第84回:ステランティスの3兄弟を総括する(その2) ―「フィアット600」からにじみ出るデザイナーの苦悩―

2025.09.10 カーデザイン曼荼羅 渕野 健太郎清水 草一
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「e-CMP」プラットフォームをベースに開発された「フィアット600」。「アルファ・ロメオ・ジュニア」や「ジープ・アベンジャー」とは、主要コンポーネントを共用する兄弟車の関係にあたる。
「e-CMP」プラットフォームをベースに開発された「フィアット600」。「アルファ・ロメオ・ジュニア」や「ジープ・アベンジャー」とは、主要コンポーネントを共用する兄弟車の関係にあたる。拡大

ステランティスの未来を担う、SUV 3兄弟のデザインを大総括! 2回目のお題は「フィアット600」である。共通プラットフォームをベースに、超人気車種「500」の顔をくっつけた同車だが、その仕上がりに、有識者はデザイナーの苦悩を感じ取ったのだった……。

「アルファ・ロメオ・ジュニア」編へ戻る)

「フィアット600」のフロントクオータービュー。「500」に似せたフロントマスクが目を引くが……。
「フィアット600」のフロントクオータービュー。「500」に似せたフロントマスクが目を引くが……。拡大
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4200×1780×1595mm。同=3570×1625×1515mmだった従来型「500」や、同=3630×1685×1530mmの現行500と比べると、かなりデカい。
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4200×1780×1595mm。同=3570×1625×1515mmだった従来型「500」や、同=3630×1685×1530mmの現行500と比べると、かなりデカい。拡大
1955年登場の元祖「フィアット600」。RRの駆動レイアウトを採用した4人乗りの大衆車で、その設計をひとまわりコンパクトにして登場したのが、“ヌオーヴァ500”こと2代目「500」だった。
1955年登場の元祖「フィアット600」。RRの駆動レイアウトを採用した4人乗りの大衆車で、その設計をひとまわりコンパクトにして登場したのが、“ヌオーヴァ500”こと2代目「500」だった。拡大
レトロデザインとなって3世代目となる現行型「フォード・マスタング」だが、3連の異形ヘッドランプをはじめ、各部がモダンなスポーツクーペとして解釈し直されている。オリジナルのモチーフは尊重しつつ、次の展開を模索する動きは、すでに多くのネオレトロ系のモデルで見られているのだ。
レトロデザインとなって3世代目となる現行型「フォード・マスタング」だが、3連の異形ヘッドランプをはじめ、各部がモダンなスポーツクーペとして解釈し直されている。オリジナルのモチーフは尊重しつつ、次の展開を模索する動きは、すでに多くのネオレトロ系のモデルで見られているのだ。拡大

懐古主義の時代はおしまい?

webCGほった(以下、ほった):……そんなわけで、2回目のお題はフィアット600でございます。影が薄いクルマですけど、盛り上げていきましょう(拍手)。

清水草一(以下、清水):500よりだいぶ大きいから、700くらいの感じだけど、600なのね。

ほった:……ああ、車名の話ですね。1955年に出た「600」のリバイバルってことなんでしょう。昔のとは形がぜんぜん違いますけど。

渕野健太郎(以下、渕野):まったく似ていないですね。

清水:名前だけ使った感じだな。

ほった:ですねぇ……。