第860回:ブリヂストンの設計基盤技術「エンライトン」を用いて進化 SUV向けタイヤ「アレンザLX200」を試す
2026.02.13 エディターから一言 拡大 |
ブリヂストンのプレミアムSUV向けコンフォートタイヤ「アレンザLX100」の後継となるのが、2026年2月に発売された「アレンザLX200」だ。「ENLITEN(エンライトン)」と呼ばれる新たな設計基盤技術を用いて開発された最新タイヤの特徴と試走の第一印象を報告する。
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コンフォート性能重視のアレンザがモデルチェンジ
ブリヂストンがSUV用オンロードタイヤブランド、アレンザを立ち上げたのが2016年のこと。同社によればその当時でも人気のSUVは新車販売の19%を占めていて、その後も販売比率は右肩上がり。2026年には当時から倍増して、41%に達するとみている。
プレミアムSUV用タイヤと銘打っていち早く新ブランドを手がけ、SUVユーザーのあいだでアレンザという名がある程度浸透していることを考えると、ブリヂストンの作戦は成功だったといえるだろう。
アレンザには、スポーティーさを重視する「アレンザ001」と、快適性を追求するアレンザLX100があり、後者の登場から5年の時を経て新しい世代に生まれ変わったのが、今回紹介するアレンザ LX200である。
中・大型SUV向けに23サイズを用意するアレンザLX200は、ユーザーのニーズに応えるべく、乗り心地・運動性能・静粛性の向上や、ウエット性能を強化するとともに、環境負荷の低減を目指したという。
オンロードコンフォートタイヤに求められる性能は?
私も2022年の冬から自身初のSUVユーザーとなり、とくにSUV向けオンロードコンフォートタイヤについてはこれまで以上に関心を持つようになった。日々運転するうえでSUVユーザーがとくに求めるのは、乗り心地や静粛性といった快適性、安定感のある走り、安心して止まれるブレーキ性能、低燃費といったところ。こうした要望に応えるため、アレンザLX200にはさまざまな技術を注ぎ込んだという。
たとえば、タイヤのトレッド面にある切り欠きのような部分。これはノイズを吸収するための「消音器」といわれるもので、以前よりコンパクトな「シングルブランチ型消音器」と「突き通しサイプ」を組み合わせることで、音を吸収しながらパターン剛性をアレンザLX100以上に高める設計だという。
また、「LXテックコンフォート設計」による構造により、タイヤ全体をしなやかに変形させて振動を吸収。これにより、ロードノイズを18%、段差乗り越え時の衝撃を22%低減しているという。さらに接地形状と接地圧を最適化し、操舵に対する応答性や揺れの収まりを改善。ふらつきにくさとハンドリングを高次元で両立している。
トレッドの最表層にあたるゴムには、新技術の「LXアクアテックゴム」を採用し、ウエットグリップの向上と転がり抵抗低減の両立を狙う。ウエットグリップ性能は全サイズで「a」グレードを、転がり抵抗係数もほとんどが「AA」を達成。アレンザLX100と比較して、ウエット路面での停止距離が15%短縮し、転がり抵抗が18%低減しているのも見逃せない。
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さらに向上した乗り心地
そんなアレンザLX200は、この2月から順次販売が開始されていて、さっそくその実力を試すことができた。試走会場は、この手の取材では定番の大磯プリンスホテル駐車場で、場内に特設コースが設けられるとともに、場外では西湘バイパスや一般道での試走が可能である。
まずは特設会場に用意された「レクサスNX350h」と「トヨタ・ハリアー」で、アレンザLX200とLX100を乗り比べてみることにした。コースの前半はスラロームやレーンチェンジを試すことができるのだが、NX350h、ハリアーとも、従来のLX100でも安定した挙動をみせる。
ここからLX200を履く車両に乗り換えると、LX200のほうがステアリング操作に対する反応が良く、より軽快にクルマが向きを変えていく印象だ。そして、60km/hからのレーンチェンジでは、車線変更後の収まりが良く、安心してステアリング操作ができる。
コースの後半ではロープや突起物を乗り越えて、ショックの伝わり方の違いを確認する。ここでもLX100は十分に快適なのだが、LX200ではとくに大きな段差を越える場面でショックが小さく、揺れの収束が明らかに早い。タイヤの違いだけでこんなに挙動が変わることには驚くばかりだ。
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快適なドライブをサポート
その後、アレンザLX200が装着された「メルセデス・ベンツGLC」でリアルワールドでの印象を確かめた。さっそく自動車専用道の西湘バイパスに入ると、スムーズな乗り心地が際立つ。タイヤ自体に十分な剛性感があり、スピードを上げたときの直進安定性も申し分ない。
道路の継ぎ目が連続することで知られる西湘バイパスだが、段差を越えたときのショックは巧みに遮られ、快適さを保つのもうれしいところだ。
そして、一番のポイントが静粛性の高さ。試走したGLCにはディーゼルエンジンが搭載されていることもあって、比較的状態のいい路面ではロードノイズがほとんど気にならないレベルに抑えられている。50km/hを超えたあたりからやや高めのノイズが耳に入ることがあったが、音量自体は小さく、気になるほどではない。路面が荒れたセクションでもロードノイズが盛大に高まったり、また、乗り心地が急に悪化したりせず、快適さを維持している。
ところで、このアレンザLX200では、最新の商品設計基板技術「エンライトン」が採用されている。「薄く・軽く・円(まる)く」を実現して基本性能を高めるとともに、商品ごとに必要な付加価値を提供するというものだ。SUVタイヤのように大きなサイズではどうしても重くなりがちで、それが乗り心地の悪化を招く一因になるが、このアレンザLX200では足元の動きに軽さがあり、そのバランスの良さにはエンライトンが貢献していると感じた。
というわけで、SUVユーザーの私としては、次の履き替え候補としたいアレンザLX200。現状では私がほしい235/50R20が用意されていないので、ぜひとも追加して欲しいというのが心からのお願いである。
(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)
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生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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