これがおすすめ! キアPV5:デザインの識者をうならせた電動商用ワンボックス【ジャパンモビリティショー2025】
2025.10.30 これがおすすめ! 拡大 |
カーデザインの専門家である渕野健太郎さんが注目した「ジャパンモビリティショー2025」の一台は、韓国から来た商用ワンボックスの電気自動車(BEV)。意外な人による意外なイチオシだが、そこには有識者ならではの注目ポイントがあった。
BEVならではのデザインと細部にみる“こだわり”
今回のジャパンモビリティショーでの私のおすすめは、Kia(キア)の商用BEV「PV5」です。
一目見て「カッコいい」と感じました。まるでコンセプトカーのような明快で完成度の高いデザインです。キアはもともとデザイン評価の高いブランドですが、近年の特徴である幾何学的な造形言語を商用車にうまく落とし込んでいますね。
まず注目したいのは、「BEVならではのデザイン」である点です。キャブオーバー型のように短いボンネットはスペース効率に優れ、室内空間を最大化。現在のBEVの多くは、依然としてエンジン車の名残を感じさせる長いボンネットを持っていますが、PV5はエンジンのないBEVならではの新しいパッケージを提案しており、まさに「次世代のデザイン」といえます。
さらにサイドビューもユニーク。ウィンドウが縦に大きく、通常のカーデザインが重視する「ロアボディーの厚み」とは真逆のアプローチです。座ると腰の位置まで広がる大きなガラス面は商用ユーザーの声を反映したものと推測しますが、視界のよい開放的な室内を生み出しています。一般的にこのようなデザインはスタイルを崩しやすいのですが、PV5ではボンネットを黒く塗り分けてキャビンとの一体感を演出し、さらに高い位置に特徴的なデイタイムランニングライトを配置することで、プロポーションのバランスを巧みに整えています。
また、全体のスタンスも見事です。ボディー前後のコーナーを見ると、ある部分から折れていることがわかります。これにより、全体的には“箱”なのですが、ボディーをコーナーで絞る効果を付与することで、スタンスのよいシルエットにつなげているんですね。
このように、キアPV5は機能とデザインを両立させた、優れたプロダクトデザインといえます。
(文と写真=渕野健太郎/編集=堀田剛資)
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