版「M3」の青写真 2026.1.28 BMW Mが近い将来に市場投入を図る初のピュア電気自動車の骨子を発表した。車種は明かされていないものの、「BMW Mノイエクラッセ」と呼ばれており、同時に公開された写真が小型セダンであることから、おそらく次期型「M3」と思われる。その技術的特徴を紹介する。
-
春は反則金祭り!? 2026年4月に始まる「自転車の青切符導入」を考える 2026.1.26 2026年4月から、自転車を対象とした交通反則通告制度(青切符)が導入され、違反者には反則金が科されるようになる。なぜこうした事態になったのか、実情について自動車ライターの工藤貴宏が語る。
-
NEW
フェラーリ849テスタロッサ(4WD/8AT)【海外試乗記】
2026.2.3試乗記フェラーリの新型スーパースポーツ「849テスタロッサ」は、スペシャルモデル「F80」に通じるデザインをまとい、歴史的な車名が与えられている。期待高まる、その走りは? スペインで試乗した西川 淳の第一報。 -
NEW
第328回:二極化の真実
2026.2.2カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。夜の首都高に最高出力520PSを誇る「アルファ・ロメオ・ジュリア」の限定車「クアドリフォリオ エストレマ」で出撃した。アクラポビッチ製エキゾーストシステムが奏でるサウンドも走りも、すべてがドストライクだった。 -
NEW
電気自動車の中古相場はどうなっている? いま狙い目のユーズドEV 5選
2026.2.2デイリーコラム電気自動車(EV)の普及が本格化し公共の充電設備が混み合う間に、驚くほどお買い得な中古EVを手に入れて、EVライフを満喫するのはいかが? 大チャンスかもしれない今、狙い目のフル電動モデルをピックアップしてみよう。 -
アウディS5アバント(後編)
2026.2.1ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルやSTIでクルマの走りを鍛えてきた辰己英治が、アウディの高性能スポーツワゴン「S5アバント」をチェック。最近は電気自動車に傾注しているアウディだが、“エンジン付き”のハイパフォーマンスモデルも太鼓判を押せる仕上がりとなっていた。 -
古今東西、ディーゼルエンジン搭載車特集
2026.2.1日刊!名車列伝暫定税率の廃止などで、燃料代が意識される今日このごろ。あなたは、そのコストが比較的抑えられるディーゼル車に興味がありますか? 今月は、ディーゼルエンジン搭載車をラインナップしていた世界の名車を日替わりで紹介します。 -
レクサスRZ550e“Fスポーツ”(4WD)【試乗記】
2026.1.31試乗記レクサスの電気自動車「RZ」が大型アップデートを敢行。特に今回連れ出した「RZ550e“Fスポーツ”」は「ステアバイワイヤ」と「インタラクティブマニュアルドライブ」の2大新機軸を採用し、性能とともに個性も強化している。ワインディングロードでの印象を報告する。

































