第93回:部品の標準化とセルフスターター
キャデラックが先導した“運転の民主化”
2021.02.03
自動車ヒストリー
アメリカを代表する高級車ブランドとして、あまたの新技術により自動車の進化を推し進めてきたキャデラック。なかでも大きな功績といえるのが、部品の標準化とセルフスターターの採用だ。“運転の民主化”に寄与した2つの発明を、2人の人物の逸話とともに紹介する。
2大高級車ブランドをつくったリーランド
ゼネラルモーターズ(GM)は2009年の経営危機を克服し、今も世界トップクラスの自動車会社であり続けている。重厚長大な旧型の企業というイメージがあるかもしれないが、GMには数多くの技術革新で自動車業界をリードしてきた歴史があった。1940年にはオールズモビルに世界初の全自動変速機「ハイドラマチック」を搭載しているし、1962年のターボチャージャー装着も、市販のガソリンエンジン車としては初めての試みだ。2021年1月には、2035年までにすべての新車を電気自動車か燃料電池車にするという努力目標を掲げた。今も最先端技術を取り入れることに貪欲なのだ。
数あるGMのブランドの中で、最も多く新技術にチャレンジしてきた歴史を持つのがキャデラックである。量産型V8エンジンやV16エンジン、シンクロメッシュ機構、ダブルウイッシュボーン式前輪独立懸架、パワーステアリング、ヘッドランプの自動調光システム、エアコンディショナーなど、キャデラックが先陣を切って採用した技術は枚挙にいとまがない。トップブランドであるからこそ、高級車として魅力的な装備をまとう必要があった。
キャデラック社はヘンリー・マーティン・リーランドによって、1902年に設立された。その経緯がややこしい。まずは精密工作機械のエンジニアだったリーランドが、ヘンリー・フォード・カンパニーにチーフエンジニアとして迎えられる。前任者のヘンリー・フォードは出資者と対立して会社を辞め、その翌年フォード・モーターを設立した。彼の去ったヘンリー・フォード・カンパニーを改組して誕生したのが、キャデラック・モーター・カンパニーである。キャデラックという社名は、デトロイトを開拓したフランス人貴族の名が由来だ。
1909年になるとキャデラックはGMに買収され、高級車ブランドとして同社のイメージリーダーを担うことになる。リーランド自身は1917年にGMを離れ、新たにリンカーン社を設立して高級車づくりを始めた。それが1922年にフォード傘下に入る。リーランドは、アメリカの2大高級車ブランドを生んだ人物なのだ。
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