第689回:この走りはモーターでは味わえない! エンジンが魅力的な現行モデル5選
2022.06.06 エディターから一言 拡大 |
EVシフトが鮮明化する現代において、純内燃機関の走りを楽しめる残り時間が少なくなってきている。そこで、現行モデルにおいて、カーマニアなら一生に一度は味わっておきたい魅力あふれるエンジン搭載車5台をピックアップしてみた。
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魅力的なエンジンとは?
スポーツカーに限らず、クルマの評価を決める大きな要素となるのはエンジンだ。だが、1世紀をはるかに超える時間をかけて進化してきたエンジン(内燃機関)の未来も、残りは短いと考えるべきだろう。なぜならば、多くの自動車メーカーが、電気自動車(EV)を最終的な到達点として次世代の自動車の開発を進めているからだ。内燃機関から電気モーターへ。考え方を変えれば、われわれは最も面白い時代を生きていると言ってもそれは間違いではない。
ここでは自動車の歴史とともに進化してきた魅力的なエンジンとは何かを考えながら、個人的に注目のエンジンを搭載する現行モデルを紹介していきたいと思う。
エンジンの設計で最も大切なのは、振動をいかに低減していくかにある。多くのエンジニアがその難題に挑戦し、それゆえ内燃機関は進化してきた。クランクシャフトが1回転する間に何回、どのような振動が発生するのか。簡単に説明すれば、最も難しい存在なのは一次振動と呼ばれるクランクシャフトが1回転するごとに1回発生する大きな振動だ。ちなみにこれが最も小さいのは直列6気筒エンジンである。
この直列6気筒を2基、V字型に組み合わせたV型12気筒も、左右バンクが少しずれているため偶力こそ発生するものの、2回転で12回という燃焼感覚の短さが、それを補ってくれる。
しかし振動面では確かに悪くはないが、V型12気筒の場合はそれを搭載できるモデルに制約が生まれるのが大きな問題。サイズ面からもコスト面からも、V型12気筒がコンパクトなファミリーカーに搭載不可能であることは明白だ。
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直列6気筒:BMW M3/M4
一次振動が最も少ないとされる直列6気筒エンジンを搭載するモデルのなかで、やはり卓越した存在といえるのはBMWだろうか。かつてそのエンジンはシルキーシックスと呼ばれた時代もあった。
直列6気筒エンジンは、横置きFWD車が増加したことや、前面からの衝突安全性の問題で、同じ6気筒でもよりコンパクトなV型へと主流が変化した時代もあった。しかし再び存在が見直され、直列6気筒への回帰が顕著化している。
BMWは直列4気筒から直列6気筒に、そしてV型8気筒にと拡大傾向にあった「M3」のエンジンを、2013年にデビューしたF80型から再び直列6気筒に回帰させた。現行「M3/M4」が搭載するS58型B30Aは自然吸気ではないものの、その力強さやサウンド、官能的な回転フィールなどはかつてのシルキーシックスを見事に想起させる。
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V型12気筒:フェラーリ812スーパーファスト
V型12気筒エンジンならば、やはりイタリアンスーパーカーの両巨頭、フェラーリとランボルギーニの存在は見逃せない。フェラーリが「812スーパーファスト」や「812GTS」に搭載するF140GAと呼ぶ6.5リッターのV型12気筒エンジンは、美しく奏でられるエキゾーストノートと気持ちのいいエンジンフィールが印象的である。
F140GAは、電気モーターの助けを借りない自然吸気のV型12気筒エンジンとしては、最後のユニットになるのではないかともいわれている。800PSのパワーがもたらす甘美かつ刺激的な走りは、一度味わったら忘れることなどできないほどの魅力にあふれている。
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V型12気筒:ランボルギーニ・アヴェンタドール
ランボルギーニのV型12気筒エンジンは、1963年に創立された時のジオット・ビッザリーニ作の60度V型12気筒DOHCエンジンを、最終的には21世紀の「ムルシエラゴ」まで改良して使用しつづけるという息の長さであった。
その設計のすべてを見直し、正真正銘の新型とした「アヴェンタドール」のL539型6.5リッターユニットこそ、全身でランボルギーニというブランドの精神を感じることができる究極のV型12気筒エンジンといえる。
アヴェンタドールは生産台数が1万台を超える歴代フラッグシップでナンバーワンのヒット作となったが、より高性能な次期モデルでは、何らかの電動化が行われることは必至。となれば、最後の自然吸気たるこのV型12気筒エンジンの存在がより貴重に思えてくる。
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水平対向6気筒:ポルシェ911
「ポルシェ911」のパワーユニットとして、1964年のデビュー以来、そのエンジンルームに収められてきた水平対向6気筒、すなわちフラット6の存在も見逃せない。現在の911シリーズは、「カレラ」に3リッターの水平対向6気筒ツインターボを搭載。「ターボ」には3.8リッターの水平対向6気筒ツインターボを、そして自然吸気としては唯一「GT3」に4リッターの水平対向6気筒を採用する。
ポルシェは、将来的には多くのモデルをEV化する計画の一方で、911はフラット6をそのままに、再生可能エネルギーを由来とするeフューエル、つまり合成燃料に変更して使用を継続していく計画であるという。これによって伝統の水平対向6気筒エンジンは再び自然吸気化の道を歩むことができるのか、次世代モデルへの興味は尽きない。
V型8気筒:シボレー・コルベット
では、V型8気筒はどうか。このカテゴリーには数多くのライバルが存在するが、個人的に最も注目しているのはシボレーのLT2型、すなわちセグメントでは唯一となる6.2リッターのV型8気筒OHV自然吸気エンジンを搭載する「C8」こと8代目「シボレー・コルベット」だ。
組み合わされるトランスミッションがDCTとなったのも大きな話題だが、それ以上にコルベットとしては初めて、ミドシップレイアウトを採用することになったことは歴史的なニュース。
先代「C7」のLT1型エンジンよりもコンパクトで低重心に設計されたLT2型は、潤滑システムも大きくアップデートされており、3基のスカベンジャーポンプによって高いコーナリングGにおいても安定した潤滑を可能としている。502PSに強化されたパワーをフルに引き出せる場面は日本の一般道では少ないだろうが、それでもワインディングロードでは気持ちのよいエンジンとミドシップレイアウトならではのシャシー特性を感じ取ることができる。
ほかにもエンジンの性能やフィーリングだけでも買い、というモデルはたくさんある。V型10気筒やV型6気筒、さらには直列4気筒など、機会があれば次回はこれらのモデルのおすすめを紹介したい。
(文=山崎元裕/写真=BMW、フェラーリ、アウトモビリ・ランボルギーニ、ポルシェ、ゼネラルモーターズ/編集=櫻井健一)

山崎 元裕
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