第662回:100万円前後の予算で買える楽しいMTの中古車5選
2021.11.01 エディターから一言 拡大 |
人気連載企画『カーマニア人間国宝への道』の清水草一が、予算100万円ぐらいで運転が楽しいMT車を紹介する。ミドシップの愛車3台すべてが30年以上前のMT車という、筋金入りの好事家がチョイスした5モデルとは?
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100万円ぐらいなら選択肢は多い
カーマニア仲間のKが泣いている。3年前に28万円で買った愛車の「アルファ147」(5段MT)の維持が、いよいよ難しくなったという。機関は好調ながら、コンピューターやハーネスの劣化(?)で、そっちを取り換えないと車検通過はムリそう。数十万円が必要ということで、泣く泣く廃車になりそうだ。
「30万円以内で買える、楽しいMT車はないですかねぇ……」(K)
さすがに30万円以内はキビシイが、100万円以内ならいっぱいある! ということで、100万円ぐらいで買える中古MT車を5台選びました。
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走りが楽しい3代目スイフトRS
「スズキ・スイフト」はMT率が非常に高いクルマ。特に「スイフトスポーツ」は5割近い。しかしスイスポは人気につき、激安車はそれなりに条件が悪化するし、個人的にはスイスポなら、1.4リッター直4ターボの現行モデルが絶対オススメ!
そこで浮上するのが、スイスポより通好みといわれていた、先代スイフトの1.2リッター直4の「RS」だ。まぁ先々代の「1.3XG」とかでもいいのですが、そんなに値段も変わらないので、先代の1.2リッターRSをすすめます。これなら50万円以下でも探せる! 捨てる神あれば拾う神あり!
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欧州テイストが魅力のデミオXD
小排気量ディーゼルをMTで転がす! これぞ憧れのヨーロピアンカーライフ! 最近はヨーロッパでもディーゼル車の比率が下がっているけど、んでもまだまだヨーロピアン! それが国産車で味わえるのは4代目「マツダ・デミオ」くらい!
こちら、50万円以下はないですが、車両本体70万円、総額100万円以下で、そこそこの流通量がある。いけまっせ。
ここから先は輸入車です。輸入車で、100万円以下で買えるMT車は、なかなか希少になっておりまして、ほぼイタフラ車のみ。Kはもともと愛車がアルファ147だったので、本望でありましょう。
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高速でも安定感抜群のフィアット・パンダ4×4
フィアットの名脇役「パンダ」。イタリアでは最量販車なれど、日本ではシブい名脇役。先代の「パンダ100HP」は超マニア好みだが、マニアックだけに年式の割にお高いし、147の悲劇を繰り返す恐れなきにしもあらず。安全を期すなら現行の4WDモデル「パンダ4×4」だ。
エンジンは憧れの0.9リッター2気筒ターボ「ツインエア」! 私が「2気筒のフェラーリエンジン」と呼ぶ名機であります。それを6段MTで操るヨロコビ! 「ドコドコビイィィィィィ~ン」と回る様は、カーマニアなら目頭が熱くなる。今フツーに買える2気筒エンジンなんてフィアットのこれだけだし! 4WDだけに高速巡行も安定感抜群だ。
お値段は70万円台から。総額100万円でギリギリいけます。
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オシャレさピカイチのフィアット500
これまたフィアット。似たような感じになってしまいますなぁ。
「フィアット500」の5段MTは、自然吸気4気筒の1.2と0.9リッター2気筒ターボのツインエアがある。個人的には圧倒的にツインエアが好みだが、1.2のフツーさがいいというマニアも存在する。
確かにデュアロジックのほうが、ツインエアエンジンとの相性がいいような気もしないでもない。とにかくあのカタチのMT車が100万円以下で手に入るならなんでもいいだろ! ゼイタクは敵だ!
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ハードな足が自慢のシトロエンDS3
「シトロエンDS3スポーツシック」は、タマ数としては相当希少になってきておりますが、なにはともあれパワフルな1.6リッター直4ターボエンジンが6段MTで味わえるフランス車です。お値段はこれまた70万円台から。
実は個人的にはこのクルマ、あんまり好きじゃありません。まずBMWと共同開発したエンジンのフィーリングがあんまりエモーショナルじゃない。そして足まわりがウルトラハード。シトロエンなのにこの乗り心地は何? と思ってしまう。シトロエンは昔からスポーツモデルを持っていて、みんな足まわりがハードだけど、やっぱキツイ……。
でも私が乗ったのは、新車に近い頃のこと。あれから10年くらいたっているので、だいぶ抜けてなじんでいるんじゃないか? デザインはホントにステキ。DS3のノーマルモデル(AT車)に乗っていた私が保証します。
結局予算が100万円ないと、こういうのには乗れないんだよね。どうしても30万円以内で! というなら、それはもう軽のMT車がイイ! 私も買いましたよ、31年落ちの「ハイゼットジャンボ」5段MTを! 車両本体29万円、総額40万円で! 軽トラに限らず、ただの軽なら、MT車が総額30万円以下でも買える。それが悟りの境地ではないでしょうか。
(文=清水草一/写真=スズキ、マツダ、ステランティス/編集=櫻井健一)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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