日本の国内市場でも存在感を持つように

アキュラ、レクサス、インフィニティは、アメリカ以外にも進出してグローバルなブランドとなっていく。しかし、一つだけ重要な市場が手つかずのまま残されていた。日本である。3ブランドとも、日本では新たな販売チャンネルを立ち上げなかったのだ。アキュラ・レジェンドは「ホンダ・レジェンド」として販売され、「インフィニティQ45」という車名のモデルが日産のディーラーに並べられた。レクサスLS400と同じモデルは日本でも発売されたが、「トヨタ・セルシオ」という名で売られていた。

2005年、レクサスが日本市場に導入された。「日本の文化に根差した日本発のプレミアムブランドをつくる」ことを課題にし、グローバルな展開を進めるための決断だった。日本でも高級車市場はヨーロッパ勢が席巻しており、状況を打開するには世界基準のブランド再構築が必要だと考えたのだ。日本で成功をおさめれば、課題のヨーロッパ市場でも存在感を見せることができる。

「おもてなし」をキーワードにして和の精神をクルマに注ぎ込み、「L-finesse(エルフィネス)」というデザインテーマを設定して「先鋭-精妙の美」を目指した。500項目以上にわたって定められた「LEXUS MUSTs」は、トヨタ車との差別化を図るための技術的なレシピだった。ヨーロッパ車とは異なる新たな価値を際立たせたのは、ハイブリッド技術である。2007年に発売された「LS600h」は、5リッターエンジンでありながらモーターの力を借りて6リッター並みの動力性能を発揮。同時に3リッター車並みの低燃費を実現していた。

かつての日本車は、性能の割に安いという理由で人気を得ていた。それは実用品としての評価であり、伝統を持つヨーロッパの高級車とは別なカテゴリーだと思われていた。歴史の面では引けを取る日本車だが、レクサスはゼロからプレミアムブランドを構築した。わずかな期間で、メルセデス・ベンツやBMWといった強力な相手と真っ向から勝負できる体制を築き上げたのだ。

(文=webCG/イラスト=日野浦剛)

1989年10月に発売された「トヨタ・セルシオ」。「レクサスLS」の日本仕様で、2006年まで3世代にわたりラインナップされた。
1989年10月に発売された「トヨタ・セルシオ」。「レクサスLS」の日本仕様で、2006年まで3世代にわたりラインナップされた。拡大
レクサスの日本第1号店となった「レクサス高輪」。トヨタは2005年に、レクサスブランドを日本に導入した。
レクサスの日本第1号店となった「レクサス高輪」。トヨタは2005年に、レクサスブランドを日本に導入した。拡大
「L-finesse(エルフィネス)」とは、レクサスが掲げているデザインフィロソフィー。具体的な造形やデザインモチーフではなく、「先進の技術を、美しさを求める心と匠の技で包み、カーデザインをアートの領域まで高めていきたいという意思」を表すものと説明されている。
「L-finesse(エルフィネス)」とは、レクサスが掲げているデザインフィロソフィー。具体的な造形やデザインモチーフではなく、「先進の技術を、美しさを求める心と匠の技で包み、カーデザインをアートの領域まで高めていきたいという意思」を表すものと説明されている。拡大
4代目「LS」に設定された「LS600h」。5リッターV8エンジンに2基のモーターからなるハイブリッド機構を組み合わせており、ライバルの6リッターエンジン搭載車に比肩する動力性能を発揮した。
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