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1/30有識者いわく、実は今でも「ホームラン級の傑作」を輩出することがあるという日産のカーデザイン。その実力はどのようなクルマに表れているのだろうか?
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2/30「Vモーショングリル」とは、日産のエンブレムとメッキなどのV字の装飾を組み合わせたグリルデザインのこと。写真は3代目「エクストレイル」のもの。
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3/30初代「ジューク」の「Vモーショングリル」は、メッキ装飾とボンネットやバンパーとの間に関連性/連続性があるわけではなく、正直、「なんか付いてるね」という程度の印象しかなかった。
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4/30ちなみに、日産は正式に「このクルマでVモーショングリルを初採用!」と明言はしておらず、初代「ジューク」の当時のプレスリリースにもその記載はない。
ほった「個人的には、『ウイングロード』あたりからその流れは始まっていたような気がするんですけどねぇ……」 -
5/30日産の報道資料をさかのぼると、初めて「Vモーション」なる言葉が出てきたのは、2013年のコンセプトカー「レゾナンス」発表の際だ。
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6/302022年11月に発表された現行型「セレナ」。「デジタルVモーション」の起源はどう見てもこのクルマだが、当時はまだそうした固有名称はなく、プレスリリースにもデジタル~の名は記されていなかった。(写真:花村英典)
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7/30グラデーションをつけるなどして、ボディーとフロントグリルの境をボカすデザインは、昨今のトレンドなのだ。写真は現行型「プジョー408」。
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8/30こちらは「ルノー・セニックE-TECHエレクトリック」。
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9/30日本勢では、レクサスの「LM」(写真)や「LBX」などがグラデーショングリルの最右翼だ。
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10/30日産がはっきりと「デジタルVモーション」という言葉を使い出したのは、2023年4月発表の、「ルークス」のマイナーチェンジモデルから。
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11/30「日産ノート オーラ」のマイナーチェンジモデル。
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12/30改良前の「ノート オーラ」(上)と改良後のノート オーラ(下)の比較。色をそろえたかったので、ともに「90周年記念車」の写真になってしました。読者の皆さまは、どちらがいいと思いますか?
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13/30渕野「『ノート オーラ』ではホイールでもかなり凝ったことをしているんですけど……」
ほった「なんかもう、全体的に目がチカチカしますな」 -
14/30マイナーチェンジ前の「ノート オーラ」のフロントマスク。細工の少ない、シンプルですっきりとした意匠をしていた。(写真:花村英典)
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15/30ちなみに、2024年7月に発売された「ノート オーラNISMO」には、「デジタルVモーション」は使われていない。
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16/30日本未導入のコンパクトSUV「キャシュカイ」。
清水「うーん。こっちのほうが新しい『ノート オーラ』よりスッキリして見えるなぁ」
ほった「そうですか? 正直、どっこいどっこいな気がしますけど」 -
17/302023年11月に発表された「ノート」のマイナーチェンジモデル。
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18/30マイナーチェンジ後の「ノート」では、グリルの両脇にグリルバーやスリットと連続性を持たせた模様を入れることで、グラデーション効果を持たせようとしていたが……。その効果はイマイチだ。
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19/302021年に発表されたクロスオーバータイプのEV「アリア」。日産渾身(こんしん)の一台であり、今日における“技術の日産”を象徴するモデルだ。
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20/30「アリア」のフロントマスクはすっきりとしたシンプルな意匠。Vモーションの表現も、逆台形のダミーグリルと左右のシグネチャーランプで、控えめな表現となっている。
ほった「このご尊顔が『デジタルVモーション』でガシャガシャになったら、目も当てられませんよ」 -
21/30「アリア」のデザインの特徴といえば、まず挙げるべきはプロポーションのよさ。
ほった「渕野さんがいつも気にしている、タイヤに対するボディーの収まりもいいですね。この角度だと、ボディーのラインとタイヤのラインがほぼ一筆書きで、オーバーハングの存在を感じない」 -
22/30「日産アリア」(上)と「レクサスNX」(下)の比較。ドアに映る陰影を見ると、ともにリアタイヤにかかるような“後ろ下がり”のリフレクションが表れているいっぽうで、アリアはおおらかな面の変化によるボリューム感で、NXはパキパキとしたキャラクターラインで、それぞれに異なる表情を実現している。(写真<下>:花村英典)
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23/30インテリアでは、ダッシュボードのエアコンルーバーなど各所にカッパーの装飾を採用。他の箇所の繊細妙味な色味もあって、それが実に自然に収まっている。(写真:向後一宏)
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24/30空調のコントロールパネルは木目調のダッシュボードと一体化しており、車両を起動するとアイコンが浮かび上がる。操作性も考慮しており、ハプティクス機能付きで押した際にはちゃんと“手応え”がある。
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25/30国内外で高い評価を受けている「アリア」のデザイン。2022年には、世界最大級のデザイン賞のひとつである、ドイツの「レッド・ドット・デザイン賞(プロダクトデザインカテゴリー)」を受賞している。ちなみに、日産が同賞を受賞するのは7度目のこと。
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26/30清水「日産もずいぶん車種を整理して、ダメデザインのクルマはなくなったと思うんだよ」
ほった「『ラティオ』とかですか?」
清水「そうそう! こういうやつ。いずれ“愛すべきダメダメデザインカー”というテーマもやってみたいねぇ」 -
27/302022年5月に発表されたEVの軽ハイトワゴン「サクラ」。水引に着想を得たというアルミホイールや、四季の彩りをモチーフにしたという4種類のツートンカラーなど、その意匠は和のテイストを取り入れたものだった。
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28/30「アリア」同様、カッパーのアクセントが目を引くインテリア。内装色にはブラック(写真)とベージュのほか、ブラックを基調にベージュのシートを組み合わせた「プレミアムインテリア」も用意される。
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29/30神奈川・厚木の日産テクニカルセンター内に位置するグローバルデザインセンター。日産はこのほかにも、米サンディエゴや中国・上海、英ロンドン、ブラジル・サンパウロにデザインセンターを持っている。
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30/30その道のプロから見ても、非常に高い実力とセンスを備えているという日産のカーデザインチーム。その力がいかんなく発揮され、デザインのよいクルマがバンバン輩出される日がくるのを期待して待ちましょう。

渕野 健太郎
プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間にさまざまなクルマをデザインするなかで、クルマと社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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