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クルマ選ぶなら「〇〇クロス」!? いま注目したい“SUV風”モデル

2022.10.07 デイリーコラム 玉川 ニコ
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「なんとなくいい」のがいい

昨今のSUVブームに合わせて、人気車種をベースに“SUV風”にしたモデルが目につくようになってきた。しかし、webCGの隅々まで読んでらっしゃる硬派カーガイ各位のなかには、こうしたSUV風モデルのことを少し見下している人も多いのではないかと想像する。

筆者はあいにく硬派ではないため、SUV風モデルのことがさほど嫌いではない。なぜならば、都市部に住むアウトドア趣味を持っていない人間――すなわち筆者を含む「大多数の人間」は、本格的な四駆システムやデパーチャーアングルなど必要としていないというか、基本的にはどうでもいいからだ。

さらに言えば、「SUV風に仕立てるとクルマはなぜかカッコよく見える」という法則があるからだ。いやこの“法則”は現時点限りのものであり、10年後、15年後にいまのSUV風モデルを見た際には「……正直、ダサい」と感じる可能性もある。

だが現時点においては間違いなく「SUV風デザイン=なんかカッコいい、なんとなくいい感じ」と、人の脳は認識する。1980年代の人々の脳が、当時のスペシャルティーカーを「なんかカッコいい、なんとなくいい感じ」と認識したのと、物事の筋としては同一である。

そしてSUV風モデルは、本格的な悪路や超絶雪道を走破できるだけの諸性能はまったくと言っていいほど有していないが、少なくとも「最低地上高」は一般的なクルマよりも高い。そしてその事実は、街なかを普通に走る際にも「段差や車輪止めなどの存在をさほど気にしないで済む」という恩恵を、一般的なドライバー各位に与えるのだ。

“SUV風”で頭によぎるのが、2010年に発売された「スバル・インプレッサXV」(写真)。「インプレッサ」にアーチモールとルーフレールを付けたスタイルはなんとも言えない雰囲気を醸していたが、そのコンセプトはスバルのヒット商品「スバルXV」「クロストレック」へと受け継がれた。
“SUV風”で頭によぎるのが、2010年に発売された「スバル・インプレッサXV」(写真)。「インプレッサ」にアーチモールとルーフレールを付けたスタイルはなんとも言えない雰囲気を醸していたが、そのコンセプトはスバルのヒット商品「スバルXV」「クロストレック」へと受け継がれた。拡大
アーチモール&ルーフレールでSUVっぽい派生車種は輸入車にも少なくない。「ボルボV40」(写真右)をベースに生まれた「V40クロスカントリー」(同左)は、その好例だろう。そのスタイリングは、V40よりむしろ本命と思えるほどカッコよかった。
アーチモール&ルーフレールでSUVっぽい派生車種は輸入車にも少なくない。「ボルボV40」(写真右)をベースに生まれた「V40クロスカントリー」(同左)は、その好例だろう。そのスタイリングは、V40よりむしろ本命と思えるほどカッコよかった。拡大
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「子育てカー」が「アウトドア車」に

そう考えると、まぁ硬派な各位に無理やり薦めるつもりはないが、己のことを「決して超絶硬派なわけではない」と認識しているカーガイ各位には、「以下のSUV風なんちゃってモデル5車種を、普段使いの足グルマとして選んでみるのも悪くないんじゃないですか?」とは言っておきたいのだ。

まずは2022年8月22日に一部の情報が先行公開された「ダイハツ・タント ファンクロス」。子育てカーとして一世を風靡(ふうび)した軽スーパーハイトワゴン「タント」をSUV風に仕立てたものだが、これのたたずまいがなかなかすてきだ。

同年9月15日にフルモデルチェンジしたばかりの「スバルXV」改め「クロストレック」も、ベースとなっている「インプレッサスポーツ」よりも“本流”に見えてしまうというたたずまいだったが、タント ファンクロスもそれと同じだ。現行型タントはこのデザインこそが本筋であり、「ミラクルオープンドア」も、実は子育てのためではなくキャンプ等のために考案されたものなのだ……という歴史の改ざんを脳内で行いたくなるほど、しっくりきている。背が高いためオートキャンプ場のカーブでひっくり返らないかだけが心配だが、まぁ大丈夫だろう。DNGAだし。

タント ファンクロスが今秋に正式発売されると、このジャンルの先行者である「スズキ・スペーシア ギア」は“新鮮味”という点でややピンチとなるわけだが、「ゴツめで男子っぽいタント ファンクロス」と「ポップでかわいいスペーシア ギア」ということで、結局はうまいことすみ分けが進むのかもしれない。「出来の良い軽」が好きで、なおかつ「なんちゃってSUV」も決して嫌いではない筆者としては“竜虎相搏(あいう)つ”というニュアンスで、この両雄にはがんばってもらいたいと思っている。

2022年秋の発売が予定されている、ダイハツの「タント ファンクロス」。Bピラーレスによる「タント」のすぐれたユーティリティーをより多くのユーザーに提供する新しい軽である。
2022年秋の発売が予定されている、ダイハツの「タント ファンクロス」。Bピラーレスによる「タント」のすぐれたユーティリティーをより多くのユーザーに提供する新しい軽である。拡大
「デザイン重視の軽だろう」などとあなどるなかれ。アウトドアシーンで大いに活躍してくれそうな「タント ファンクロス」。ダイハツのオフィシャルサイト(写真)でも、そのイメージが強調されている。
「デザイン重視の軽だろう」などとあなどるなかれ。アウトドアシーンで大いに活躍してくれそうな「タント ファンクロス」。ダイハツのオフィシャルサイト(写真)でも、そのイメージが強調されている。拡大
2022年9月15日にデビューした新型「スバル・クロストレック」。「インプレッサスポーツ」由来のクルマだが、現在の販売台数はインプレッサ比約3倍を記録する。
2022年9月15日にデビューした新型「スバル・クロストレック」。「インプレッサスポーツ」由来のクルマだが、現在の販売台数はインプレッサ比約3倍を記録する。拡大
「タント ファンクロス」誕生のきっかけになったであろう、スズキのSUV風軽「スペーシア ギア」。やや“かわいさ”の残る見た目のおかげで、ライバルのデビュー後もすみ分けができそうだ。
「タント ファンクロス」誕生のきっかけになったであろう、スズキのSUV風軽「スペーシア ギア」。やや“かわいさ”の残る見た目のおかげで、ライバルのデビュー後もすみ分けができそうだ。拡大

むしろ本命? のカッコよさ

「ベースモデルよりいいんじゃないの?」と思えるSUV風モデルには、「ホンダ・フィット クロスター」も該当するだろう。

ご存じのとおりフィットは販売面で「ヤリス」などに水を空けられているわけだが、不振の理由はクルマの出来うんぬんではなく「地味でとらえどころのないデザイン」にあると、筆者には思える。だがそんな地味系なフィットも、クロスターであれば「前は地味だったけど、ちょっと日焼けして無精ひげも生えたことで、ちょっとイカして見えるようになった男性」のようなニュアンスをまとうことになる。今秋のマイナーチェンジ版フィット クロスターは、マッチョ志向ではない「文化系SUV風モデル」として、ある種の人には刺さるだろう。

そのほかでは、現行型「ノート」をオーテックがSUV風に仕立てた「日産ノートAUTECHクロスオーバー」も悪くない。いや公式のメイン画像だけを見るとパッとしない感じに思えるのだが(すみません)、その他の画像を見ると「おおっ!」と思わせるだけの造形の力というか、フォルムの力はある。ノートの車高を25mm上げただけで(いや“だけ”ではないのですが)、ここまで激変するとは……。「『ノート オーラ』はカッコいいけど、素のノートはちょっとだけ貧弱に感じるかも」というような人には、このノートAUTECHクロスオーバーがハマるはずだ。

そして「カッコよければすべて良し!」という昨今の風潮をまるごと肯定したうえで、SUV風モデル界のトップリーダーとしてジャンルけん引している(?)のが「シトロエンC3エアクロスSUV」だ。

そのビジュアルは「ちょっとした岩場ぐらいは走れちゃうんじゃない?」と思わせるもので、車名にも堂々と“SUV”をうたっているが、実はFFのみという割り切りっぷり。守旧派カーマニアは「何じゃそりゃ!」とずっこけるかもしれないが、これこそが“いま”であり、筆者は「それはそれで悪くない」と思っているのだ。

(文=玉川ニコ/写真=ダイハツ工業、スズキ、本田技研工業、ボルボ・カー・ジャパン、webCG/編集=関 顕也)

デビュー当初は微妙に思えた「フィット クロスター」もいまではすっかり人気車種となっている。写真はホンダが自らカスタマイズした「フィットe:HEVクロスター カスタム」。
デビュー当初は微妙に思えた「フィット クロスター」もいまではすっかり人気車種となっている。写真はホンダが自らカスタマイズした「フィットe:HEVクロスター カスタム」。拡大
「ノートAUTECHクロスオーバー」は、日産のコンパクトカー「ノート」をベースに開発されたコンパクトクロスオーバー。ベースモデルより外径の大きなタイヤや専用サスペンションの装着により、最低地上高はベース比+25mmとなっている。
「ノートAUTECHクロスオーバー」は、日産のコンパクトカー「ノート」をベースに開発されたコンパクトクロスオーバー。ベースモデルより外径の大きなタイヤや専用サスペンションの装着により、最低地上高はベース比+25mmとなっている。拡大
個性的なデザインと走りのよさが長所とされる「シトロエンC3エアクロスSUV」。駆動方式はFFのみだが、実際に悪路や雪道に乗り入れる機会が少ないのなら割り切れるというものだ。
個性的なデザインと走りのよさが長所とされる「シトロエンC3エアクロスSUV」。駆動方式はFFのみだが、実際に悪路や雪道に乗り入れる機会が少ないのなら割り切れるというものだ。拡大
玉川 ニコ

玉川 ニコ

自動車ライター。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、自動車出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。愛車は「スバル・レヴォーグSTI Sport R EX Black Interior Selection」。

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