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第52回:俺たちのデザイン・オブ・ザ・イヤー(後編) ―「BMW X2」が体現するドイツ版“デコトラ文化”の是非―

2025.01.08 カーデザイン曼荼羅 清水 草一
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清水草一氏が「俺のデザイン・オブ・ザ・イヤー」に選んだ一台がこちら! 「BMW X2」である。
清水草一氏が「俺のデザイン・オブ・ザ・イヤー」に選んだ一台がこちら! 「BMW X2」である。拡大

「私的デザイン・オブ・ザ・イヤー」で論争ぼっ発! コテコテに着飾った「BMW X2」は“少年時代の俺たち”の夢か? ただの派手趣味の産物か? 光るグリルにダミーのダクト、きらめくイルミネーション……。ドイツ的華美主義の極北を、識者とともに議論する!

前編へ戻る)

「X2」の3面図。BMWが擁するクーペSUV……バイエルン風にいうところのSAC 3兄弟の末弟にあたるモデルだ。でっかいキドニーグリルに、流麗……とはちょっと言えないサイドビュー、そして超肉厚なお尻がチャームポイント。
「X2」の3面図。BMWが擁するクーペSUV……バイエルン風にいうところのSAC 3兄弟の末弟にあたるモデルだ。でっかいキドニーグリルに、流麗……とはちょっと言えないサイドビュー、そして超肉厚なお尻がチャームポイント。拡大
かつて清水少年が憧れたという「日産スカイライン2000ターボRS」。6代目スカイラインに設定された2リッターターボエンジン搭載車だ。写真は豪華仕様の「RS-X」(1983年)。
かつて清水少年が憧れたという「日産スカイライン2000ターボRS」。6代目スカイラインに設定された2リッターターボエンジン搭載車だ。写真は豪華仕様の「RS-X」(1983年)。拡大
ほった「西部警察の『日産ガゼール』って、初代(1979-1983)の『2000XE-II』ですよね?」 
清水「そうだよ。『X2』を薄く伸したら、そんなイメージになると思わない?」 
ほった「あー……はいはい。形そのものというより、ちょっとイビツなイメージが似てるってことですよね」
ほった「西部警察の『日産ガゼール』って、初代(1979-1983)の『2000XE-II』ですよね?」 
	清水「そうだよ。『X2』を薄く伸したら、そんなイメージになると思わない?」 
	ほった「あー……はいはい。形そのものというより、ちょっとイビツなイメージが似てるってことですよね」拡大

「X2」は少年の憧れ

webCGほった(以下、ほった):……読者諸氏の皆さま、あけましておめでとうございます。こちらの3人はまだ2024年の世界にいるのですが、2025年は無事に開けたでしょうか? 開けたことを前提に、謹賀新年のあいさつをさせていただきます。

清水草一(以下、清水):去年も似たようなあいさつだったね。

ほった:気にしないでください。引き続き「俺のデザイン・オブ・ザ・イヤー」の話を続けていきたいのですが、前回は渕野さんとワタシが私的イヤーカーを挙げましたね。残るは清水さんなんですが。

清水:「ホンダ・アコード」の地味で端正なスポーティーセダンぶりもすごくよかったんだけど(その1その2)、今回はBMW X2でいこうと決めました。(全員笑)

ほった:これ、実はワタシは事前に各人のイヤーカーをいただいてたんですけど、編集部で「ほったと清水さんでケンカになるんじゃないの?」って、話題になってましたよ。

清水:ってことはホッタくんはアンチなんだね。ケンカ上等! X2はね、少年の夢なんだよ。私がなぜこれにこんなに反応したかっていうと、20歳ぐらいのとき、「日産スカイライン ターボRS」にものすごい憧れたから。直線的で羽根がついてるお子さまランチ的な、ガンダム系デザインのご先祖さまみたいなクルマに。X2は、BMWがガンダムをつくってくれたんだと思うんです。「XM」もそうなんだけど、あっちは顔や装飾がスゴいだけで、フォルムはちゃんとしてるじゃないですか。割と普通に。

ほった:そうっすね。顔以外。

清水:その点、X2はフォルムからして子供っぽい。車高を低くしたら、『西部警察』の「ガゼール」みたいなイメージになる気がする。

ほった:あー……(写真を凝視)。はいはい(納得)。

清水さん:微妙に無格好でバランスとれてないでしょ。渕野さん、どうですか?

渕野健太郎(以下、渕野):とれていないかどうかと言うよりも、どんなジャンルのクルマなのかイマイチ伝わってこない気はしますね。たとえば「X6」はSUVクーペを表現するためにテールを高く見せていますが、車幅も広くスタンスのよさが感じられます。いっぽう、このクルマのテールも高いのですが、縦横比的にただ分厚い印象で、クーペ的なスポーティーさはあまり感じないです。

清水:あえて高くして、後ろ姿に威圧感を出してるんでしょうね。

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キドニーグリルが光る! 輝く!!

清水:私はね、この後ろ姿を見て、ものすごく反応してしまったんです。特にバンパー下部のジェット噴射口みたいなパーツに。完全なはめ殺しっていうところは、まさにガンダム。全然、穴も開いてない。

ほった:ディフューザーでもない。

清水:なんの機能もない完全なハッタリ。いくらなんでも、もうちょっと深く穴を掘ってごまかしてほしかったけど……。でもね、子供のころ熱中した『サンダーバード』のメカっぽくもある。こういうツッコミどころ満載のお子さまランチを、BMWともあろうものが出してくれた。BMWが少年の夢をかなえてくれた!

欲しいなと思って、ディーラーにも行きました(参照)。で、ディーラーに行ったら、営業マンに「これ、キドニーグリルが光りますよ」って教えてもらって(全員笑)、完全にやられた。「『X1』は光りませんけど、X2は光ります」って。ちょっと残念なのは、グリルの白いランプがすごく自然で、昼間は光ってんだか光ってないんだかわかりづらいことなんだけど。

ほった:昼間も光ってるんですね、あれ。

清水:そんなことより、僕は今後、クルマのグリルは光るのが当たり前になっていくんじゃないかと思うんですよ!

渕野さん&ほった:おおー。

清水:夜もやっぱり主張したいじゃないですか! ヘッドライトだけでは車種がよくわかんない。でもグリルが光ればグンとわかりやすい。グリルが光るのは当然になりますよ! きっと。

ほった:スリーポインテッドスターは、近いうちに光りそうですね(笑)。

清水:だよね! これからそういう戦いが始まる。だって、キドニーグリルって、クルマ好きにとって憧れでしょ? それを光らせたいってのが童心ってもんでしょ! X2は、それを比較的お安い値段で実現してくれている。安いといっても高いけど。フロントのこの黒い部分も(バンパー中央からロワグリルにかけての黒い装飾部)、顔に迫力を出すためでしょ?

ほった:しかも“けつアゴ”ですしね、こいつ。

清水:け、けつアゴ?

渕野:ここが割れてますよね。下の部分。

ほった:そうそうそうそう。

清水:ええと……バート・ランカスター?(全員笑)

全員:古い(笑)。

清水:違った、カーク・ダグラスだ。この威力で前のクルマをどかしてやりたいって気持ちになるでしょ!

後続車を威圧するリアまわり。特撮ロボットのジェット噴射口、あるいは排熱口を思わせるバンパーの造作だが……これがまさかの完全なダミー! 穴が貫通しているわけでも、空力的な機能を有しているわけでもない、まったくのハッタリなのだ。
後続車を威圧するリアまわり。特撮ロボットのジェット噴射口、あるいは排熱口を思わせるバンパーの造作だが……これがまさかの完全なダミー! 穴が貫通しているわけでも、空力的な機能を有しているわけでもない、まったくのハッタリなのだ。拡大
見よ! この「BMW X2」の光り輝くキドニーグリルを! 
ほった「……って言うほどには目立ちませんね」 
清水「まぁ『XM』や『7シリーズ』ほどじゃないよね。悔しいけど」
見よ! この「BMW X2」の光り輝くキドニーグリルを! 
	ほった「……って言うほどには目立ちませんね」 
	清水「まぁ『XM』や『7シリーズ』ほどじゃないよね。悔しいけど」拡大
こちらは「XM」の光るキドニーグリル。 
ほった「『XM』は左右2つのリングが光るかたちなんですね」 
清水「なんで他のモデルもこれにしなかったんだろう? こっちの光り方のほうが、『あ、キドニーグリルだ! BMWだ!』ってわかると思うのに」
こちらは「XM」の光るキドニーグリル。 
	ほった「『XM』は左右2つのリングが光るかたちなんですね」 
	清水「なんで他のモデルもこれにしなかったんだろう? こっちの光り方のほうが、『あ、キドニーグリルだ! BMWだ!』ってわかると思うのに」拡大
鼻先に、光るキドニーをいただいてばく進する「740i」。サードパーティーのアフターパーツから始まり、メーカーが純正アクセサリーを用意するようになり、だんだんと“素の状態”からカーデザインに取り入れられるようになってきたグリルのイルミネーション。今まではただ“光る”というだけだったが、今後はクルマのデザインやブランド性を主張するものになっていくのかもしれない。(写真:荒川正幸)
鼻先に、光るキドニーをいただいてばく進する「740i」。サードパーティーのアフターパーツから始まり、メーカーが純正アクセサリーを用意するようになり、だんだんと“素の状態”からカーデザインに取り入れられるようになってきたグリルのイルミネーション。今まではただ“光る”というだけだったが、今後はクルマのデザインやブランド性を主張するものになっていくのかもしれない。(写真:荒川正幸)拡大
ほった「しかもこのクルマ、けつアゴなんですよ」 
清水「け、けつアゴ? ……本当だ。バンパーが2つに割れてる」
ほった「しかもこのクルマ、けつアゴなんですよ」 
	清水「け、けつアゴ? ……本当だ。バンパーが2つに割れてる」拡大

ドイツ版“竹ヤリデッパ”

ほった:ここまでの話だけど、清水さんの心に刺さったポイントが、ことごとく俺が「うへぇ」って思ってるポイントっていうのがスゴい(笑)。2023年のジャパンモビリティショーで「なんじゃこれ」ってなったところを全部、清水さんが「ここがいい!」ってほめてる(笑)。

清水:全部やっちゃいけないことみたいなね(笑)。これで「スカイラインGTS」みたいに可変フロントスポイラーをつけてくれたら、さらにいいのに!

渕野:いや、確かに可変スポイラーは憧れましたよね。

清水:マジで!?(笑)

ほった:可変スポイラーってことは、R31ですかねぇ。懐(なつ)すぎる。

渕野:スポイラーが上からこう「どん!」っと出てきて。

清水:「GTS-R」だと、後ろにこんな巨大な固定スポイラーがくっついてる。

渕野:あれは確かに、子供ながらに「すげえ」って思いました。31はデザインが全然よくないんですけど、すげえよなとは思ってました。

清水:そうそう。スカイラインは30も31もカッコ悪いじゃないですか。ボディーが後ろまでズバーンといっちゃってて。

ほった:はいはいはい。

清水:そのイッちゃってる先に、GTS-Rではさらに異様にデカいリアスポがついてて、フロントにもスポイラーが張り出してるっていう……。子供心に刺さるんですよね。これは形而上(けいじじょう)的な男の武装。役に立たない、威嚇するだけみたいな。竹ヤリデッパですよね。それをBMWがやってくれてる。あのBMWが……。

ほった:これ、清水さんと俺と、どっちが正しいんですかね?

渕野:いやー(笑)。自分はね、初代のX2は好きなんですが。

清水:初代は僕も欲しいと思って、真剣に検討したくらいなんですけど(参照)、たまたま新型X2に試乗してる最中に、初代と並んだんですよ。で、斜め後ろから見て、「まったく迫力ないな」と思った(全員笑)。「完全に勝った!!」って。

「ジャパンモビリティショー2023」の会場に展示された「BMW X2」。
「ジャパンモビリティショー2023」の会場に展示された「BMW X2」。拡大
思えばこれが、実は「X2」の世界初公開だった。
思えばこれが、実は「X2」の世界初公開だった。拡大
1986年に登場した7代目「日産スカイライン」の高性能グレード「GTS」(写真上)。清水氏のいう「GTS-R」は、後期型で登場したグループAのホモロゲーションモデルで、可変フロントスポイラーを固定化し、リアに大型スポイラーを装着していた(同下)。
1986年に登場した7代目「日産スカイライン」の高性能グレード「GTS」(写真上)。清水氏のいう「GTS-R」は、後期型で登場したグループAのホモロゲーションモデルで、可変フロントスポイラーを固定化し、リアに大型スポイラーを装着していた(同下)。拡大
清水「……まぁ、形はよくはなかったんだけどね。6代目のR30(写真)も、7代目のR31も」 
ほった「後ろが収束してないってやつですね。そのうち、『スカイライン』もテーマに挙げてやりたいですねぇ」
清水「……まぁ、形はよくはなかったんだけどね。6代目のR30(写真)も、7代目のR31も」 
	ほった「後ろが収束してないってやつですね。そのうち、『スカイライン』もテーマに挙げてやりたいですねぇ」拡大
2018年登場の初代「X2」。クーペSUVというよりは、コンパクトワゴン/ハッチバックとSUVのハーフのような感じで、他に類を見ない独創的で新しいカタチをしていた。
2018年登場の初代「X2」。クーペSUVというよりは、コンパクトワゴン/ハッチバックとSUVのハーフのような感じで、他に類を見ない独創的で新しいカタチをしていた。拡大

ドイツにもあった“粉もん”文化

渕野:このクルマ、僕はまだ街で見たことないなぁ。

ほった:たまーにいますよ。

渕野:X6まで振り切っちゃってると、こういう価値観もあるなとは思いますよ。それの子供版みたいな感じですか?

清水:子供版ですね。あるいは普及版。ちょっと冷静になると、これを愛車にして毎日付き合うと、だんだん重荷になってくるのかなという予感はあるんだけど、でもこういう子供みたいなデザインって、最近あんまりないでしょ? みんな個性は競ってるけど、基本的に洗練方向に向かってるんで。

渕野:しかし、ふーむ……。(写真のボディーサイドをさしつつ)ここら辺はデザイン的にそこそこ凝ってますね。前後フェンダーで相関になるようなデザインになってるんですけど。

清水:いやー、あんまり目立たなかったですね、そういうところは。派手な飾りのほうにばっかり目がいって(笑)。

渕野:そうですねぇ。立体がちゃんと見えれば、飾りが多少あってもデザイン的には魅力を感じるんですけど……。でも、これはちょっと、わかんないなぁ。(全員笑)

清水:いや、このクルマは装飾が勝負ですよ。

ほった:たこ焼きですよね。ソースかけて、マヨネーズに青のりに紅しょうがまで乗せちゃうみたいな。

清水:それがうまいんだよ!

渕野:それと、リアの装飾ですけど、こういうのはよくありますよ。そこに目線をいかせて、車体を幅広く見せようみたいな。「iX」のリアはどうなってたかな(タブレットで検索しつつ)……。これも激しい。(全員笑) やっぱり今のBMWのグラフィックはスゴい。ディフューザーみたいになってるんだ。

ほった:電気自動車なのにマフラーが突き出てるっぽい(笑)。ちなみに、「X3」のお尻はこんな感じです(発表会の写真を見せつつ)。

渕野:……狙ってるところはそんなに変わらなそうですね。

ほった:「M50」だと、ノーマルでもディフューザー風の装飾から4本出しのマフラーが突き出てます。ディーゼル(20d)だとただの黒の板になりますけど。マフラーがないので。

清水:ないんだ。それは残念!

ほった:下に隠してるんですよ。最近のクルマはどれもそんな感じですね。なにもビーエムに限った話じゃないですけど。

渕野:それにしても……X3も細部は複雑なデザインしてますねぇ。

ほった:凝って見せたいのか、すんなり見せたいのか、ちょっといまいちわからない気はしましたけど、とりあえず新しいカタチだなってのと、「ツラがでけえ!」っていう印象はすごいありました。X2よりは、まだ理解できるかも(笑)。

オラオラ系のクーペSUVというカルチャーを全身で体現した「BMW X6」。「X2」の大兄貴である。
オラオラ系のクーペSUVというカルチャーを全身で体現した「BMW X6」。「X2」の大兄貴である。拡大
「X2」のサイドビュー(上)。ドアパネルに入るかすかな陰影に注目。 
渕野「この辺りは、前後で相関関係になるようにデザインされているんですね。スケッチ(下)を参考にすると、よりわかりやすいですが」 
清水&ほった「このクルマを見てそんなところに気がつくの、渕野さんだけです」
「X2」のサイドビュー(上)。ドアパネルに入るかすかな陰影に注目。 
	渕野「この辺りは、前後で相関関係になるようにデザインされているんですね。スケッチ(下)を参考にすると、よりわかりやすいですが」 
	清水&ほった「このクルマを見てそんなところに気がつくの、渕野さんだけです」拡大
電気自動車「iX」の後ろ姿。 
清水「アイアンマンにそっくり。マーベルに訴えられたら勝ち目はないな」 
渕野「反射板の辺りを突き出して強調してるのは、マフラーを主張するエンジン車の名残みたいですよね。EVなのに」 
ほった「ちなみにこれ、『2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー』の、『デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー』受賞車です」 
渕野&清水「……」
 
電気自動車「iX」の後ろ姿。 
	清水「アイアンマンにそっくり。マーベルに訴えられたら勝ち目はないな」 
	渕野「反射板の辺りを突き出して強調してるのは、マフラーを主張するエンジン車の名残みたいですよね。EVなのに」 
	ほった「ちなみにこれ、『2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー』の、『デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー』受賞車です」 
	渕野&清水「……」
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2024年11月に日本でお披露目された、新型「BMW X3」。岩から彫刻刀で削り出したようなデザインが特徴的。
2024年11月に日本でお披露目された、新型「BMW X3」。岩から彫刻刀で削り出したようなデザインが特徴的。拡大
非M系のモデルのお尻はご覧のとおり。バンパー下部は黒い装飾で覆われていて、マフラーは見えない。
非M系のモデルのお尻はご覧のとおり。バンパー下部は黒い装飾で覆われていて、マフラーは見えない。拡大
全体にはスッキリしているのに、細部が異常に凝っているのが新型「X3」の特徴。テールランプもご覧のとおりだ。
全体にはスッキリしているのに、細部が異常に凝っているのが新型「X3」の特徴。テールランプもご覧のとおりだ。拡大

はかない時代のあだ花なのかも

清水:いやー、BMWのデザインは盛り上がるね!

ほった:確かにギミックってか、装飾類は最近のBMWはすごいですよね。最新モデルだと、インテリアもクリスタルをバリバリに使うし。

渕野:凝ってるなぁ。

ほった:イカレてますよ。

清水:少年の心だよ。デコトラなんだよ。メルセデスのアンビエントライトがオーディオと同調して明滅するのも、オシャレデコトラだよ!

ほった:星桃次郎に怒られますよ。

清水:カーマニアの間だと、そういうのはすべて中国市場対策だってことで片付けられるけど、日本人の俺も大好きだから、好きな人は絶対いる。そういうのを伝統的な自動車メディアは取り上げないでしょ、『webCG』も。メルセデスのアンビエントライトがオーディオと同調して明滅するとか、キドニーグリルが光るとか、すっごく大事なポイントなのに、まったく触れない!(全員笑) 光り物はね、ほんとは大好きな人は多いと思うよ。

ほった:いや、俺は「目ぇ覚ませ」って頭突きしたくなりますけど。

清水:キドニーが光るのは、承認欲求ってやつだよね。承認欲求が強いんだな、俺。

渕野:グリルが光るのって、まだほかのメーカーはやってないですか?

ほった:ロールスとか、何気に新しいベンツの「Eクラス」もやってますね。「日産セレナ」のVモーションも光りますし。ただ自分のクルマのグリルが光っても、運転中はわからないじゃないですか。そんな装備をユーザーがどこまで求めるか、ちょっとピンとこないんですよ。

清水:いやぁ、キー持ってクルマに近づくと自動的にドアロックが外れて、ポジションランプが光ったりするじゃない。その瞬間にキドニーが光っていれば、それでいいんだよ。「よし、これで今晩もどかしてやるぜ!」って。ネックレスつけてサタデー・ナイト・フィーバーに出撃するジョン・トラボルタだ!

ほった:さ、最悪のタイプだ(笑)。逆に、このドイツ車の華美主義ってのは、どこまでいくのかな? っていうのがワタシは気になるんですが。

清水:ホント言うと、ちょっと幻を追っかけてるような部分があると思う。みんな中国対策っていうけど、中国人はもうそんなの求めてないよとなれば、一気にしぼんじゃうでしょう。

ほった:BYDとかシャオミのクルマはこんなんじゃないですしね。皆、中国人のクルマ趣味に偏見がありますよ。

清水:今はドイツ製のデコトラを買う最後のチャンスかも(笑)。

渕野:自分のカーデザインの価値観も、ある意味自分だけのものなので、もっと広げないといけないなっていう気はしました。もっと広い視点で見るべきかもしれない、BMWを……。(全員笑)

(語り=渕野健太郎/文=清水草一/写真=BMW、日産自動車、メルセデス・ベンツ、webCG/編集=堀田剛資)

「BMW X2」のデザインスケッチ。 
清水「なんだか、スゴいことになっちゃってるね」 
ほった「『ドラゴンボール』で悟空がブチ切れたときみたいですね」
「BMW X2」のデザインスケッチ。 
	清水「なんだか、スゴいことになっちゃってるね」 
	ほった「『ドラゴンボール』で悟空がブチ切れたときみたいですね」拡大
「BMW X2」(上)と、より世代の新しい「X3」(下)のインストゥルメントパネルまわり。クリスタルとイルミネーションがきらめくインテリアは、今後BMWの各車種に展開されていく……のだろうか?
「BMW X2」(上)と、より世代の新しい「X3」(下)のインストゥルメントパネルまわり。クリスタルとイルミネーションがきらめくインテリアは、今後BMWの各車種に展開されていく……のだろうか?拡大
「メルセデス・ベンツEクラス」のインテリア。 
ほった「……まぁ、光りもののセンスはベンツもビーエムも一緒って感じですね」
「メルセデス・ベンツEクラス」のインテリア。 
	ほった「……まぁ、光りもののセンスはベンツもビーエムも一緒って感じですね」拡大
BMWのライバルである、メルセデス・ベンツの「Eクラス」などもグリルは光るが……。 
清水「BMWの『7』とか『XM』あたりと比べると、なんだか気が引けてるね」 
ほった「まぁメルセデス・ベンツは、グリル自体が特別な形をしているわけじゃないですからね」
BMWのライバルである、メルセデス・ベンツの「Eクラス」などもグリルは光るが……。 
	清水「BMWの『7』とか『XM』あたりと比べると、なんだか気が引けてるね」 
	ほった「まぁメルセデス・ベンツは、グリル自体が特別な形をしているわけじゃないですからね」拡大
ほった「このドイツ製高級車の華美主義ってのは、どこまで突き進むんですかね?」 
清水「案外、アッサリしぼんじゃうかもしれないね……。買うなら今だよ!」
ほった「このドイツ製高級車の華美主義ってのは、どこまで突き進むんですかね?」 
	清水「案外、アッサリしぼんじゃうかもしれないね……。買うなら今だよ!」拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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