フィアット500 1.4 16V ポップ(FF/5AT)【ブリーフテスト】
フィアット500 1.4 16V ポップ(FF/5AT) 2008.07.28 試乗記 ……220.0万円総合評価……★★★★
1.2リッターのみラインナップしていた「フィアット500」に、1.4リッターモデルが追加された。排気量200ccの差は、実際の走りにどんな違いをもたらすのか?
2人以上で乗るのなら……
1.2と1.4の排気量の違いは、さほど大きくない。チンクエチェントのキャラクターからいえば1.2で十分だ。速く走りたければエンジンを回して使えばいいし、排気量に期待するトルク感を求めるならば、回さずに低回転でトロトロ……という方法もある。
ただし、この1.4リッターユニットは回して使ったほうが面白い。となるとクラッチ付きの6MTと組み合わせてスポーティに……とも思うが、それにはハイパフォーマンスな「アバルト仕様」が控えている。今のままでは棲み分けが中途半端。カムを変えるなどして自動変速に合うような性格作りが肝要と思われる。
とはいえ、このクルマを単体でみれば、コンパクトサイズの“愛玩車”である点では変わらず、ちょっとからかい半分にスポーツカーをコーナーで追い詰めたり、大きなクルマに馬鹿にされない瞬発力を見せつけてやるのもいい。日常的に2人以上で乗る機会のあるファミリーカー的な使いみちを考えるなら、少しでも排気量で勝る1.4がいいかもしれない。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「フィアット500」(チンクエチェント)は、1957年7月4日にデビューした同名車のリバイバル版だ。旧型は3mに満たない愛らしい外観で知られ、500ccの空冷直列2気筒エンジンをリアに搭載し後輪を駆動した。小変更を加えつつ、1977年までに400万台以上が生産された。
現行型は、ちょうど半世紀後の2007年7月4日に、イタリア本国でデビューした。フィアットのコンパクトカー「パンダ」をベースとするFF車ながら、かつての500を彷彿とさせる内外装が特徴。全長が3.5mを超えるなど、寸法上はふたまわりほど大きくなっている。
フロントに搭載されるエンジンはすべて4気筒で、「500」の排気量は継承されない。欧州では、ガソリンは1.2リッター(69ps)と1.4リッター(100ps)、ディーゼルは1.3リッター(75ps)をラインナップ。トランスミッションは、オーソドクスなMTと、オートマチックドライブを可能とする2ペダルMT「デュアロジック」が組み合わされる。
車両設計は、フィアットスタイルセンターが担当。ポーランドのティヒ工場で生産される。
(グレード概要)
試乗車は「1.4 16V ポップ」。2008年3月に日本で発売された1.2リッターモデルに続いて、5月14日にラインナップに加えられた。
100ps、13.3kgmを発生する1.4リッターDOHCユニットを搭載し、1.2と同じ5段2ペダルシーケンシャルトランスミッション「デュアロジック」が組み合わされる。
「ポップ」は“素のグレード”で、ほかにアルミホイールやメッキ装飾、フルオートエアコンなどを加えた上級グレード「ラウンジ」も用意される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
小型車のお手本のひとつ。見ているだけでとにかく楽しい。集合メーターの回転計など決して見やすくはないが、まとめ方が巧く多少の難点を指摘する気も失せる。白いインストゥルメントパネルは、(昔のように)金属のパネルそのものを塗装すればいい話だが、プラスチックの化粧板を張りつけるあたりに、イタリア車のデザインに対するこだわりを感じる。ディテールを大切に扱うのが職人気質だ。
(前席)……★★★★★
イタリア車は小さなクルマでも本質的な部分には手を抜かない。シートはその代表例。タップリしたサイズ、座面後傾斜角、ホールド性、横方向のサポートなど手抜かりナシ。運転好きでもあるイタリア人は、ドライビングの要であるシートへの意識が高い。小型廉価車はこき使われる可能性も高く、耐久性や強度、剛性も十分に確保。日本の軽自動車もこのくらいのクオリティがあるといいナ。
(後席)……★★★
確かにミニマムではあるが、前席を少し前に出してもらえば窮屈ではない。昔のチンクエチェントは運転席に居ながらにして4面のガラスが拭けたけど、今やそれほど狭くはない。長時間は過ごしたくないものの、これだけあれば駅の送迎以上、近距離ドライブまでなら付き合える。エンジンはフロントにあるから熱に攻められることもない。横方向の寸法は十分。
(荷室)……★★★
ここもミニマム。しかしリアシートを畳んで広げれば、2人の旅行用荷物なら十分詰める。畳まずとも、たとえば「RIMOWA(リモワ)」の小サイズ程度なら2つは積める。バックドアはハッチバックタイプ。トレイも備わり荷室が見えないように隠す。フロアはバンパー高より低く不用意に開けても中から荷物が転がり出る心配はない。同型車で5000km/2週間の旅を経験したが、スポーツカーのトランクを思えば納得できるレベルだ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
1.2より確実にパワーはあるが、高速型なので回して使いたくなる。基本的な構造はマニュアルトランスミッションながら、デュアロジック型はクラッチペダルの無い自動変速機で、マニュアルシフトも楽しめるし、オートで変速を機械まかせにもできる。スロットルに対する変速レスポンスに優れ意のままに操れる。低位のギアは早めにシフトアップさせたほうがGの途切れは少ない。3速の守備範囲は広い。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
やや硬めの乗り心地。この点を嫌うならば1.2をお勧めする。コーナーなどで横Gがかかった状態で、斜めに段差を通過するような状況では、リアは横に飛ぶ傾向がみられる。しかし広いトレッドにより安定性は保たれる。ホイールベース/トレッド比の小ささから言っても、グイッと回頭して軽快に旋回していくタイプ。ショートホイールベースゆえのピッチング気味な挙動は止むなしか。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2008年6月12日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2008年型
テスト車の走行距離:1532km
タイヤ:(前)185/55R15(後)同じ(いずれも、コンチネンタル コンチプレミアムコンタクト2)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:311.9km
使用燃料:25.0リッター
参考燃費:12.48km/リッター

笹目 二朗
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