第386回:大矢アキオ&清水草一
イタリアを愛する2人が、知られざるイタリア事情について語り合う
「アモーレ! イタリア」(後編)
2016.12.14
エディターから一言
日伊ランボルギーニ事情
清水草一(以下「清」):フェラーリとくればランボルギーニですが、以前ジローラモさんに、本国イタリアではランボは「イナカの人のクルマ」だと教わったんですけど(笑)。
大矢アキオ(以下「大」):フェラーリと比べると、正直なところ、知名度には少なからず開きがあります。一般のイタリア人はランボルギーニについてあまり知りません。
清:知らないんですか!
大:なにしろランボルギーニのオーナーはフェラーリに輪をかけて少ないですし。スーパースポーツカーは、あくまでも輸出商品です。お年寄りに関していえば、ランボルギーニは、「ミウラ」の記憶で止まっています。戦後イタリア経済が最も華やかだったころの国産プロダクトの象徴だからです。いっぽうで、その前身である農業用トラクターを真っ先に思い出す人も、いまだ少なくありません。
清:日本でのランボ人気は最高です(笑)。近年、ランボルギーニをギトギトにドレスアップするのが流行(はや)ってるんですよ。諸星一家とか。
大:アニメでラッピングした痛車のランボルギーニは、秋葉原で1台見かけましたけど。
清:それとはやや別系統で、全面ゴールドで電飾ピカピカとか、全面スワロフスキー貼りのランボルギーニとかが徒党を組んで走るんです。そのリーダーでありカリスマである諸星伸一君は、3年前のイタリアでの50周年イベントにピンクの「ディアブロ」で参加して、大いに人気とひんしゅくを買ったと日本では伝えられてますが、イタリアでも報道されました?
大:それは全然知りませんでした(笑)。イタリアではフェラーリのことは何かと取り上げられるんですけど、ランボルギーニはあまり取り上げられないんですよ。
清:そうなんだ……。日本にいるとそういうこと、わかりませんね~。
日本車に対するイメージとは?
清:そもそもイタリアでは、一定以上の高級車をドレスアップする人がほとんどいませんよね? 見たことないです。
大:特にスーパースポーツカーは、それ自体を作品として捉えられますから、手を加えることはないですね。極端にオリジナル重視で。
清:日本でああいう極端な改造文化が花開いているのは、日本のオリジナルとして誇りたい気分です! 私の趣味じゃないですけど(笑)。ところでイタリアでは、日本車のイメージってどんな感じですか?
大:世代によってかなり違いますね。高齢者はいまだに日本をコピー大国だと思ってたり。でも若い層は日本のアニメを見て育ってますし、日本車にはいいイメージを持ってますよ。実はそれをやったのはベルルスコーニなんです。
清:そうなんですか?
大:ベルルスコーニがイタリア初の全国放送の民間テレビ局を作って、そこで日本のアニメを流したんですよ。80年代からですね。
清:日本ではスケベジジイとして有名なベルルスコーニ元首相が、実は日本の恩人! 知らなった!
大:イタリアで一番売れてる日本車は「トヨタ・ヤリス」、つまり「ヴィッツ」です。フランスで現地生産されてるんですけど、ヤリスオーナーにそれを言うと嫌な顔するんですよ。日本車は日本製が一番という高品質信仰というか、思い込みがあって。
清:それもまたうれしいですね!
アモーレ! イタリアンパトカー
大:あと売れているのは、日産の「キャシュカイ」と「ジューク」。それと1990年代末からは、高速警察隊が「レガシィ ツーリングワゴン」を採用して、スバルのイメージアップに貢献しました。
清:え、アルプスの方だけじゃなく?
大:イタリア全国においてです。イタリアのパトカーはアルファ・ロメオが多いんですけど、値段が手ごろな4WDのワゴンって他になかったんですよ。
清:言われてみれば……。
大:私が住んでるシエナでは、ドクターカーに「レガシィ」が採用されています。それもまた同じような理由です。イタリアではスバルってエキゾチックなイメージがあるし、人気上昇中です。
清:イタリアのパトカーは超カッコいいから、採用されればプラス評価なんですね!
大:イタリアには警察組織が大きく分けて4つありますけど、カラビニエリ(憲兵隊)のパトカーが濃紺に赤のラインで一番カッコいいんですよ。
清:(写真を見て)うわ、「ジュリア」のカラビニエリパトカー超カッコいい! 日本のパトカーも、色だけでもこうしてくれないかな~(笑)。
(語り=大矢アキオ&清水草一/まとめ=清水草一/写真=大矢アキオ、諸星伸一/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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