大幅改良で人気も加速!? 勢いを増す「マツダ・ロードスター」と日本のスポーツカー市場
2023.10.05 デイリーコラムぜんっぜん古くなってない!
メーカーいわく、過去最大の大幅改良を受けたというND型こと4代目「マツダ・ロードスター」。そのオンライン説明会で真っ先に思ったのは、「そうか、4代目って、もうデビューから8年もたつのか」ということだった。発売は2015年5月。あと2年で10年選手だ。
しかし、それにしてはこの“色あせなさ”はどうでしょう? 全然古くなった感じがしない。どんなステキなスポーツカーでも経年とともに残念な雰囲気を漂わせるものだし、それを嫌ってデザインの刷新を図るもの。しかし、ND型はずーっと同じカタチなのに、新鮮なままだ。せんえつながら、あらためて中山 雅さん(ND型ロードスターの元チーフデザイナー)はスゴイ仕事をしたのだと思う。
その辺はマツダも心得ているようで、今回の改良でもデザイン変更はほとんどナシ。ランプ類やホイールを変えたぐらいで、むしろ「アダプティブクルーズコントロールのレーダーを積む際、いかにデザインに影響を与えずに済むかに注力した」というほどだ。普通、マイナーチェンジではバンパーだけでも交換して「変わりました!」感を強調するものだが、やってることが真逆である。このデザインもまたND型ロードスターの魂であると、今日の開発関係者は心得ているのでしょうね。
さて。そんなND型ロードスターだが、上述の説明会で、改良型の商品概要とともに過去の販売実績が紹介された。スポーツカーの販売の遷移なんて、ちょっと珍しいお話なので、読者の皆さんともぜひ共有したいと思う。製品そのものについては、鈴木ケンイチさんのリポートが公開となる予定なので、そちらを乞うご期待。
デビューから7年にして過去最高の販売を記録
まずは、初代がデビューした1989年からこれまでの累計販売台数だが、グローバルで約119万台、日本国内で約22万台とされている(2023年8月時点)。さすがはギネスが認めた2人乗り小型オープンスポーツカーのベストセラーだ(厳密には、ギネスブックに載っているのは生産台数の記録だけど)。
また累計生産台数の積み上げを見ると、2007年1月に80万台、その4年後の2011年2月に90万台、さらに5年後の2016年4月に100万台となっている。80万台から100万台になるのに、9年を要した計算だ。しかし120万台の記録については、それから7年後の今時点ですでに突破しているという。統計的に、ND型になって勢いが増したのは間違いない。国内での販売実績を見ても、ND型の累計販売は約5万6000台と、およそ17年にわたり販売されたNB型(2代目)とNC型(3代目)の合計を、すでに超えている。やっぱりファンは、小さくて軽いロードスターを求めていたのだ!
もうひとつ興味深いのが、日本における年間販売台数の推移。普通、スポーツカーのような趣味性の高いクルマはデビューから1~2年でドカンと売れて、後は尻すぼみ……というのがお約束だ。しかしND型は、2020年(4434台)をボトムに販売が回復。2022年はなんと、過去最高の台数(9567台)を記録してしまったのである。
この好調について、マツダは「3つの要因があるのでは?」と分析している。ひとつは、当然だが商品努力。ND型ロードスターはデビュー後も間断なく手が加えられており、2021年末には軽さを極めた特別仕様車「990S」がデビュー。これ(……と、2022年末登場の特別仕様車「ブラウントップ」)が人気を博し、販売台数のアップに寄与したというのだ。やっぱりファンは、小さくて軽いロードスターを求めていたのだ!(本日2回目)
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日本のスポーツカー市場はスゴイ
2つ目の要因として挙げられたのが、コロナ禍の影響にともなう消費者行動の変化だ。パーソナルな移動空間の確保や、あるいは行動規制によってお金の使い道がなくなり、自動車購入の欲求が増した……というのは、スポーツカーに限らず自動車の各かいわいで語られている話である。
そして最後の理由は、「日本のスポーツカーマーケット自体が盛り上がっているから」というものだった。マツダの資料によると、こちらも2020年をボトムに販売台数が好転。2023年も好調を維持しており、現時点ですでに2020年の記録は突破。急伸長した2022年超えはムリにしろ、2021年超えも間違いなしとのことだった。
ではなぜ、ここにきて日本のスポーツカーマーケットが盛り上がっているのかというと、それは皆にとって手の届きやすい、手ごろなモデルが登場したから。すなわち「トヨタGR86」と2代目「スバルBRZ」である。やはりマーケットは商品があってなんぼ。ファンと商品、その両方がそろわなければ盛り上がらないのだ。ちなみに、前回の国内スポーツカーマーケットのピークは2016年で、ND型ロードスターと「ホンダS660」がデビューした翌年(=初めて通年で販売された年)だった。
それにしても、こうした車名を見るにつけ、つくづく日本ってスポーツカーに恵まれた国だと思う。「ダイハツ・コペン」や「スズキ・スイフトスポーツ」も含め、これほど身近に運転が楽しめるクルマがあるマーケットって、そうはない。ファンの皆さん、どんどんスポーツカーを買いましょう。そうしてメーカーの気概に応え、自身の人生を謳歌(おうか)するのです。
気になるのはやっぱり“重さ”
ND型ロードスターに話を戻すと、今回の大幅改良により、2024年も大人気となることが予想される。現に販売店には多数の先行予約が入り、「早く、早く情報を!」との声が広島に寄せられているとのこと。昨今の勢いに、さらにブーストがかかるのは間違いなさそうだ。
一方で、それじゃあ「全部順風満帆! 心配ごとはみじんもございません」かといえば、そうでもない。今回の改良は「新たな安全法規への対応にともなうもの」とのことだったが、それがどれほどロードスターの真価に影響を及ぼしているかは、やっぱり気になるところである。……露骨に言えば、「重量、増えちゃってませんよね?」という不安だ。
ニュースを見ればお分かりのとおり、今回の改良は走り方面の進化に加え、装備の拡充がトピックだった。ミリ波レーダー式のアダプティブクルーズコントロールに、8.8インチのセンターディスプレイ。電子プラットフォームも刷新したというが、ハーネスの量は増えていないのだろうか? 上位グレードではセンターコンソールなどが革巻きになっているけど、合皮やソフトパッドの重さってどれくらいになるのかしら? 今回の説明会ではその辺は解説されず、今は続報を待つしかない。……まぁ、実際のところ、ちょっと重量が増えたからって、普段使いでそれを感じることはまずないのですがね。でも、「グラム作戦」は御大・山本修弘氏も語っていたND型の魂なわけで(参照)、口プロレスの専門家(=記者)も、気にせずにはいられないのである。
もっとも、現開発主査の齋藤茂樹さんは、自らあの990Sを企画したほどの軽いクルマ好き。商品説明会でも「オススメは『S』(最軽量のエントリーグレード)!」と言っている御仁なので、大丈夫でしょう。
その齋藤さんいわく、「私たちは欲張り。現時点ではやり切っているけど、まだロードスターでやりたいことがある」とのことだった。環境だデンキだと外野がかまびすしい昨今の自動車かいわいだけど、ロードスターは、まだまだ私たちを楽しませてくれそうだ。
(文=webCGほった<webCG”Happy”Hotta>/写真=マツダ、webCG/編集=堀田剛資)
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堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
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