泥沼の地獄も愛があれば大丈夫!? めくるめく輸入中古車の誘惑

2024.04.12 デイリーコラム 清水 草一
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日本では2010年から2022年まで、12年にわたって販売された「ジャガーXJ」(X351)。イアン・カラムの手になるデザインは、今見ても美しい。(写真:小林俊樹)
日本では2010年から2022年まで、12年にわたって販売された「ジャガーXJ」(X351)。イアン・カラムの手になるデザインは、今見ても美しい。(写真:小林俊樹)拡大
プレミアムブランドのハイエンドモデルだけに、内装は豪華&上質でオーディオもプレミアム! 世代の古いインフォテインメントシステムなどについては、この際目をつむろう。
プレミアムブランドのハイエンドモデルだけに、内装は豪華&上質でオーディオもプレミアム! 世代の古いインフォテインメントシステムなどについては、この際目をつむろう。拡大
2リッターターボエンジンは2013年モデルから設定されたもの。他には3リッターV6スーパーチャージャー、5リッターV8自然吸気、5リッターV8スーパーチャージャーなどのエンジンが搭載されていた。
2リッターターボエンジンは2013年モデルから設定されたもの。他には3リッターV6スーパーチャージャー、5リッターV8自然吸気、5リッターV8スーパーチャージャーなどのエンジンが搭載されていた。拡大
販売期間が長く、ラインナップも豊富だったことから、中古車もバラエティーが豊かだ。クルマの仕様や状態、価格、走行距離などを勘案して、条件に見合うクルマを探すといい。
販売期間が長く、ラインナップも豊富だったことから、中古車もバラエティーが豊かだ。クルマの仕様や状態、価格、走行距離などを勘案して、条件に見合うクルマを探すといい。拡大

今では輸入車もそんなに壊れませんよ(多分)

新車時には憧れだった夢のクルマも、中古車でならゲットできる! カーマニア同志諸君、その先で待っているのがたとえ地獄の泥沼だったとしても、清水の舞台からバンジージャンプしよう!

そのようなことを、私は過去30年以上叫んできた。ほぼフェラーリ限定ではあったが、フェラーリ以外も基本は同じ。覚悟を持って飛び込めば怖いものはない! 私としてはフェラーリを13台乗り継いだ末、現在の「328GTS」で悟りの境地に達したが、ほかにも夢の未踏ブランドはいろいろある。今回は3台の憧れの中古車について夢想してみたい。

【ジャガーXJ(X351)】
若い頃からジャガーに憧れてきた。当時は「さすがに似合わない」ってことで封印してきたが、気づけば還暦過ぎ。今乗らずにいつ乗るのか!

若い頃憧れたのは「XJ」(40系)や「XJS」だったが、2009年にX351世代のXJが出てからは、イアン・カラムの前衛的なデザインに吸い込まれ、強く憧れるようになった。もーメチャメチャ芸術的に美しいしエリートっぽいじゃないですか! アレに乗れば貴族になれる!

私が買うなら、最廉価グレードの2リッターターボだ。なぜって普段乗りに使いたいから。私は燃費の悪いクルマを日常の足にするのは耐えられない。あのデカいボディーを2リッターで転がすのがステキ!! 新車価格は約1000万円だったけど、今中古車はいくらかなーと思ったら、2リッターターボは流通台数ゼロ! ガーン! 売れなかったのね……。私のような考えでXJを買う人って少ないのね。

仕方なく3リッタースーパーチャージャーを検索すると、200万円台で十分イケる。でも、3リッタースーパーチャージャーかぁ。きっと燃費の悪さに音を上げるだろうなぁ。金のわらじを履いて2リッターターボの出物を待とうか。故障? 21世紀製のクルマなんてそんなに壊れないでしょ!

ジャガーXJ(X351)
アウディの中核を担ってきたEセグメントモデル「A6」シリーズ(写真はワゴンの「A6アバント」)」。メルセデス・ベンツやBMWとは趣の異なる、独自の先進感がただようモデルだ。(写真:花村英典)
アウディの中核を担ってきたEセグメントモデル「A6」シリーズ(写真はワゴンの「A6アバント」)」。メルセデス・ベンツやBMWとは趣の異なる、独自の先進感がただようモデルだ。(写真:花村英典)拡大
日本デビューは2019年のことだが、年齢のわりにインテリアに古さはない。「そういえば、操作インターフェイスのデジタル化もアウディが先んじてたんだよなぁ」と思い出す。
日本デビューは2019年のことだが、年齢のわりにインテリアに古さはない。「そういえば、操作インターフェイスのデジタル化もアウディが先んじてたんだよなぁ」と思い出す。拡大
エンジンは2リッターガソリンターボおよび2リッターディーゼルターボが主。排気量が小さいので税金は安いし、ディーゼルなら燃費も◎。お財布に優しい高級車だ。(写真:荒川正幸)
エンジンは2リッターガソリンターボおよび2リッターディーゼルターボが主。排気量が小さいので税金は安いし、ディーゼルなら燃費も◎。お財布に優しい高級車だ。(写真:荒川正幸)拡大
「アウディA6」というと、ワゴンの「アバント」のイメージが強いが、直近では意外や中古車の物件数はセダンのほうが多い様子。価格帯はともに「総支払額300万円台前半からスタート」といった感じだが、高年式の極低走行車については、A6アバントのほうが高額物件が多い印象だった。
「アウディA6」というと、ワゴンの「アバント」のイメージが強いが、直近では意外や中古車の物件数はセダンのほうが多い様子。価格帯はともに「総支払額300万円台前半からスタート」といった感じだが、高年式の極低走行車については、A6アバントのほうが高額物件が多い印象だった。拡大

憧れのエリートカーと夢のスーパースポーツ

【アウディA6(F2)】
私は今の「アウディA6」にメチャメチャ憧れている。アウディらしくエリート感満点のデザインもさることながら、乗り心地が信じられないほどイイ! 最近まで「地上で最も乗り心地のいいクルマはA6」と思っていた。昨年新型「レンジローバー」が出て1位の座から滑り落ちたが、それでも猛烈に乗り心地がイイ。ものすごく堅牢(けんろう)なボディーが、路面から浮かんでいるかのように走りつつ、ステアリングには路面情報がバッチリ伝わってくる。低速を含めたあらゆる速度域で! 足は死ぬほどしなやかで、突き上げは限りなくゼロ! それでいてみじんもソフトすぎず、コーナリングはシャープでスポーティーで安定感抜群!

しかもA6には「40TDI」という2リッターディーゼルモデルがある。以前、それをお借りして秋田までロングドライブして蕩(とろ)けました。あのエリート感満点のデザインと乗り味で、19km/リッターも走ってくれるんだから! アウディA6 40TDI最高!

中古車を検索してみると、うーん、まだ400万円くらいしてるなぁ。だったら、今の「プジョー508」でいいかなぁ。腰砕けでスイマセン。

アウディA6/A6アバント(F2)
英国の老舗、アストンマーティンの2+2グランドツアラー「DB11」。これ見よがしな空力デバイスのない、控えめで優雅なデザインが魅力だ。(写真:田村 弥)
英国の老舗、アストンマーティンの2+2グランドツアラー「DB11」。これ見よがしな空力デバイスのない、控えめで優雅なデザインが魅力だ。(写真:田村 弥)拡大
プレミアムブランドのクルマゆえに、インテリアは細部までカスタマイズが可能だった。ここは新車時のオーナーの意向が色濃く反映されるところだけに、自分の嗜好にはまるクルマを探そうと思ったら、根気が必要かも。
プレミアムブランドのクルマゆえに、インテリアは細部までカスタマイズが可能だった。ここは新車時のオーナーの意向が色濃く反映されるところだけに、自分の嗜好にはまるクルマを探そうと思ったら、根気が必要かも。拡大
エンジンは4リッターV8ターボ(写真)と5.2リッターV12ターボの2種類。流通量はほぼ一緒で、意外や価格帯もそんなに変わらない。維持費などを度外視すると、意外とV12モデルもお得かもしれない。
エンジンは4リッターV8ターボ(写真)と5.2リッターV12ターボの2種類。流通量はほぼ一緒で、意外や価格帯もそんなに変わらない。維持費などを度外視すると、意外とV12モデルもお得かもしれない。拡大
信頼性について、ちょっと不安なウワサのあるアストンマーティン。購入後には泥沼が待ち受けているかもしれないが……そこはカーマニアの情熱で乗り切ろう!
信頼性について、ちょっと不安なウワサのあるアストンマーティン。購入後には泥沼が待ち受けているかもしれないが……そこはカーマニアの情熱で乗り切ろう!拡大

【アストンマーティンDB11】
「アストンマーティンDB11」は、地上で最も美しくもカッコいいスポーツカーではないだろうか。少なくとも最近のモデルのなかでは! 近年のフェラーリにはすっかり萌(も)えなくなってしまったが、DB11のデザインを見ると心が躍る。うおおおお、このデザインのためなら死ねる!

しかもアストンは中古価格の下落幅が大きい。最近のスーパースポーツは、新車より中古のほうが高いのがアタリマエだったりするけれど、アストンは安くなる! 希望が持てるブランドだ! フェラーリも10年くらい前まではそうだったんだよね……。

狙いはV8だ。V12のほうが圧倒的にゴージャスだけど、メルセデスAMG製の4リッターV8ターボのさく裂だって十分スゲエ! 私はそっちで十分です! 維持費も含め、なるべくお安くDB11に乗りたいですから。

DB11 V8の新車価格は2380万円だった。中古車を検索すると、最安で支払総額1380万円! 半額強やんけ! 思えば私が買った最初の中古「フェラーリ348tb」は、支払総額1162万2800円(1993年のことでした)だった。新車価格は確か1700万円くらいだったので、それに近い値落ち感。あ、デジャブ……。

当時、中古フェラーリの信頼性なんて期待値ゼロ以下。人生を捨てる覚悟が必要だった。アストンの値段が下がるのは主に信頼性の低さが原因らしいけど、30年前のフェラーリに比べたら全然楽勝だろ! 次売るときさらにガクッと値落ちしてるだろうけど、それもバブル崩壊期の中古フェラーリと同じ! 今アストンに跳ばずにいつ跳ぶのか。アストンを買わずに死んでいいのかっ!? ……じっくり考えたいと思います。

アストンマーティンDB11

(文=清水草一/写真=小林俊樹、花村英典、荒川正幸、田村 弥/編集=堀田剛資)

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