第10回:堅実だけど見直しは必至!? “大家族”ステランティスの電動化戦略(前編)

2021.08.10 カーテク未来招来
ステランティスの電動化戦略に関するオンライン説明会は「EV DAY 2021」と銘打たれていた。
ステランティスの電動化戦略に関するオンライン説明会は「EV DAY 2021」と銘打たれていた。拡大

世紀の大合併によって誕生した世界第4位の巨大自動車グループ、ステランティス(Stellantis)。自動車を取り巻く環境が大きく変わろうとしている今、傘下に14ものブランドと部門を抱える彼らは、どのような戦略をもって未来に臨もうとしているのか?

ステランティスはグループPSAとFCAが合併してできた、新しい自動車グループである。CEOはグループPSAで同職にあった、カルロス・タバレス氏(左)が務めている。
ステランティスはグループPSAとFCAが合併してできた、新しい自動車グループである。CEOはグループPSAで同職にあった、カルロス・タバレス氏(左)が務めている。拡大
ステランティスの電動化戦略の特徴は、将来的なモデルのバリエーションをEVのみに限定していない点にある。写真は充電中のプラグインハイブリッド車「ジープ・ラングラー4xe」。
ステランティスの電動化戦略の特徴は、将来的なモデルのバリエーションをEVのみに限定していない点にある。写真は充電中のプラグインハイブリッド車「ジープ・ラングラー4xe」。拡大
商用モデルも積極的に展開しているステランティス。「EV DAY 2021」では、2021年末までにFCVの中型商用バンを投入することも発表された。
商用モデルも積極的に展開しているステランティス。「EV DAY 2021」では、2021年末までにFCVの中型商用バンを投入することも発表された。拡大

地に足がついた目標設定

スウェーデンのボルボ、フランスのルノーに続き、今回はステランティスの電動化戦略を取り上げる。webCGの読者にもはや説明は不要と思うが、念のため触れておくと、ステランティスは2021年1月にFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)とグループPSAが合併して誕生した自動車グループだ。同グループは、2021年7月に電動化戦略に関するオンライン説明会「Stellantis EV DAY 2021」を開催した。

発表の概略はこの後に説明していくが、ルノーに比べるとだいぶ現実的な戦略という感じがした。現実的というのは、「製品ラインナップの電動化については、2030年までにLEV(Low Emission Vehicle)の販売比率を欧州で7割以上、米国で4割以上とすることを目指す」としたことだ。LEVというと、広く解釈すれば排ガス中の有害物質の少ないエンジン車まで含むが、ここではHEV(ハイブリッド車)、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)を含めた電動車両ということになるだろう。

つまり、2030年までにすべての新車をEVにすると発表したボルボはもちろん、2025年に欧州市場での電動車の販売比率を65%以上に、2030年には(ダチアやアフトワズなどを除く)ルノーブランドのEVの販売比率を最大で90%に引き上げると発表したルノーと比べても、ステランティスの目標は控えめだ。むしろ、2030年に電動車両の世界販売台数を800万台(そのうちEV、FCVは200万台)にする目標を掲げた、トヨタ自動車の水準に近い。

鶴原 吉郎

鶴原 吉郎

オートインサイト代表/技術ジャーナリスト・編集者。自動車メーカーへの就職を目指して某私立大学工学部機械学科に入学したものの、尊敬する担当教授の「自動車メーカーなんかやめとけ」の一言であっさり方向を転換し、技術系出版社に入社。30年近く技術専門誌の記者として経験を積んで独立。現在はフリーの技術ジャーナリストとして活動している。クルマのミライに思いをはせつつも、好きなのは「フィアット126」「フィアット・パンダ(初代)」「メッサーシュミットKR200」「BMWイセッタ」「スバル360」「マツダR360クーペ」など、もっぱら古い小さなクルマ。

プジョー の中古車
あなたにおすすめの記事
新着記事