王者が席巻しダークホースが活躍! コロナ禍に揺れた2020年のF1を振り返る
2020.12.18 デイリーコラムフェラーリの脱落にレッドブルの悪癖、そして……
新型コロナウイルスの感染者が出て、3月の開幕戦オーストラリアGPが急きょ中止。世界的感染拡大を受け予定されていた22戦のレースは次々と延期や中止に追い込まれ、7月のオーストリアGPから始まる新たなカレンダーが発表されたのは、6月2日のことだった。
こうして混乱のうちに始まったF1の2020年シーズンは、メルセデスが新記録となる7連覇を達成。ルイス・ハミルトンは最多勝ウィナーにまで上り詰め、ミハエル・シューマッハーの持つ史上最多7冠に並ぶという、またも“メルセデスイヤー”になった。シルバーからブラックに衣を変えたスリーポインテッドスターのチームは17戦して13勝、うちハミルトンが11勝とチャンピオンシップを席巻した。
これまで「3強」の一角をなしてきたフェラーリが脱落。2019年はポールポジション9回と3勝を記録したスクーデリアは、レギュレーション違反が疑われた強力なパワーユニットを巡りFIA(国際自動車連盟)と極秘裏に調査を進め、その結果を秘密にしたまま今季に突入した。すっかりパワーもスピードも失ったフェラーリは、2016年以来となる未勝利に終わったばかりか、コンストラクターズランキング6位という屈辱的なシーズンを送ることになった。
最終戦アブダビGPでメルセデスを倒し、今季2勝目を飾ったレッドブルは、シーズンのスタートダッシュにまたも失敗。終盤になってようやく調子を上げてきても時すでに遅し、という“悪癖”は今年も治らなかった。マックス・フェルスタッペンは、彼自身のベストタイとなる年間表彰台11回を記録。しかし優勝は昨年より1回減の2勝となり、リタイアは昨年の2回から5回に増え、取りこぼしも目立った。
今シーズン表彰台に上がったドライバーは13人いたが、このうち8レースはハミルトン、バルテリ・ボッタス、フェルスタッペンという3人の組み合わせ。フェルスタッペンがポディウムに上る時は必ずメルセデスの誰かと一緒だったことになり、そのほとんどでメルセデスに負けていたことになる。今季初Vを挙げた第5戦70周年記念GPでは、タイヤに苦しむシルバーアローに一矢報いたものの、次の勝利までに実に4カ月もの時間を要してしまった。
メルセデスは、開幕前に話題をさらった新技術「DAS」投入をはじめ、安定したレギュレーションの中でも攻めの姿勢を貫いた。第8戦イタリアGPからパワーユニットの予選モードが禁止されると、シーズン当初は1秒あることも珍しくなかった予選でのリードタイムはぐっと縮まったが、決勝になれば他の追随を許さなかった。
そしてハミルトンの完璧なドライビング、特に卓越したタイヤマネジメントが、僚友ボッタスとの違いを際立たせた。ボッタスはポールを5回取りながら、勝利につなげられたのは開幕戦オーストリアGPの1回のみ。メルセデスとハミルトンの来季の契約交渉はこれからとなるが残留は確実視されており、2021年、8冠という新たな記録樹立に期待がかかる。
![]() |
![]() |
![]() |
-
NEW
第639回:自動車文化を盛り上げたい! トーヨータイヤの“バーチャルオートサロン”訪問記
2021.1.27エディターから一言「東京オートサロン」の中止もなんのその! トーヨータイヤがオンラインコンテンツ「TOKYO AUTOSALON 2021 Special Site」を公開。世界各国のカーガイが登場するリポートからは、「こんな時こそ盛り上がりたい! 盛り上げたい!」という熱い思いが感じられた。 -
NEW
メーカーの知恵の見せどころ コロナに効く自動車技術はあるか!?
2021.1.27デイリーコラム世の中がコロナ禍の影響を受けるようになってはや1年、自動車業界にはどんな変化があっただろうか? 抗ウイルスを意識した技術や製品に焦点を当てつつ、コロナ時代のカーライフについて考えた。 -
NEW
シトロエンC3シャイン<エメラルドインテリア>(FF/6AT)【試乗記】
2021.1.27試乗記マイナーチェンジで見た目の印象が強まった、シトロエンのコンパクトハッチ「C3」。そのステアリングを握ったなら、つくり手のポリシーを感じるほどの、個性的な乗り味にも驚かされることだろう。 -
ヤマハ・トリシティ300(CVT)【レビュー】
2021.1.26試乗記フロントに2つのタイヤが付いた、ちょっと変わったオートバイ。ヤマハが提案する新型三輪モデル「トリシティ300」に乗ったなら、普通の二輪車とはかなり違ったバイクライフが送れるに違いない。 -
トライアンフ・トライデント660
2021.1.25画像・写真トライアンフの新型モーターサイクル「トライデント660」が、東京・渋谷の「代官山 蔦屋書店」に展示された。新開発の水冷3気筒エンジンを搭載した、軽快なミドルクラス・ネイキッドモデルの詳細な姿を、写真で紹介する。 -
月に1度の特別なメールマガジン『月刊webCG通信』 EVは選べる時代! あなたのチョイスは?
2021.1.25From Our StaffwebCG執筆陣によるコラムや月間アクセスランキング、読者アンケートなど、さまざまなコンテンツを通して自動車業界の1カ月を振り返る『月刊webCG通信』。2月号では、ついに“選べる時代”を迎えた電気自動車について、読者の皆さまのご意見を大募集いたします!