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1/20いよいよ発表された3代目「マツダCX-5」。ちょっと見は現行型とよく似ているが、実際にはかなり異なるイメージで仕上げられている。
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2/20前編に続き、まずはフロントまわりの話から。新型「CX-5」の顔まわりは、前に張り出したバンパーロアと、にらみの利いたヘッドランプ、その下の隈取(くまどり)的な意匠などにより、かなり押し出しの強いイメージとなった。
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3/20現行型(写真左)と新型(同右)のボンネットのアウトラインの比較。現行型がシュッと流れ落ちるようにノーズへ向かっていくのに対し、新型はフードの高さを保ちつつ、前寄りの箇所で強い丸みを帯びてノーズへと向かっていく感じだ。
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4/20前編でも紹介した新型「CX-5」のデザインスケッチ。上の写真とは画角が異なるのでわかりづらいが、ヘッドランプまわりの張り出しを隠すと、ノーズに至るボンネットフードの流れは、むしろ現行型に近いのがわかる。
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5/20ほった「なんか、ドイツの高級SUV的なオラオラデザインに寄った感じがして、そこは複雑な気分なんですが」
清水「俺は割と好きだけどね。それに、お客がこういうのを求めているのは事実だから」 -
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6/20ほった「こうして見ると、新型は現行型から変わっていないようで、ずいぶん変わっているんですね」
清水「ボディーサイドのウネりもなくなっちゃったし、特徴的なキャビンの寸詰まり感というか、凝縮感もずいぶん薄れたね」 -
7/20本文で触れられた“流デザイン”……正式には「“Nagare(ながれ)”コンセプト」とは、マツダが2000年代後半に取り入れたデザインコンセプトだ。自然界の流れを模したというフォルムやボディーサイドの模様が特徴だったが、市販車に魅力的なかたちで落とし込むのは難しく、長続きしなかった。
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8/20長安マツダの新型BEVセダン「EZ-6」。エッジの効いた真っすぐに伸びるショルダーラインの先端に、“背中”のラインとリア面のラインが収束する、矢印のようなイメージが取り入れられている。逆スラントしたリア面の意匠も特徴的だ。
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9/20同様のモチーフは新型「CX-5」にも用いられているが、こちらはやや表現が控えめ。そもそもこうした矢印型のイメージは、カーデザインではそれほど珍しいものではないので、この程度では“個性”と表せるほど印象には残らない。
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10/20新型「CX-5」のリアクオータービュー。フロントマスク同様、新型ではリアまわりのイメージも現行型から刷新された。
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11/20ほった「まぁでも、テールゲートのくびれ具合なら『トヨタ・ハリアー』のほうが強烈ですけどね」
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12/20現行型「CX-5」の魅惑のお尻。丸みを帯びたリアまわりの強烈な一体感、塊感は、他のモデルにはないCX-5ならではの特徴だった。
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13/20テールゲート下部にある、ボディーやバンパーとの段差。従来型の「CX-5」にも段差はあったのだが、そちらでは強い一体感や塊感を覚えさせる上部に目が誘導され、新型のようには目につかなかった。
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14/20新型「CX-5」のサイド/リアのデザインスケッチ。テールゲート下部をオーバーハング状にすることは、このころから考えていたようだ。
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15/20新型「CX-5」のインストゥルメントパネルまわりのデザインスケッチ。ずいぶん奥まった位置にメーターが描かれているが、当初はハンドルの上からメーターを見る、トップマウントメーターのレイアウトも検討されていたのだろうか?
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16/20実車のインストゥルメントパネルまわり。大型のタッチスクリーンがインパネの手前に配置され、センターコンソールからはそのコントロールパネルが排された。
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17/20ステアリングホイールや液晶メーターなど、運転席まわりの様子。このあたりのインターフェイスも、既存の車種とは大きく変わっている。
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18/20既存のモデルでも、内装の仕様を豊富に用意しているマツダ。新型「CX-5」ではどのようなバリエーションを用意してくれるのか。今から楽しみだ。
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19/20それにしてもスゴいのが、シートのこのつくり込み。平滑な面にキリッとした縁のライン、カチッとした立体感を生み出す嵌合(かんごう)部の凹凸の角度などなど、柔らかい生地とクッションでできているとは思えぬ精緻さである。
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20/20ほった「……で、新型『CX-5』はよいデザインだったんですかね? 悪いデザインだったんですかね?」
清水「その辺の結論は、高邁(こうまい)なる読者諸氏の判断に任せよう」

渕野 健太郎
プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間にさまざまなクルマをデザインするなかで、クルマと社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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