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1/212024年6月に発表された新型「BMW 1シリーズ」。昨今の他のBMW車とは一線を画す、スッキリしょうゆ顔の持ち主だ。
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2/21こちらも全く新しいデザインの新型「X3」。同車については、また後編で。
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3/21新旧「1シリーズ」の三面図。まずはフロントから。
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4/21続いてサイド。
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5/21最後にリア。バンパーとヘッドランプを除くと、ボディーもドアやボンネットといった“フタもの”も、その大部分が共通となっているのがわかる。
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6/21先代にあたる3代目「1シリーズ」では、キドニーグリルの上辺の角から、ボンネットにプレスラインが通っていた。
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7/21新型「1シリーズ」にも上述のプレスラインは残っているものの、キドニーグリルの形状が変わったため、ラインの終点とグリルの角が大きくズレている。逆に、グリルの角から生えたラインは極端に短く、ボンネットに至る手前で消滅している。こうした細部のチグハグは、先代と同じボンネットに、全く新しい意匠の顔(バンパー)をくっつけたためだ。
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8/21変わっていなさそうで実は変わっているのがここ。リアフェンダーやCピラーなどが一体となった、リアのクオーターパネルだ。ご覧のとおり、ガラスエリア後端の装飾やテールランプなどによる“切り欠き”の形が、先代とは異なっている。写真は左が先代、右が新型。
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9/21同じBMWグループの現行「MINI」も、エンジン車については中身も外見もほぼほぼキャリーオーバーのフルモデルチェンジ(?)となっていた。写真は、上が先代、下が現行型。
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10/21駆動方式が初めてFFとなった3代目「1シリーズ」では、長いフロントオーバーハングによる間延び感を抑えるため、ヘッドランプをぐっと横/後ろ方向へと引き伸ばした形状とした。いっぽう、キドニーグリルのデザインは既存のBMWそのまんまだったので、グリルとランプの関連性が希薄な、統一感や一体感のないフロントマスクとなってしまった。
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11/214代目にあたる新型「1シリーズ」。横長の新しいキドニーグリルとヘッドランプに関連性が生まれ、全体にスッキリとした意匠となった。
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12/21ほった「距離やパースが同じような画像があったので、ちょっと切り貼りしてみました。写真向かって左が先代、右が新型です」
清水「キドニーグリルの形や位置が、全然違うね」
渕野「新型は、明確にグリルのほうが位置が低いんですよ」 -
13/21現行の3代目「Z4」。
ほった「そういえば、Z4もFRにしては妙にフロントオーバーハングの長いクルマでしたね」 -
14/21清水氏は大好き、webCGほったは大の苦手な縦型キドニーグリル。「車体よりデカい」と揶揄(やゆ)された「7シリーズ」のグリルや、前走車を吸い込まんばかりの「XM」のグリルも含め、昨今のBMWデザインは、“強烈な顔”がひとつの個性となっている。
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15/212024年の「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」でBMWが発表したコンセプトモデル「スカイトップ」のフロントマスク。
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16/21先代「1シリーズ」では、ノーズの前端を乗り越えるかたちでキドニーグリルが上まで広がっており、ボディーの面と整合性をとるため、グリルの上部が上向きに折れ曲がっていた。
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17/21比較用に、新型「1シリーズ」のフロントまわり。
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18/21フロントと比べると、リアまわりのデザインの変化は控えめ。ちょっと新型(下)のほうが、ディテールがコテコテしてるかな? といった程度だ。
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19/21新型「1シリーズ」のデザインスケッチ。
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20/21清水「この、お顔のスケッチ3連発とかを見ると、どんなフロントマスクにするかで悩んでたのかねえ」
ほった「ワタシにゃ区別がつきませんがね」 -
21/21先代の導入当初(2019年11月)に334万円~630万円だった「1シリーズ」のお値段は、今や478万円~698万円に。この価格高騰は、日本のみならず、ドイツ本国や他の海外マーケットでもみられるものだ。今回の大幅なイメージ変更は、価格の上昇による顧客層の変化も考慮したものなのかもしれない。

渕野 健太郎
プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間にさまざまなクルマをデザインするなかで、クルマと社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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