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ダイハツ車オーナーの本音は? 全車種出荷停止に発展した不正問題をこう考える

2024.01.11 デイリーコラム 清水 草一
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ダイハツ車オーナーとして一言

ポート研磨にスロットルボア径拡張等、なんでもござれのダイハツ認証不正! 30年以上前からやってたっていうんだから驚きだ!(参照

ダイハツディーラーには全国のユーザーから「このまま乗り続けていて大丈夫か」という問い合わせが殺到したとか。そこで私も、いちダイハツユーザー(2022年式「ダイハツ・タントスローパー」)としての所感を述べさせていただきます。

「なんとも思ってません」

インチキポート研磨などがあったのは1990年代の「ミラ」等。当時はまだパワー競争の時代でしたね。現在も長く大事に乗ってらっしゃるユーザーがいたとしても、実害は出ていないでしょう。

そういえば私、1990年式「ダイハツ・ハイゼット トラック ジャンボ」にも乗ってたんだっけ! 3年前25万円で買い、半年後に局地豪雨で水没。30年以上元気に走った末の、華々しい最期でした。

2023年12月20日、認証試験の不正問題について第三者委員会の調査結果と今後の対応を発表したダイハツ工業。すでに発表されているものに加え新たに25の試験項目についての不正が明らかとなり、その数は合計174件となった。
2023年12月20日、認証試験の不正問題について第三者委員会の調査結果と今後の対応を発表したダイハツ工業。すでに発表されているものに加え新たに25の試験項目についての不正が明らかとなり、その数は合計174件となった。拡大
新車で購入、しかも生まれて初めて残価設定ローンを選択したという清水草一氏の愛車「ダイハツ・タントスローパー」。
新車で購入、しかも生まれて初めて残価設定ローンを選択したという清水草一氏の愛車「ダイハツ・タントスローパー」。拡大
3年前25万円で購入し、半年後に局地豪雨で水没した清水草一氏の1990年式「ダイハツ・ハイゼット トラック ジャンボ」。
3年前25万円で購入し、半年後に局地豪雨で水没した清水草一氏の1990年式「ダイハツ・ハイゼット トラック ジャンボ」。拡大
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多くのユーザーは性能で軽を選んでない?

今回発見された不正(174件)の大部分は衝突安全関係だが、うち147件は、基準をクリアしていたにもかかわらず、より良い数値に改ざんしていたというもの。残る27件は、計測結果じゃなく目標値を書いたとか、量産部品が間に合わなくて別の部品を使ったといった「急いでいたのでズルしました」というケースだ。

確かにダイハツは認証で不正を行って新型車を販売したが、発売後にはJ-NCAPの衝突安全試験もある。うちのタントは2019年の試験で、100点満点中80.2点で4つ星を取っている。先代「ホンダN-BOX」は5つ星だったので、それには負けていたけれど、4つ星は先代「スズキ・スペーシア」と同じだ。

つまり、今回の不正は、基本的にはダイハツ社内の問題。上流側の国交省としては「あってはならない事例」でしょうが、下流側のユーザーにはほとんど実害はない。

いまダイハツ車の納車待ちをしている人は、納車が伸びるという実害があるのでお気の毒ですが、辛抱強く待つか、キャンセルして別のモデルを買うか、すでに検討済みのことと存じます。キャンセルする場合、新型N-BOXはあらゆる面で一歩抜けた完成度だと考えておりますのでオススメです。多くのユーザーは性能で軽自動車を選んでないと思いますが……。

ダイハツ京都(大山崎)工場の製造ラインに設けられた完成検査工程の様子。AIの活用や顔認証システムの導入などのデジタル化を推進し、働きやすさと品質向上を実現したという。
ダイハツ京都(大山崎)工場の製造ラインに設けられた完成検査工程の様子。AIの活用や顔認証システムの導入などのデジタル化を推進し、働きやすさと品質向上を実現したという。拡大
ダイハツの京都(大山崎)工場では組み立て・検査工程を新設した4階建ての建屋に集約。1階に組み立て・検査工程が、2階~4階に塗装工程が配置されている。
ダイハツの京都(大山崎)工場では組み立て・検査工程を新設した4階建ての建屋に集約。1階に組み立て・検査工程が、2階~4階に塗装工程が配置されている。拡大
1973年に操業を開始し、小型車やトヨタ自動車株式会社からの受託車を中心に累計で約640万台を生産したという京都(大山崎)工場。2035年の工場カーボンニュートラルの実現に向け、2022年10月にリニューアルされた。
1973年に操業を開始し、小型車やトヨタ自動車株式会社からの受託車を中心に累計で約640万台を生産したという京都(大山崎)工場。2035年の工場カーボンニュートラルの実現に向け、2022年10月にリニューアルされた。拡大

実害を実感するのは極めて難しい

2016年に発覚した三菱自動車の燃費データ不正のときは、実害があった気がする。三菱が日産と共同開発した先代「eK」系は、他社製品に比べて明らかに低速トルクがなくて遅かった。トルクがないから燃費が悪化する。それで不正を働いた。実用上は、燃費より加速が悪いことのほうが実害が大きいように感じたけれど、他社製品と比較して初めてわかることなので、マイカーだけ乗っていればわからない。つまりこちらも、ユーザーが実害を実感するのは極めて難しく、みんな満足していたようだ。

なにせ不正発覚後も、先代eK系や「デイズ」系は、販売台数があまり落ちなかった。当時は「三菱自動車は芯まで腐っている」みたいに報道されたけれど、ユーザーには馬耳東風だったのですよ! 今回はもっと速攻で忘れられるだろう。

それより、神奈川・厚木のパチンコ店の駐車場で「フォルクスワーゲン・ゴルフTDI」から出火して、クルマが153台も燃えちゃった事故のほうがはるかに問題がデカい気がしてならない(2023年12月22日にリコール届け出)。ゴルフTDIの2リッターディーゼル、性能は最良だけど、製造からたった2年のクルマが燃えるのはイカン。クルマが燃えても「まぁしょうがないか」「そういうこともあるよね」と思えるのは、古いフェラーリやランボルギーニだけ!

(文=清水草一/写真=ダイハツ工業、清水草一、webCG/編集=櫻井健一)

DNGAとツートンカラーにこだわって選んだ清水草一氏の「タントスローパー」。愛車のしなやかなコーナリング感覚を、どことなくフランス車的とリポートしている。
DNGAとツートンカラーにこだわって選んだ清水草一氏の「タントスローパー」。愛車のしなやかなコーナリング感覚を、どことなくフランス車的とリポートしている。拡大
東京オートサロン2020のダイハツブース。この年は軽クロスオーバー「タフト コンセプト」やコンパクトSUV「ロッキー」、軽オープンスポーツカー「コペンGRスポーツ」などが展示され、終日ファンでにぎわった。
東京オートサロン2020のダイハツブース。この年は軽クロスオーバー「タフト コンセプト」やコンパクトSUV「ロッキー」、軽オープンスポーツカー「コペンGRスポーツ」などが展示され、終日ファンでにぎわった。拡大
2023年10月に開催されたジャパンモビリティショーのダイハツブース。1980年の「ミラ」(写真手前)や1977年の「シャレード」(写真奥)など、ダイハツの歴史を象徴する車両と、その先にある未来を描いたコンセプトカーが展示された。
2023年10月に開催されたジャパンモビリティショーのダイハツブース。1980年の「ミラ」(写真手前)や1977年の「シャレード」(写真奥)など、ダイハツの歴史を象徴する車両と、その先にある未来を描いたコンセプトカーが展示された。拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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