2024年もバイクが熱い! 日本に導入されそうな話題のニューモデルを一挙紹介
2023.12.08 デイリーコラム2024年はスポーツバイクの当たり年?
来年どんなニューモデルが出るかは、クルマ好き・バイク好きならやっぱり気になるところ。それを占うのがモーターショーだ。
ということで目を向けたのが、先日のジャパンモビリティショー(JMS)と、「EICMA」ことミラノモーターサイクルショーだ。特に後者は、バイクのショーとしては世界最大の規模。毎年11月開催というのも、次の年を予想するタイミングとして絶妙だ。これらのショーで話題となったニューマシンのなかから、来年にも日本で発売されそうなモデルを、独断と偏見を交えて紹介しよう。
まず日本車では、「おじさんホイホイ」と言われている2台「ヤマハXSR900GP」と「スズキGSX-8R」だ。前者はJMSにも出展されていたが、ほぼ同時デビューといっていいだろう。まずネイキッドが先にあって、それをベースにカウルをかぶせたスポーツモデルというところも共通する。
ただキャラクターはやや違う。エンジンはXSR900GPが3気筒、GSX-8Rは2気筒でパワーにも差があるし、ハンドルはどちらもセパレートだが、クリップオンのXSR900GPに対しGSX-8Rはその位置が高め。腕だけでなく背筋の筋量も、選択の分かれ目になりそうだ。
また、スズキでは「GSX-S1000GX」も注目。すでにネイキッド(GSX-S1000)とフルカウルのツアラー(GSX-S1000GT)があるGSX1000シリーズに加わったハーフカウルモデルだが、大型のスクリーンを立て、リアにはキャリアを備えるなど、カワサキの「ニンジャ1000SX」と「ヴェルシス1000」の中間的なキャラクターのようだ。
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やっぱり気になるカワサキのハイブリッド
次いでそのカワサキだが、EICMAではJMSと同じく電動マシンの出展が目を引いた。ワールドプレミアはネイキッドスタイルのハイブリッドバイク「Z7ハイブリッド」。ひと足先に姿を見せた「ニンジャ7ハイブリッド」よりお手ごろ価格になるはずで、451cc 2気筒エンジン+モーターのパワーユニットと、ボタン操作のクラッチレストランスミッションを味わえる、より身近な存在になりそうだ。
日本勢のトリを飾るのはホンダである。フルラインナップメーカーゆえ、さすがに多くのニューモデルを出していたようだが、そのなかでまず取り上げたいのは「CB500/1000ホーネット」。2022年に「CB750ホーネット」が出て日本にも導入か? と思っていたら、それより先に上と下に兄弟が増えた。500は750と同じツイン、1000は4気筒だ。日本でのホンダのラインナップはレトロ志向なので、ストリートファイターのホーネットが導入されるかはわからないが、750は現状スルーしているので、発売するとしたら500を排気量ダウンして「400」にし、1000との2本立てになるのかもしれない。
それ以外では「CBR500R」と「NX500」も気になった。こちらもCB500ホーネットと同じ2気筒なので、400ccとして現行の「CBR400R」および「400X」の置き換えになるかもしれない。特にNXはアドベンチャーらしさを高めた姿が日本でも支持されそうだ。
ここからは外国車となるが、まずは地元イタリアの「ドゥカティ・ハイパーモタード698モノ」を取り上げたい。なんといっても公道向けのドゥカティとしては半世紀ぶりの単気筒だし、排気量659ccで最高出力77.5PS、車両重量151kgとスペックも刺激的。ただシート高が864mmもあるので、同じエンジンを使った「スーパースポーツ」や「モンスター」の出現も期待したい。
日本へはカワサキが輸入を行うビモータは、「テラ」というニューモデルを発表した。このブランド初のアドベンチャーツアラーで、「テージ」に使われていたハブセンターステアの発展形という前足が目を引く。エンジンは「H2」シリーズに積まれている1リッターの4気筒スーパーチャージド。たぶん高価だろうが、取りあえずお目にかかりたい。
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クラシック派はBMWの「R12 nineT」も要チェック
驚いたのは、トレリスフレームのスクーターでおなじみイタルジェットが披露した「ドラッグスター559ツイン」。排気量550ccの2気筒エンジンをシート下に立てて積み、トランスミッションはマニュアルというので、モーターサイクルと呼んでもいいだろう。発売は2024年末とのことなので、日本に上陸するのは2025年以降になりそうだ。
ほかにも、モト・グッツィはアドベンチャーの「ステルヴィオ」を「V100マンデッロ」の水冷Vツインを使って復活させたり、アプリリアはミドル級2気筒スーパースポーツの新作「RS457」を送り出したり、さすが地元だけあってイタリア勢のニュースは豊富だ。
これ以外のブランドで刺さったのは、日本での販売台数が輸入バイクで第5位と、人気上昇中のロイヤルエンフィールド。アドベンチャーモデルの新型「ヒマラヤ」が、このブランドで初となる水冷エンジンを積んだからだ。牧歌的な乗り味がどのように変化しているか、気になるところ。
またEICMA後の正式デビューだったけれど、BMWの「R12/R12 nineT」にも触れておこう。名前でおわかりのとおりヘリテージシリーズの新作で、前者は「R18」の弟分。BMWモトラッドの100周年記念として先行発表されていた後者は、「R nineT」のモデルチェンジ版という位置づけだ。現行R nineTはタンクの大きさとシートの薄さが気になっていたので、バランスが修正されて1970年代の名車「R90S」に近いたたずまいになったのが好印象。フラットツインは依然空油冷だし、上がりの一台として狙っている人もいそうだ。
全体的に感じたのは、ヨーロッパはやはり、ある程度のサイズとパフォーマンスを持つモデルがいまだに人気なのだということ。最近の日本は、アジアで主力の小・中排気量のニューモデルが多く、ユーザーの注目度も高い。だからこそ、機能よりも官能を求めるヨーロッパのマインドがうらやましいと思ったし、自分も負けないよう心と体にムチを入れたくなった。
(文=森口将之/写真=ヤマハ発動機、スズキ、カワサキモータースジャパン、本田技研工業、ビモータ、ピアッジオ、ロイヤルエンフィールド、BMW、河野正士、EICMA、webCG/編集=堀田剛資)
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森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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