第40回:最新ディーゼル4台イッキ乗り!
まるでV8サウンド!? プジョー308に一踏みぼれ
2017.05.09
カーマニア人間国宝への道
加速はナンバーワン
前回、「483万円もする『MINIクーパーSD クロスオーバーALL4』はいらん! それより『BMW 320dツーリング』の中古!」という結論で終了したが、そのBMW 320dツーリング(中古)の良きライバルが、「プジョー308SW GT BlueHDi」なのです。
同じ2リッターディーゼルで価格は378万8000円。新車同士で比べると200万円くらい安い! ブランドもステイタスも違うといえばそれまでだが、地元の杉並区にもウヨウヨ走ってる「3シリーズ」に比べると、プジョーの方がレア感は断然上! サイズも同じくらいだし、お買い得感は相当高い。
早速試乗させていただくと、うおお! また一踏みぼれ! すごいトルクだぜ!
実はこれに乗る前、「メルセデス・ベンツGLC220dクーペ スポーツ」に試乗していたのですが、そっちに比べるとメッチャ出足がいい。エンジンスペックは同程度で車両重量が400kg以上軽いんだからアタリマエだが。
なにせ今回そろえてもらった4台のディーゼル車のうち、「メルセデス・ベンツS300hエクスクルーシブ」を除く3台の最大トルクは、400Nmでピッタリ同じ。なんでこんなに切りがいいんだ!?
馬力は多少のバラつきがあるけど、トルクはまったく同じなんよ。ディーゼルってどれ乗っても同じじゃねぇの? と思ってしまうゆえんですね。
エンジンスペックにはほとんど差はないので、加速はほぼ車重で決まる。んでもって今回のプジョー308SWはMINIクロスオーバーより100kg軽い。よって加速はナンバーワン。そういうことになります。
スポーツモードでV8サウンドに!?
しかも308には、スポーツモードボタンが付いている。これを押すと何が変わるかというと、音が変わる! 細かくいうとシフトレスポンスやパワステやメーターの色も変わるが、一番変わるのは音! スピーカーから大排気量ガソリンV8みたいなサウンドが流れて、「なんかオレ、すごいクルマに乗ってるぞ!?」真剣にそんな気分になる。
これは冗談ではなく本当の本気だ。だってさ、車重1530kgで400Nmで、サウンドは大排気量V8なんだから! このトルク、ちょい昔の5リッターV8並みだぜ!?
アイドリングでの騒音はMINIより若干静かかな? という程度だが、アイドリングストップからの始動はとってもスムーズだし、走行中はスポーツボタンを押せばガソリンV8みたいな人工音にかき消される。つまり、エンジンをかけたままクルマの脇に立たなければ、ディーゼルのカラカラ音もまるでOK!
こんなクルマがたったの378万8000円なんて、超お買い得じゃないか! BMW 320dツーリングの中古探してる場合じゃないかもしれない。
ただ、このクルマには手ごわいライバルがいる。同じプジョー308の1.6ディーゼルだ。
エンジンスペックは120ps/300Nmに落ちるが、1.6の方が回転は軽やかだし、車両重量はたったの1420kg(パノラミックルーフ装着車)。2リッターモデルより110kgも軽い。さらに軽いハッチバックだと、加速がほとんど互角に感じてくる!
設計自体、2リッターより1.6リッターの方が新しいので、エンジン重量も1.6の方が大幅に軽く、つまりノーズが軽いので動きがはるかに軽快。サスペンションは往年の猫足が復活していてステキにしなやかさん。値段も安いし、ハッチバックなら断然1.6がイイね!
本命は1.6リッター
ただSWは、ホイールベースが110mm長く、その分車重もあるので、勝負は微妙になってくる。もちろん値段を考えたら1.6だけど、カネが余ってれば2リッターのグワワワワ! という加速が欲しくなるな~。あくまでカネが余ってればですが。
カネが余ってるどころか実用車の値段には超絶シビアな私としては、SWでもやっぱ1.6だよな……という結論に達せざるを得ない。さらには「今ならディーラーのデモカー落ちとかがあるんじゃないか」とも考えてしまう。
ありました、323万8000円の「308SWアリュール BlueHDi」のデモカー落ちが、新車より60万円ぐらい安く! 支払総額300万円切り!
フランス車の弱点は、アイサイト系安全装備の貧弱ぶりだったが、308は衝突軽減ブレーキやアクティブクルーズコントロールも付いている。衝突軽減ブレーキは20km/h減速するのみで、性能的には「ないよりはマシ」程度でしょうが、それこそないよりはマシ! 私も中高年、次にクルマを買う時はそういうのが欲しい年頃だ。
308最大の弱点は、本来絶対的にオシャレさんであるべきフランス車としては地味すぎるルックスにあるが、この内容でこの値段ならそこは目をつぶろう! 楕円(だえん)の小径ステアリングはピッピ切れて気持ちいいし、ステアリングの上にメーターが見えるインパネも斬新だしネ!
なんだか真剣にデモカー落ちが欲しくなってきた。「デルタ」を売ってこっち買おうかな……。これ乗ってても、カーマニア人間国宝って感じは全然しないけどさ~。
(文=清水草一/写真=池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
第326回:三つ子の魂中高年まで 2026.1.5 清水草一の話題の連載。ホンダの新型「プレリュード」で、いつもの中古フェラーリ販売店「コーナーストーンズ」に顔を出した。24年ぶりに復活した最新のプレリュードを見た常連フェラーリオーナーの反応やいかに。
-
第325回:カーマニアの闇鍋 2025.12.15 清水草一の話題の連載。ベースとなった「トヨタ・ランドクルーザー“250”」の倍の価格となる「レクサスGX550“オーバートレイル+”」に試乗。なぜそんなにも高いのか。どうしてそれがバカ売れするのか。夜の首都高をドライブしながら考えてみた。
-
第324回:カーマニアの愛されキャラ 2025.12.1 清水草一の話題の連載。マイナーチェンジした「スズキ・クロスビー」が気になる。ちっちゃくて視点が高めで、ひねりもハズシ感もある個性的なキャラは、われわれ中高年カーマニアにぴったりではないか。夜の首都高に連れ出し、その走りを確かめた。
-
第323回:タダほど安いものはない 2025.11.17 清水草一の話題の連載。夜の首都高に新型「シトロエンC3ハイブリッド」で出撃した。同じ1.2リッター直3ターボを積むかつての愛車「シトロエンDS3」は気持ちのいい走りを楽しめたが、マイルドハイブリッド化された最新モデルの走りやいかに。
-
第322回:機関車みたいで最高! 2025.11.3 清水草一の話題の連載。2年に一度開催される自動車の祭典が「ジャパンモビリティショー」。BYDの軽BEVからレクサスの6輪車、そしてホンダのロケットまで、2025年開催の会場で、見て感じたことをカーマニア目線で報告する。
-
NEW
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
NEW
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
NEW
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。 -
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】
2026.1.17試乗記BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。 -
新生ノートンがいよいよ始動! 名門の復活を担う次世代モーターサイクルの姿に迫る
2026.1.16デイリーコラム英国のモーターサイクル史にあまたの逸話を残してきた名門、ノートンが、いよいよ再始動! その数奇な歴史を振り返るとともに、ミラノで発表された4台の次世代モデルを通して、彼らが思い描く未来像に迫った。










































