コロナ禍なんて吹き飛ばせ! 2020年下半期のニューモデルを予想する
2020.06.15 デイリーコラム注目車種がめじろ押しのトヨタ
“コロナ禍”にすっかり振り回された2020年も、気がつけば前半戦の最後となる6月に突入。ここらで、今年後半に登場するだろう新型車の情報をまとめてみたいと思う。
トヨタで言えば、注目はやはり「GRヤリス」だ。すでに限定車「ファーストエディション」の先行予約は始まっているが、本格的な発売は9月になるとアナウンスされた。また、最高出力272PS(200kW)の1.6リッターターボ車「RZ」だけでなく、120PS(88kW)の1.5リッター+CVTのFFモデル「RS」、そして競技ベース車となる1.6リッターターボの「RC」が用意されていることも判明した。ちなみに、ウェブ先行予約となる限定モデルの注文は、2020年6月30日までとか。
また、秋に投入が予告されているのが「ヤリスクロス」だ。「ヤリス」と同じコンパクトカー用の「GA-B」プラットフォームをベースにしたクロスオーバーSUVで、1.5リッターガソリンエンジンと、同エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドの2つのパワートレインを用意。「ダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズ」のヒットもあるように、コンパクトSUVは今最も注目度の高いジャンル。ヤリスクロスも、ベストセラーカーとなる可能性大と言えるだろう。
このほかにも、2019年の東京モーターショーでトヨタは、2つのモデルの市場導入を予告している。燃料電池車である「MIRAI(ミライ)」の次期型と、軽自動車規格よりも小さな超小型電気自動車(EV)だ。超小型EVは2020年冬、ミライは2020年末だという。どちらが先に登場するかは微妙だが、年明けには2モデルがそろって話題となることだろう。
日産は“電動の力”で勝負
レクサスの新型車は「IS」だ。本来であれば2020年6月10日にネット中継で世界初披露されていたはずだが、“現在の世界情勢に鑑み”たことで、発表は延期された。とはいえ、年内投入の可能性は大きい。ちなみに“新型”といっても、その内容はフルモデルチェンジかマイナーチェンジかは不明だ。現行モデルのデビューは2013年。そろそろ世代交代してもおかしくない時期だが、大幅改良ではないかというウワサもある。どちらになるのかは、正式発表を待つしかないだろう。
レクサスは、もうひとつ新型車の日本投入を予告している。それが「LC500コンバーチブル」だ。レクサスのフラッグシップクーペ「LC500」のオープンバージョンが最初にお披露目されたのは、2019年のロサンゼルスオートショー。そこで日本での発売は2020年夏とアナウンスされた。5リッターV8ユニットを搭載するゴージャスで優美なクーペは、日本でも注目の的になるはずだ。
他のメーカーに目を向けると、日産は2020年5月28日に発表した4カ年計画において、「今後18カ月で12の新型車を投入する」と表明。また「日本では電気自動車2車種とe-POWER搭載車4車種を追加」とも述べている。この「電気自動車2車種」というのは、2019年の東京モーターショーで発表した2モデルのようだ。SUVの「アリア」と、軽自動車規格のEV「IMk」である。このうち、アリアについては7月の発売が予定されており、“ハンズオフ”での走行を実現する「プロパイロット2.0」が搭載されるとか。また、それより早く6月にはコンパクトSUV「キックス」が発売。こちらは全車シリーズハイブリッドのe-POWERとなるという。後は軽EVのIMk。こちらの投入時期は明らかにされていないが、キックスとアリアの話題が落ち着いた後と考えれば、秋以降ではないだろうか。
余談だが、5月28日の発表会では、プレゼンテーションの最後に12車種の新モデルをイメージさせる動画が披露された。その最後のモデルには、誇らしげな「Z」のマークが! これには期待が膨らむばかりだ。
「ホンダN-ONE」の次期モデルが間もなく登場
ホンダのモデルで年内導入が正式にアナウンスされているのは、「シビック タイプR」の改良モデルと、その限定車である「リミテッドエディション」、そしてEVの「ホンダe」だ。シビック タイプR リミテッドエディションは、鮮やかなイエローの専用カラーや20インチの鍛造アルミホイールを身にまとう限定車で、日本での販売台数は200台のみ。2020年夏のカタログモデル発売に続き、同年秋の発売が予定されていた。ただ、昨今の状況を思うとスケジュール通りに進むかは微妙なところだ。一方、ホンダeは2020年夏ごろから欧州でのデリバリーが開始され、日本へは同年内にやってくるという。コロナ禍の影響もあるため、それこそ年内ギリギリになるかもしれない。
軽自動車に目をやると、大々的かつ正式なアナウンスはなかったが、次期モデルの登場が間近となっているが「N-ONE」だ。2020年6月現在、ホンダの公式サイトでは「現行モデルの生産は終了」「きほんのかたちはそのままに、2020年秋、新しいN-ONEが登場」との案内が公開されている。キープコンセプトの次世代モデルの登場は近い。
最後に、ホンダ関連の話題として「『レベル3』の自動運転が登場する」という情報がある。実際、コロナ禍の前までは、各社で「東京オリンピックに合わせて、世界最先端の自動運転技術を披露する」という動きがあった。具体的にはトヨタによる自動運転デモの予定があり、ホンダに関しても「まだ世界でどこも実用化できていない『レベル3』の自動運転を披露する」というウワサが流れていたのだ。しかし、東京オリンピックの延期とともに自動運転がらみの話題は一気に沈静化。5月の決算発表(2020年3月期)でも、八郷隆弘社長は「年内に発売する」と表明していたが、最悪の場合、この話はうやむやになってしまうかもしれない……。
マツダは「MX-30」、スバルは「レヴォーク」に注目
マツダからの新型車といえば「MX-30」だ。2019年の東京モーターショーで発表されたEVで、観音開きのドアを備えており、SUVでありながらもクーペ風の雰囲気をまとっている。発表当時は「欧州向けEV」としか説明されなかったが、ここのところ「ガソリンエンジンを搭載したバージョンも用意し、年内にも日本国内に投入する」という報道が出回っている。もしそれが本当であれば、マツダのSUVラインナップはさらに充実することになる。
また、スバルでは新型「レヴォーグ」の続報に注目したい。こちらも2019年の東京モーターショーでプロトタイプが公開され、その際に2020年後半の市場投入が予告されている。2020年1月の東京オートサロンでは「レヴォーグ プロトタイプSTI Sport」も公開されており、ハイパフォーマンス版の存在も期待される。ここのところニューモデルのなかったスバルとしては、一番の話題となるはずだ。
これら以外にも、ウワサレベルでは数多くの新型車の登場が予想されている。スズキやダイハツからなにか新しい軽自動車が登場するかもしれない。人気のミニバンに動きがあるという話もある。しかし、ここまで紹介しただけでも、ヤリスクロスやアリア、N-ONE、MX-30、レヴォーグ……といった話題性の高いクルマがそろっている。ここに新たなモデルが加わるとなれば、2020年下半期の新型車は、なかなかに充実したものとなるのではないか。コロナウイルスがしぶとく居座る日本だが、そんな暗い気持ちを晴らしてくれるフレッシュなモデルが、一台でも多く登場することに期待したい。
(文=鈴木ケンイチ/編集=堀田剛資)

鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。