ヨーロッパ車に対抗するための販売チャンネル
最初に現地生産を始めたのは、ホンダである。同社は1959年にアメリカン・ホンダ・モーターを設立し、1963年からは「ナイセストピープル・キャンペーン」を行って二輪車メーカーとしての地位を確立。四輪車の分野においても、オイルショック後にCVCCエンジンを搭載した「シビック」が大ヒットし、乗用車メーカーとして実績を重ねていった。1982年、ホンダはオハイオ州の工場で「アコード」の生産を開始する。日産は1983年に「ダットサントラック」から現地生産を開始。トヨタは1986年にカリフォルニア州フリーモントの工場で「カローラFX」の生産を開始した。
日本車はアメリカで確固たる基盤を築き、順調に販売を伸ばしていった。しかし、懸念材料がなかったわけではない。確かに台数は拡大していったが、あくまでそれは安くて壊れない優秀な実用車という評価だったのである。80年代の北米市場におけるトヨタのイメージは、“カローラとトラックの会社”というものだった。
日本車に追いやられた形となったドイツ車は、その間に着々とステータスを高めていった。メルセデス・ベンツやBMWが揺るぎないブランドを築き、利幅の大きな高級車市場で売り上げを伸ばしていく。イギリスのジャガーやスウェーデンのボルボも、存在感を高めていった。一方、大衆車の分野では日本車よりもさらに安価な韓国車が進出を始め、日本メーカーはシェアを奪われてしまう。しかも、円高の進行が利益確保を困難にしていった。生き残るためには、主力を上級車種に移行する必要があったのである。
しかし、大衆車のメーカーというイメージがついているかぎり、ヨーロッパ車の牙城を崩すのは難しい。そこで考えられたのが、高級車を扱う新たな販売チャンネルをつくることだった。いち早く動いたのは、やはりホンダだった。1986年、同社は新たにアキュラを立ち上げる。全米60カ所のディーラーで、高級セダンの「レジェンド」とスポーティーカーの「インテグラ」が販売された。日本車として、初めてのプレミアムブランドとなったのである。
トヨタと日産も、新たなブランドを設立した。1989年、トヨタからレクサス、日産からインフィニティが誕生する。中でもアメリカのユーザー、そしてヨーロッパの自動車メーカーに大きな衝撃を与えたのは、レクサスのフラッグシップセダン「LS400」だった。それは、“高級車の定義を変えた”と評されるほどの驚きだった。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
-
NEW
アストンマーティンDBX(前編)
2021.1.21谷口信輝の新車試乗レーシングドライバー谷口信輝が今回試乗したのは、アストンマーティンが開発した高性能SUV「DBX」。そのステアリングを握った走りのプロには、どこか気がかりなところがあるようだが……? -
NEW
ホンダCBR600RR(6MT)【レビュー】
2021.1.21試乗記ホンダのミドル級スーパースポーツモデル「CBR600RR」が復活。レースでの勝利を目的に開発された新型は、ライディングの基礎を学ぶのにも、サーキットでのスキルを磨くのにも好適な、ホンダらしい誠実さを感じさせるマシンに仕上がっていた。 -
NEW
第690回:GMの本気とBMWの変化球! 大矢アキオがフルオンライン開催の「CES」を練り歩く
2021.1.21マッキナ あらモーダ!オンライン開催された家電エレクトロニクスショー「CES」に大矢アキオが潜入。最新の電気自動車用プラットフォームやフルスクリーンのようなダッシュボード、カーナビゲーションを映し出せるスマートグラスなど、自動車の未来を支える先端技術に触れた。 -
NEW
ハーレーのエンベロープをプレゼント!
2021.1.21プレゼント今回は、ハーレーダビッドソンのエンベロープ(封筒)をプレゼント。同ブランド初の量産型電動バイク「ライブワイヤー」が描かれているのがポイントです。奮ってご応募ください。 -
第92回:ルマンを席巻したポルシェ 技術者集団の挑戦と栄光
2021.1.20自動車ヒストリールマン24時間レースで最多勝を誇るポルシェ。シュトゥットガルトの技術者集団は、いかなる戦いを経て耐久レースの王者となったのか? 「917」や「936」「956」「962C」といったレーシングカーとともに、サーキットに刻まれたポルシェの足跡をたどる。 -
日産エクストレイルAUTECH(4WD/CVT)/セレナe-POWER AUTECH(FF)【試乗記】
2021.1.20試乗記長年にわたり、日産車のカスタマイズモデルを製作してきたオーテックジャパン。彼らが手がけたモデルの中から、デザインと走りの両方に手が加わった「エクストレイル」と「セレナ」に試乗。標準車とは一線を画す、その出来栄えを報告する。