短期間でブランドを構築したレクサス

トヨタはアメリカ人のジャーナリストをドイツに招待し、LS400の試乗会を開いた。比較用に、メルセデス・ベンツやBMWなどの競合車も用意されていた。レクサスの性能を試してもらうため、高速走行のできないアメリカではなく速度無制限のアウトバーンを選んだのだ。“トヨタの高級車”を疑いの目で見ていたジャーナリストは、思い違いに気づくことになる。240km/hでも緊張することなく走ることができ、何よりも静粛性が素晴らしかった。それほどの速度でも、オートチェンジャーに収められたクラシックのCDをストレスなく聞けることが彼らを驚かせた。

販売価格も誰も予想しなかったものだった。ヨーロッパ車の中型車クラスと同等の3万5000ドルという値付けがされていたが、4リッターV8エンジンを搭載するLS400は各社のフラッグシップと競合するモデルだった。『フォーチュン』誌では「自動車産業市場でレクサスLS400ほど徹底的に解析されたクルマはない」と書かれた。なぜなら、「デトロイトからシュトゥットガルトまでのエンジニアが、5万ドル以上はするクルマをいやらしいほどの安い価格で生産した秘密を探ろうとした」からだという。

評価されたのは、クルマの性能だけではなかった。ディーラーでのきめ細やかな接客やアフターサービスが、それまでのアメリカでは見られないレベルだったのである。顧客第一主義を貫く姿勢は、品質の評価と相まってレクサスのブランド価値を押し上げた。1989年8月に発売してから12月までに販売された1万1000台以上のLS400のうち、約38%がヨーロッパ車からの買い替えだった。J.D.パワー社が1990年7月に発表した新車購入ユーザーの品質評価に関する調査では、メルセデス・ベンツを上回ってトップにランクされた。

「レクサスLS400」は1989年1月のデトロイトショーで発表され、同年8月に販売が開始された。
「レクサスLS400」は1989年1月のデトロイトショーで発表され、同年8月に販売が開始された。拡大
「LS400」は1992年にマイナーチェンジを受け、外装ではフロントグリルやホイールなどの意匠が変更されている。
「LS400」は1992年にマイナーチェンジを受け、外装ではフロントグリルやホイールなどの意匠が変更されている。拡大
高い動力性能や快適性、電子制御サスペンションをはじめとした充実した装備などに加え、内外装の上質さ、品質の高さも「LS400」の評価を高めた。
高い動力性能や快適性、電子制御サスペンションをはじめとした充実した装備などに加え、内外装の上質さ、品質の高さも「LS400」の評価を高めた。拡大
「LS400」に搭載された4リッターV8エンジン「1UZ-FE」(写真は2代目LS400に搭載されたもの)。ラージサイズセダンを不満なく走らせるパワーに加え、騒音や振動の少なさも特徴だった。
「LS400」に搭載された4リッターV8エンジン「1UZ-FE」(写真は2代目LS400に搭載されたもの)。ラージサイズセダンを不満なく走らせるパワーに加え、騒音や振動の少なさも特徴だった。拡大
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