第764回:ホンダの純正コンプリートカー「モデューロX」が10周年! 初のファンイベントを現地リポート
2023.09.28 エディターから一言 拡大 |
ホンダアクセスの純正コンプリートカー「Modulo(モデューロ)X」が、今年で誕生10周年! これを記念して、初の公式ファンイベントが開催された。開発アドバイザーの土屋圭市氏も参加し、魅力的なコンテンツ満載で行われたイベントの様子をリポートする。
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全国から175台の「モデューロX」が集結
モデューロXといえば、ホンダ車の純正アクセサリーを手がけるホンダアクセスが開発する、“純正コンプリートカー”だ。2013年1月に発売された「N BOXモデューロX」にはじまり、これまでに7モデルと1つの特別仕様車が販売されている。そんなモデューロXのシリーズ誕生10周年を迎えるにあたり、ホンダアクセスが初の公式ファンイベントを開催した。2023年9月18日に行われた「Modulo Xシリーズ10周年記念オーナーズミーティングin群サイ」だ。会場の“群サイ”とは、群馬県みなかみ町の山中にある「群馬サイクルスポーツセンター」のことである。
告知とエントリーは公式サイトより行われ、会場のキャパシティーから設定された「モデューロX限定200台」という参加枠は1カ月ほどでいっぱいになったという。会場に向かう高速道路の最寄りのサービスエリアは、すでに通常ではありえないほどの“モデューロX濃度”となっており、イベントの開始より前に、すでにオーナー同士の交流も始まっていたようだ。
一方、会場である群サイのゲートオープンは8時半。スタッフの誘導に従い、続々と参加者が会場入りをする。見れば、関東だけでなく関西、そして九州のナンバーまでが交じっている。駐車スペースを埋める参加車のうち、実に6割以上を占めているのが「S660モデューロX」だ。夫婦とおぼしき2人連れも多く、S660のルーフにトランクを縛り付けているつわものもちらほら見かけられた。これほどの数のS660を見ること自体、筆者にとっても初のこと。まさに壮観である。
最終的にイベントに参加したモデューロXは175台。内訳は、S660が113台、「ステップワゴン」が14台、「フリード」が15台、「ヴェゼル」が5台、「フィット」が10台、「N-ONE」が13台、「N-BOX」が5台だった。
トークショーで語られたこだわりの数々
開会式の壇上に並ぶのは、開発アドバイザーの土屋圭市氏、開発統括の福田正剛氏、完成車性能担当の湯沢峰司氏といったモデューロXの開発陣。そして、SUPER GTに参戦するレーシングドライバーで、ホンダ純正アクセサリーのアンバサダーも務める大津弘樹選手だ。司会を務めるのは、ピエール北川氏、まるも亜希子氏の両人である。
あいさつもそこそこに、元気いっぱいのMCのリードでトークショーがスタート。まず話題となったのが「なぜ、群サイで開催したのか?」ということだった。その理由は、群サイがモデューロXにとって非常に重要な場所だから。実は十余年前にモデューロXの開発がスタートしたとき、土屋氏が「群馬サイクルスポーツセンターは、ギャップや穴があるなど路面が荒れていて、テストにすごくいいんですよ」と試験コースに推薦したというのだ。そのため、モデューロXの開発では(主にはホンダの北海道・鷹栖プルービンググラウンドでテストされるものの)、最後には必ず群馬サイクルスポーツセンターで確認走行を行ってきたという。つまり、モデューロXにとって群馬サイクルスポーツセンターは“聖地”のひとつなのであり、それが初の公式ファンイベントの開催地に選ばれた理由となったのだ。
さらにトークショーでは、モデューロXの開発に関するこだわりや苦労などが語られた。個人的に興味深かったのは、ホンダアクセス側がスパルタンな方向に行きすぎるところを、土屋氏が抑えていたということ。ステップワゴンの開発では土屋氏は運転席ではなく、まずは後席から試乗して乗り心地を確認していたという。
またS660の開発では、5種類の剛性の異なるアルミホイールを試したことも明かされた。S660は前後ホイールのサイズが異なるため、実際には10種類のホイールを試作したことになる。それ以外にも開発秘話として多く語られたのが、お金や時間をいかにたっぷりかけたかということ。コストよりも仕上がりを重視するという開発陣の姿勢が、よく理解できるトークショーだった。
開発関係者との交流を楽しめるコンテンツの数々
トークショーを終えた後は、「群サイコースTAXI」(モデューロXの同乗試乗)、「実効空力デバイス試乗」(モデューロXの開発で培われた空力デバイスの効果を実感する比較試乗)が実施された。実効空力とは、それこそ自転車程度の低い速度域でも実感できる空力効果という意味。量産車であるモデューロXは、限界スピードではなく日常使いでも空力が効くことを狙っている。そこで培われたデバイスの効果を試すというのが、実効空力デバイス試乗というコンテンツだった。試乗では開発者である湯沢氏が同乗。参加者はハンドルを握りながら解説に耳を傾けつつ、エンジニアとの交流も同時に楽しんでいたようだ。
また、会場にはモデューロXの技術展示も用意されており、そこでひときわ目を引いていたのが「実効空力“感”実験車」であった。これは、名前とは裏腹に空力パーツが一切ない実験車で、車内にはジャングルジムのように鉄棒で補強が施されていた。この補強によって、開発陣は超高剛性ボディーの走りを実感。その感覚を実効空力で再現しようと考えているという。これは若手開発陣によるトライであり、次世代のモデューロXの飛躍を期待させるものだった。
そして、会場でなにより人気となっていたのが、土屋氏による「ミーティングエリア巡回」だ。土屋氏や開発責任者の福田氏などが会場を巡り、愛車の前で待つオーナーと交流するというもの。愛車の話をして、一緒に写真撮影を行い、そしてクルマにサインを記してゆく。2人は1時間以上をかけ、ゆっくりと参加者との交流を楽しんだ。
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「モデューロ」の志を次の世代へ
ステージでの最後のイベントは、15時からの閉会式だ。ここでは、先述のミーティングエリア巡回で、土屋氏と福田氏が最も印象に残った2台を発表。表彰が行われた。ひとりは実に3台ものS660を購入したという筋金入りのファン、もうひとりはハンバーグ店の景品のミニカーをS660モデューロX仕様にカスタムしたという猛者であった。また、長年にわたりモデューロXの開発責任者を務めていた福田氏の定年退職、そして湯沢氏に後を託すことも、この場で発表されたのだ。
イベントの最後は、群馬サイクルスポーツセンターのコースを一周するパレードラン。狭いコースなので一列に並んでの走行となる。安全マージンを守ってゆっくりと走っていたこともあり、最後尾が走り終わるまで30分以上の時間を要した。手を振るホンダアクセスのスタッフに対して、クルマのなかから手を振り返す参加者。終始、笑顔にあふれたイベントだった。
……ところで、ホンダアクセスの純正アクセサリーブランド、モデューロは、1994年にまずはアルミホイールのブランドとして誕生している(参照)。つまり、来年(2024年)には30周年を迎えることとなるのだ。ひょっとしたら来年にもう一度、なにかしらかのファンイベントがあるかもしれない。
(文と写真=鈴木ケンイチ/編集=堀田剛資)

鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
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