第889回:【Movie】「マツダCX-80」イタリア導入記念“TAKUMIナイト”
2024.12.12 マッキナ あらモーダ!ライバルは「ヴェラール」
マツダの3列シートSUV「CX-80」は、イタリアでも2024年10月に発売された。
パワーユニットは、2.5リッター4気筒ガソリンエンジンを軸にしたプラグインハイブリッドと、3.3リッター6気筒ディーゼルハイブリッドの2種類だ。日本仕様にある純ディーゼルエンジン仕様はない。また、いずれもドライブトレインはAWD+8段ATのみで、日本仕様にある2WDは設定されていない。7人乗り/6人乗り双方があり、仕様は基本の「エクスクルーシブライン」から始まり、「Homura(焔)」「Takumi(匠)」「Homura Plus」そして最高級の「Takumi Plus」まで5種類が用意されている。
先日、筆者が住むシエナ県のマツダ販売店「スーペルアウト」のマッシモ社長から、一通の招待状が舞い込んだ。趣旨はこうだ。この冬マツダモーター・イタリアは、「エッチェッレンツェ・イタリアーネ(Eccellenze italiane)」、英語でいうところのイタリアン・エクセレンスと題した企画を展開。全国63のマツダ販売店が、各地の伝統職人に新作を委嘱するというものだ。参加に際してマッシモ氏の販売店が選んだのは、シエナで1815年から続く彫金レリーフ工房「アンティーカ・ボッテーガ・ブロッキ」だった。
招待状には、以下のような説明が記されていた。
「ブロッキ工房との共創によるユニークな工芸品の発表で、地元の職人技とマツダの革新との出会いをお楽しみください。優雅さ、性能、そして持続可能性の完璧なバランスを実現した新型SUV、マツダCX-80もご覧いただけます。『made in Italy』と『Crafted in Japan』を結ぶ、心遣い、伝統、そしてデザインという共通の価値観を存分に体験できる場です」
実はそのブロッキ工房には、わが細君が以前『イタリアの小さな工房めぐり』(新潮社刊)を執筆した際、取材のため筆者も同行しており、5代目であるラウラ・ブロッキさんとも面識がある。これはご縁ということで、当日は喜んで訪問することにした。イベントの模様に加え、イタリアにおけるマツダディーラーや販売に携わる人々の雰囲気を味わっていただくために、今回は動画を撮影した。
【Movie】Eccellenze italiane
参考までに、イタリアにおける2024年1-11月のマツダ車の登録台数は1万3150台で、前年同期比では7.84%減(データ出典:UNRAE)。日本ブランドではトヨタ、スズキ、日産に次ぐ4位である。ラインナップで日本と異なるのは、「CX-3」がないことと、「トヨタ・ヤリス ハイブリッド」の姉妹車である「マツダ2ハイブリッド」が加えられていることだ。
イタリアにおける22%の付加価値税を含めたCX-80の価格は、2.5リッターPHEVエクスクルーシブラインの6万1235ユーロ(約970万8000円)から、3.3リッターディーゼルハイブリッドのタクミプラスの7万3870ユーロ(約1171万円)までで、「レンジローバー・ヴェラール」や「ポルシェ・マカン」の価格に迫る。そうしたモデルの登録台数は、イタリアの自動車業界団体UNRAEの公式統計ではシェアが少なすぎて発表されていない。きわめてニッチな市場カテゴリーであるが、販売一台あたりの収益性は高そうだ。
今後、CX-80がどれだけの存在感を示せるかは、今回訪問したスーペルアウトのようなイタリア国内販売店の力量にかかっている。
ちなみにその晩、マッシモ社長がひとりの地元男性を紹介してくれた。きわめて控えめな紳士だったが、会話をするうち、彼は「私のコレクションをお見せしましょう」と言って、スマートフォンの写真ファイルをタップした。そこには「マセラティ・シャマル」「ランボルギーニ・ディアブロ」、そして数台の8気筒系フェラーリが写っていた。少なくとも、その晩の招待客の人選は、間違っていなかったようだ。
(文=大矢アキオ ロレンツォ<Akio Lorenzo OYA> /写真=大矢麻里<Mari OYA>、Akio Lorenzo OYA/動画=Akio Lorenzo OYA/編集=堀田剛資)
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大矢 アキオ
Akio Lorenzo OYA 在イタリアジャーナリスト/コラムニスト。日本の音大でバイオリンを専攻、大学院で芸術学、イタリアの大学院で文化史を修める。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとしてシエナに在住。NHKのイタリア語およびフランス語テキストや、デザイン誌等で執筆活動を展開。NHK『ラジオ深夜便』では、25年間にわたってリポーターを務めあげる。『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり』(コスミック出版)など著書・訳書多数。近著は『シトロエン2CV、DSを手掛けた自動車デザイナー ベルトーニのデザイン活動の軌跡』(三樹書房)。イタリア自動車歴史協会会員。
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