ルノー・ルーテシア ルノースポール トロフィー(FF/6AT)/プジョー208GTi(FF/6MT)/フォルクスワーゲン・ポロGTI(FF/6MT)/フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(FF/6MT)(前編)
ものすごく楽しいクルマ 2016.01.20 試乗記 “最強のルーテシアR.S.”とうたわれる「ルノー・ルーテシアR.S.トロフィー」の実力は、どれほどのものなのか? レーシングドライバーの谷口信輝が、ライバルメーカーの最新ホットハッチとともに、サーキットで試乗。走りの印象を報告する。見た目で伝わるポテンシャル
「ぱっと見た感じ、あの白いクルマが一番走りそうですね」
袖ヶ浦フォレストレースウェイのパドックに並んだルノー・ルーテシア ルノースポール トロフィー(以下、R.S.トロフィー)と、「プジョー208GTi」「フォルクスワーゲン・ポロGTI」「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI」を合わせた4台をやや遠くから眺めただけで、レーシングドライバーの谷口信輝はそう言い放った。
ちなみに、谷口のいう“白いクルマ”とはルーテシアR.S.トロフィーのこと。もっとも、この時点ではやや長めの車名やそのスペックはおろか、ルノーがフランスのメーカーであることさえ明確には意識していなかったのだから、谷口のめざとさには驚くしかない。
むろん、根拠がないわけではなかった。
「まず、車高が低いでしょ。それにボディーがワイドで、いかにも重心が低そう。見たところ、タイヤのパフォーマンスも白いクルマが一番高そうですね」
一方、何の先入観も予備知識も持たない谷口が、用意した4台のホットハッチを公平な目で評価してくれそうなことも明らかになった。なお、今回のテスト車両はルーテシアR.S.トロフィーのみ2ペダルの6段DCTで、そのほかのモデルはいずれも6段MTをチョイスした(プジョー208GTiはMTのみの設定)。
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「ルーテシアR.S.」はスポーツカー
低速コーナーに高速コーナー、さらにはブレーキングを残したまま進入する複合コーナーなど、コンパクトな割に多彩なコーナーが用意されている袖ヶ浦フォレストレースウェイは、ホットハッチを評価するのにぴったりなサーキット。ただし、今回は走行開始時点がウエットで、その後次第に路面が乾いていく難しいコンディションとなったことをあらかじめお断りしておきたい。
まだコースのいたるところがぬれていた朝一番の段階で、谷口はルーテシアに乗り込んだ。インラップはゆっくり走ってルーテシアの特性とコースの状態を確認。続く2ラップでタイムアタックを行い、1分21秒972のベストタイムを記録した。
アタックを終えた谷口が、まず口にしたのは「これ、スポーツカーですよ」という言葉だった。
「ルーテシアがいいクルマであることは、コースインして100mか200m走っただけでわかります。まず、アクセルを踏むとすぐにターボのブーストが上がってすっと加速し始める。そこでシフトアップしたとき、ギアボックスの反応が早くて、タイムラグもなく瞬時にシフトアップしていきます」
「でも、本当の驚きはハンドリングのよさ。コーナー進入でブレーキを踏んだときの姿勢が安定しているし、ターンインでもフロントがしっかり入っていく。リアもちゃんとグリップしている。路面がぬれていたせいで、はたから見ると多少滑っているように思われるかもしれないけれど、ドライバーの目線でいえば、あくまでも狙いどおりのラインをトレースしている感じですね」
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アンダーステアは気になるものの……
「ただ、いまはウエットコンディションだったせいもあって、ステアリングを切ったままアクセルを踏み込んでいくとフロントタイヤが路面をかく感じになって、トラクションアンダーステアが出る。もっとも、これは路面がもうちょっと乾くか、もっとグリップの高いタイヤに換えるか、機械式のLSDを入れれば解消できるはず。いずれにしても、ルーテシアは乗っていてものすごく楽しいクルマですよ」
続いて、プジョー208GTiに試乗。同様にしてタイムアタックした結果は1分22秒963で、ルーテシアのおよそ1秒落ちだった。
「エンジンはいいですね。ルーテシアほど凶暴じゃないけれど、それなりにパワーは出ています。ステアリング特性はアンダー傾向ですね。だから、高速複合コーナーの5~7コーナーでは、本当はもっとアクセルを踏んでいきたいけれど、そうするとフロントがアウトに逃げていっちゃうので、左足で軽くブレーキングして前傾姿勢を作らなければいけませんでした」
いくら姿勢を整えるためとはいえ、ブレーキを使えば車速は落ちる。ルーテシアにやや後れをとった原因のひとつは、この点にあったのだろう。
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乗り心地重視の「208GTi」
谷口が208GTiについて指摘した点がもうひとつあった。
「ヘアピン状の4コーナーに向けて3コーナー付近では旋回しながら減速しますよね。あそこでブワンブワンって上下動が出ちゃうんですよ。タイヤがルーテシアほどハイグリップじゃないし、サスペンションが少し柔らかめなせいもあるんだろうけれど、不安感が先に立って思い切って攻めきれない。だから“ブアンブアン”っていうか“不安不安”って感じなんです(笑)」
プジョーの名誉のために付け加えておくと、208GTiはルーテシアR.S.トロフィーよりもはるかにロードユースを主体に置いたモデル。言い換えれば、サーキットでのタイムよりも公道での乗り心地を優先したサスペンション設定なのだ。
本来、ルーテシアR.S.トロフィーと比較するのであれば208GTiではなく「208GTi by PEUGEOT SPORT」に登場願うべきかもしれないが、今回は試乗車を用意できなかった。また、もしも谷口が208GTiを公道で試乗していれば、この辛口コメントももう少し和らいでいたのではないだろうか。
いずれにせよ、ウエットコンディションゆえにスロットルオンでトラクションアンダーが出たことを別にすれば、谷口はルーテシアR.S.トロフィーに何の不満も抱いていないようだ。
その印象は、ポロGTIとゴルフGTIを試した後で、どのように変化するだろうか? そして、ドイツ製ホットハッチ2台は袖ヶ浦フォレストレースウェイでどのようなラップタイムをマークするのか……。続く後編では、この辺りをリポートすることにしよう。
(つづく)
(語り=谷口信輝/まとめ=大谷達也<Little Wing>/写真=田村 弥/取材協力=袖ヶ浦フォレストレースウェイ)
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テスト車のデータ
ルノー・ルーテシア ルノースポール トロフィー
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4105×1750×1435mm
ホイールベース:2600mm
車重:1290kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:220ps(162kW)/6050rpm
最大トルク:26.5kgm(260Nm)/2000rpm
タイヤ:(前)205/40ZR18 86Y/(後)205/40ZR18 86Y(ミシュラン・パイロットスーパースポーツ)
燃費:--km/リッター
価格:329万5000円/テスト車=337万960円
オプション装備:フロアマット(3万240円)/ETC車載器(1万4400円)/エマージェンシーキット(3万1320円)
テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:3426km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
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プジョー208GTi
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3975×1740×1470mm
ホイールベース:2540mm
車重:1200kg
駆動方式:FF
エンジン:1.6リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段MT
最高出力:208ps(153kW)/6000rpm
最大トルク:30.6kgm(300Nm)/3000rpm
タイヤ:(前)205/45R17 88V/(後)205/45R17 88V(ミシュラン・パイロット エグザルト)
燃費:15.6km/リッター(JC08モード)
価格:322万円/テスト車=346万2460円
オプション装備:ボディーカラー<オレンジ・パワー>(4万8600円)/専用ナビゲーション<ETCユニット付き>(19万3860円)
テスト車の年式:2015年型
テスト車の走行距離:1392km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
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フォルクスワーゲン・ポロGTI
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3995×1685×1445mm
ホイールベース:2470mm
車重:1240kg
駆動方式:FF
エンジン:1.8リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段MT
最高出力:192ps(141kW)/5400-6200rpm
最大トルク:32.6kgm(320Nm)/1450-4200rpm
タイヤ:(前)215/40R17 87Y/(後)215/40R17 87Y(ブリヂストン・ポテンザS001)
燃費:15.9km/リッター(JC08モード)
価格:327万5000円/テスト車=363万6260円
オプション装備:714SDCWパッケージ+LEDヘッドライトパッケージ(36万1260円)
テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:1556km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
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フォルクスワーゲン・ゴルフGTI
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4275×1800×1470mm
ホイールベース:2635mm
車重:1390kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段MT
最高出力:220ps(162kW)/4500-6200rpm
最大トルク:35.7kgm(350Nm)/1500-4400rpm
タイヤ:(前)225/40R18 92Y/(後)225/40R18 92Y(ブリヂストン・ポテンザS001)
燃費:16.0km/リッター(JC08モード)
価格:389万円/テスト車=428万9600円
オプション装備:DCCパッケージ+Discover Proパッケージ(39万9600円)
テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:1589km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

大谷 達也
自動車ライター。大学卒業後、電機メーカーの研究所にエンジニアとして勤務。1990年に自動車雑誌『CAR GRAPHIC』の編集部員へと転身。同誌副編集長に就任した後、2010年に退職し、フリーランスの自動車ライターとなる。現在はラグジュアリーカーを中心に軽自動車まで幅広く取材。先端技術やモータースポーツ関連の原稿執筆も数多く手がける。2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考員、日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本モータースポーツ記者会会員。
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