第217回:外出できないこんなときは家でじっくり映画を観よう!
2020.04.24 読んでますカー、観てますカーフォード・フェラーリ対決のドキュメンタリー
ついに映画館が全国的に閉鎖されてしまった。再開はいつになるか見当もつかない。またDVDを紹介しようかと思ったが、今はもっと簡単に映画を観る方法がある。配信サービスだ。今回は、Amazonプライムからクルマ関連の作品を選んでみた。総合オンラインストアAmazonの有料会員サービスで、書籍や家電などの送料が無料になるなどの特典がある。映画好きにうれしいのは、配信されている一部の作品の視聴が無料になることだ。新旧映画やテレビドラマなどのほかに、Amazonのオリジナル作品もある。
まずオススメするのは、『24時間戦争』。ルマン24時間レースでのフォードとフェラーリの戦いを描いたドキュメンタリーである。今年1月に公開された『フォードvsフェラーリ』はよくできた映画だったが、ドラマティックな展開にするための過剰な演出もあった。実際はどうだったのかを確かめておいたほうがいいだろう。
『24時間戦争』は、フォードとフェラーリの成り立ちから説明する。「T型フォード」がずばぬけて画期的なモデルであったこと、フォード式生産方式が資本主義の発展にとって重要な意味を持っていたこと。そして、アルファ・ロメオでレーシング部門を担っていたエンツォ・フェラーリが独立してレース界を席巻したことなどを、歴史的な画像を用いて描くのだ。クルマに詳しくなくても、これで両社がまったく異なる方向性の企業であることが理解できる。
その上で、買収騒動から「フォードGT40」の開発に至る経緯と裏側の駆け引きが明らかにされる。関係者の証言を積み重ねていく手法だ。豪華なメンバーが元気な姿を見せる。フォード家からはエドセル・フォード2世とヘンリー・フォード3世、フェラーリ家からはピエロ・フェラーリが登場。ドライバーのダン・ガーニー、マリオ・アンドレッティ、ボブ・ボンデュラント、エンジニアのマウロ・フォルギエリらが裏話を披露する。
当時の映像もふんだんに使われている。キャロル・シェルビー、フィル・ヒル、リッチー・ギンサーなどが証言する姿は貴重。もちろん、レース映像も充実している。有料ながら『フォードvsフェラーリ』も配信されているので、比べて違いを検証するのもいい。
![]() |
過激な自動車バラエティー
Amazonプライムにはオリジナルの自動車関連コンテンツが多くラインナップされている。名車紹介からうんちくもの、改造やカスタムまでジャンルはさまざま。中でも人気なのが『グランド・ツアー』である。ジェレミー・クラークソン、リチャード・ハモンド、ジェームズ・メイの暴走トリオが出演する自動車バラエティーだ。
この3人は、もともとはBBC放送の『トップ・ギア』に出演していたメンバー。局側とトラブって2015年に降板してしまったが、翌年になってAmazonで再結集したのだ。やっていることは以前と変わらない。資金力を生かしてさらにパワーアップしている。スーパーカーを集めて試乗を行い、新車のレビューや歴史的名車の解説も行う。ただし、まっとうなクルマ番組にはならない。3人はいずれも英国流の毒舌や皮肉が身についているから、いつも議論は本筋から外れてお互いのけなしあいになる。大人げないのだ。
タイトルのとおり、世界各国をクルマでめぐるツアーも行われる。冒険の旅だ。モロッコでスポーツカー対決をしたり、カナダの原野でSUVをテストしたりするのはまだおとなしいほう。ナミブ砂漠をバギーで爆走したり、モザンビークの海岸から内陸部まで古いメルセデス・ベンツで駆け抜けたりするツアーでは、危険なコースに命がけで挑んでいた。
おバカな企画も多い。突然地球環境保護に目覚めてレンガや土を材料にしてエコカーを作ったこともあった。サンゴ礁再生のためにクルマを海底に沈めたことも。中学2年生のような発想で番組作りをしているが、予算と時間をかけているから見ごたえのある出来栄えになる。出演者も体を張っている。ハモンドがスーパーカー対決の最中にコースから転落し、クルマが大破炎上して大ケガを負ったこともあった。ガチなのである。
2019年12月から、いよいよシーズン4が始まった。第1弾の舞台はメコンデルタ。カンボジアからベトナムまで突っ走る。ジャングルをどうやって走るのかと思ったら、ボートに乗って川を下っていた。クルマは一切出てこなかったが、もうすぐ配信される予定の後編で新たな展開があるのだろう。
Amazonプライムには、『グランド・ツアー』シーズン1からシーズン4に加え、BBC時代の『トップ・ギア』も用意されている。すべてを観るには、ゴールデンウイークだけでは足りないかもしれない。
![]() |
無料で観られる93作品
もちろん、自動車が登場する映画も充実している。『ワイルド・スピード』や『トランスフォーマー』シリーズはすべてそろっているし、『ジョン・ウィック』も1と2は無料になった。『ミニミニ大作戦』のオリジナルは有料だが、リメイク版は無料。1969年公開の『栄光への5000キロ』といった珍しい作品が見つかるのもAmazonプライムの醍醐味(だいごみ)だ。今話題の東出昌大が主演するラリー映画『OVER DRIVE』も観られる。
本欄ではこれまで247作品を紹介してきたが、そのうち93作品がAmazonプライムの会員特典無料サービスにラインナップされている(2020月4月21日現在)。以下にリストを記しておいた。外出できない状況が続くのはストレスがたまるが、観ていなかった映画に触れるいいチャンスだとポジティブにとらえよう。
- 『ラストターゲット』
- 『デイブレイカー』
- 『ナイト&デイ』
- 『カンパニー・メン』
- 『ワイルド・スピード MEGA MAX』
- 『フェイク・クライム』
- 『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』
- 『スーパー8/スーパーエイト』
- 『ドライブ・アングリー』
- 『昼下がり、ローマの恋』
- 『青い塩』
- 『裏切りのサーカス』
- 『ミッドナイト・イン・パリ』
- 『リンカーン弁護士』
- 『TIME/タイム』
- 『最強のふたり』
- 『そして友よ、静かに死ね』
- 『キック・オーバー』
- 『アタック・ザ・ブロック』
- 『LOOPER/ルーパー』
- 『アウトロー』
- 『ゼロ・ダーク・サーティ』
- 『キング・オブ・マンハッタン -危険な賭け-』
- 『ラストスタンド』
- 『きっと、うまくいく』
- 『ワイルド・スピード EURO MISSION』
- 『鍵泥棒のメソッド』
- 『ストラッター』
- 『スティーブ・ジョブス』
- 『ミッドナイト・ガイズ』
- 『ペーパーボーイ』
- 『東京家族』
- 『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』
- 『ディス/コネクト』
- 『ラストミッション』
- 『トランスフォーマー/ロストエイジ』
- 『ラッシュ/プライドと友情』
- 『オーバードライヴ』
- 『そして父になる』
- 『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』
- 『ザ・レイド GOKUDO』
- 『バトルフロント』
- 『ビッグ・アイズ』
- 『ブルー・リベンジ』
- 『ジヌよさらば~かむろば村へ~』
- 『ワイルド・スピード SKY MISSION』
- 『ロスト・リバー』
- 『ターミネーター:新起動/ジェニシス』
- 『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』
- 『ナイトクローラー』
- 『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』
- 『クライム・スピード』
- 『コードネームU.N.C.L.E.』
- 『ディーン、君がいた瞬間(とき) 』
- 『6才のボクが、大人になるまで。』
- 『エージェント・ウルトラ』
- 『俳優 亀岡拓次』
- 『オートマタ』
- 『モヒカン故郷に帰る』
- 『帰ってきたヒトラー』
- 『シング・ストリート 未来へのうた』
- 『COP CAR/コップ・カー』
- 『ナイト・チェイサー』
- 『グッバイ、サマー』
- 『ジェイソン・ボーン』
- 『92歳のパリジェンヌ』
- 『溺れるナイフ』
- 『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』
- 『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』
- 『幸せなひとりぼっち』
- 『マリアンヌ』
- 『ナイスガイズ!』
- 『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』
- 『ワイルド・スピード ICE BREAK』
- 『アウトバーン』
- 『ドッグ・イート・ドッグ』
- 『トランスフォーマー/最後の騎士王』
- 『ダーティ・グランパ』
- 『ヴァーサス』
- 『本当に映った! 恐怖のドライブ投稿動画』
- 『スクランブル』
- 『ロング,ロングバケーション』
- 『ウインド・リバー』
- 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
- 『哭声/コクソン』
- 『アシュラ』
- 『歓びのトスカーナ』
- 『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』
- 『スマート・チェイス』
- 『バンブルビー』
- 『ドント・ウォーリー』
- 『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』
- 『ザ・アウトロー』
(文=鈴木真人)
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
<
|
![]() |
![]() |
![]() |

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
-
第287回:宝石を盗んで西海岸のハイウェイを駆け抜けろ!
『クライム101』 2026.2.12 ハイウェイ101で発生する宝石盗難事件はいつも迷宮入り。「ダッジ・チャレンジャー」で素早く逃走する犯人の犯罪心得は、殺さず、傷つけず、証拠を残さないこと。泥棒、刑事、保険ブローカーが華麗なる頭脳戦を繰り広げる! -
第286回:才人監督が描くディストピアのデスゲーム
『ランニング・マン』 2026.1.29 「アルピーヌA290」で追っ手のハンターから逃げ延びろ! スティーブン・キングが50年前に予見した未来は、まさに現在の状況そのもの。分断とフェイクが支配する現実を鋭くえぐった最新型デスゲーム映画。 -
第285回:愛のためにフルヴィアクーペで突っ走れ!
『トリツカレ男』 2025.11.6 夢中になるとわれを忘れるトリツカレ男がロシアからやってきた少女にトリツカレた。アーティスティックな色彩で描かれるピュアなラブストーリーは、「ランチア・フルヴィアクーペ」が激走するクライマックスへ! -
第284回:殺人事件? トレーラーが荒野を走って犯人を追う
『ロードゲーム』 2025.10.30 あの名作のパクリ? いやいや、これはオーストラリアのヒッチコック好き監督が『裏窓』の設定をロードムービーに置き換えたオマージュ作品。トレーラーの運転手が卑劣な殺人者を追って突っ走る! -
第283回:ドニー・イェン兄貴がE90で悪党を蹴散らす!
『プロセキューター』 2025.9.26 ドニー・イェン兄貴は検事になっても無双! 法廷ではシルバーのウィッグをつけて言葉の戦いを挑むが、裁判所の外では拳で犯罪に立ち向かう。香港の街なかを「3シリーズ」で激走し、悪党どもを追い詰める!
-
NEW
その魅力はパリサロンを超えた? 大矢アキオの「レトロモビル2026」
2026.3.7画像・写真フランスで催されるヒストリックカーの祭典「レトロモビル」を大矢アキオが写真でリポート! 欧州の自動車史を飾る歴代の名車や、めったに見られない往年のコンセプトモデル、併催されたスーパーカーショーのきらびやかなラグジュアリーカーを一挙紹介する。 -
NEW
ホンダCB1000F SE(6MT)【レビュー】
2026.3.7試乗記ホンダから満を持して登場した、リッタークラスの4気筒マシン「CB1000F」。往年のCBをほうふつさせるスタイルと、モダンなパフォーマンスを併せ持つネイキッドスポーツは、先行するライバルを追い落とすことができるのか? ホンダ渾身(こんしん)の一台の実力に触れた。 -
実力検証! SUV向けプレミアムタイヤ「ブリヂストンALENZA LX200」を試す
2026.3.62026 Spring webCGタイヤセレクション<AD>目指したのは、人気車種となっているSUVとのベストマッチ。ブリヂストンが開発した新プレミアムタイヤ「ALENZA(アレンザ)LX200」は、どんな乗り味をもたらすのか? モータージャーナリスト石井昌道が試乗を通して確かめた。 -
BYDシーライオン6(FF)
2026.3.6JAIA輸入車試乗会2026“中国の新興ブランド”BYDにあこがれは抱かずとも、高コスパの評判が気になる人は多いだろう。では、日本に初導入されたプラグインハイブリッド車のデキは? 初めて触れたwebCGスタッフがリポートする。 -
実に3年半ぶりのカムバック 「ホンダCR-V」はなぜ日本で復活を果たしたのか?
2026.3.6デイリーコラム5代目の販売終了から3年半のブランクを経て、日本での販売が開始された6代目「ホンダCR-V」。世界的なホンダの基幹車種は、なぜこのタイミングで日本復活を果たしたのか? CR-Vを再販に至らしめたユーザーの声と、複雑なメーカーの事情をリポートする。 -
「ジープ・アベンジャー4xeハイブリッド」発表会の会場から
2026.3.5画像・写真ジープブランドのコンパクトSUV「アベンジャー」に、4WDのハイブリッドバージョン「アベンジャー4xeハイブリッド」が追加された。その発表会(2026年3月5日開催)の場に展示された同モデルの外装・内装を写真で紹介する。








